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希望名人ゲーテと絶望名人カフカの対話
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ (著), フランツ・カフカ (著), 頭木 弘樹 (編訳)
税込価格:1,620円
出版社:飛鳥新社
ISBN:978-4-86410-313-8


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「絶望するよりは、希望を持つほうがいい」(ゲーテ)
「ああ、希望はたっぷりあります。ただ、ぼくらのためには、ないんです」(カフカ)
この言葉からも分かるように、ゲーテは“希望に満ちた人”、カフカは“絶望に満ちた人”で、光と影のように対照的。本書はこの対照的な二人の言葉をあたかも二人が対話しているかのように並べ、明と暗の対比を存分に示したものです。

たとえば、ゲーテが「希望は、わたしたちが生きるのを助けてくれます。」と言えば、カフカが「朝の希望は、午後には埋葬される。」といった具合。
この他にも、、、
ゲーテ「希望を失ってしまったときにこそ、良いことが待っているものだよ。」 カフカ「ぼくがどの方向に向きを変えても、真っ黒な波が打ち寄せてくる。」
ゲーテ「太陽が輝けば、ちりも輝く。」 カフカ「暗闇に戻らなければなりませんでした。太陽に耐えられなかったのです。絶望を感じました。」
ゲーテ「厚い雲、たちこめる霧、激しい雨の中から、希望はわれわれを救い出す。」 カフカ「救世主はやってくるだろう。もはや必要ではなくなってときに。」
度が過ぎた対照的な言葉の応酬は、笑いをも誘います。

基本、希望はゲーテ、絶望はカフカという構成でページが進みますが、後半、これが逆転するページがあらわれます。希望の言葉を書きつづけたゲーテが“絶望”を、絶望の言葉を書きつづけたカフカが“希望”をつづった言葉。
ゲーテ「絶望することができない者は、生きるに値しない」
カフカ「もしぼくが赤の他人で、ぼくと、ぼくのこれまでの人生を観察したなら、次のように言わざるをえないだろう。すべては無駄に終わるしかなく、迷い続けている間に使い果たされ、創造的なのはただ自分を悩ませることにおいてのみだと。しかし、当事者であるぼくは、希望を持っている。」

“影”があるからこそ“光”は輝くし、“絶望”があるからこそ“希望”も輝く。
時を経て実現したゲーテとカフカの対話は、このことを再認識させてくれたような気がします。

(評者:スタッフH)
(2014/5/2 UPDATE)

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