書考空間



不道徳な見えざる手 自由市場は人間の弱みにつけ込む
ジョージ・A・アカロフ (著),ロバート・J・シラー (著),山形浩生 (訳)
税込価格:2,160円
出版社:東洋経済新報社
ISBN:978-4-492-31498-2


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本書の著者、ジョージ・A・アカロフとロバート・J・シラーはあまり馴染みがありませんが、実はともにノーベル賞受賞経済学者。
その2人が本書で示すのは「経済とは“釣り師”と“カモ”の闘いであること」で、まえがきではその意味をこのように説明しています。
「人々は驚くほどしょっちゅう、カモとして釣られていることがわかる。その結果としてかれらは、自分自身の常識をちょっとでも適用すれば、自分の利益にならないとわかるはずの決断を下してしまっている。本書の狙いは、カモを釣る例をたくさん挙げて、それが私たちの生活にどれほど影響しているかを示すことだ」
そのうえでカモを釣る例として示すのが、結婚式、お葬式、新車購入、住宅購入、金融商品、医薬品、選挙、広告、ポテトチップス、たばこ、お酒など。
とくに分かりやすかったのが「インクジェットプリンタ」の例。プリンタを買うとき、注目するのはプリンタの価格ですが、その後のインクカートリッジの費用の方がプリンタの初期費用に比べてかなり大きい。印刷する総費用が重要にもかかわらず、あるアンケート調査では回答者のうちプリンタを買うときにインクの費用まで知っていたのはたったの3%。著者は、プリンタの価格が調べやすいのに対し、インクの価格の調べにくさを指摘し、プリンタを売る側は成功していると説きます。
これ以外にも、消費をするときにはつきものの、「誇張」「歪曲」「隠蔽」「水増し」「ぼったくり」といった“釣り”の手法の具体例が満載。
“釣られる”ことで損する機会を減らし、今より賢い消費になるためにも読んでおきたい一冊です。

(評者:スタッフH)
(2017/5/23 UPDATE)

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