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江戸しぐさの正体 教育をむしばむ偽りの伝統 (星海社新書)
原田 実 (著)
税込価格:886円
出版社:星海社
ISBN:978-4-06-138555-9


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さまざまなメディアで取り上げられ、有名になった「江戸しぐさ」。
本書は、この江戸しぐさが江戸時代に由来するものではなく、現代人によって創作されたものであることを示したもの。江戸しぐさを徹底的に検証し、去年の春ごろから江戸しぐさの疑惑をTwitterに上げ続けてきた著者の集大成です。
たとえば、江戸しぐさを代表する三大しぐさのひとつ「傘かしげ」。雨の日、狭い道で人とすれ違うとき、相手も自分も傘を少し外側に傾けて、さっとすれ違う、、、こうしたしぐさを指しますが、これは誤解に基づく創作。
江戸では和傘の普及が進んだのは江戸末期で、しかも当時は贅沢品という位置づけ。多くの江戸っ子は雨具として、傘ではなく頭にかぶる笠や蓑(みの)を用いていたのだといいます。
それゆえ、江戸で傘を差したもの同士がすれ違うという状況が、「傘かしげ」という特殊なしぐさを必要とするほど頻繁だったかどうかには疑問が残ると指摘。
そのうえで、実際の江戸の生活では傍迷惑になりかねないしぐさだった、とバッサリ斬り捨てています。
三大しぐさの残り2つ、「肩引き」「こぶし腰浮かせ」についても、江戸の実態にそぐわない点を厳しく指摘。感情論ではなく、根拠に裏打ちされた指摘は痛快そのものです。
多くの学校で道徳の授業に採用されるだけでなく、今年の春に文科省が配布した道徳教材にも「実在した商いの心得」として明記されている江戸しぐさ。本書によってその怪しさが知れ渡ることを願うばかりです。

(スタッフH)
(2014/10/1 UPDATE)

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