書考空間



なぜ時代劇は滅びるのか (新潮新書)
春日 太一 (著)
税込価格:778円
出版社:新潮社
ISBN:978-4-10-610586-9


本を購入


2011年12月に『水戸黄門』が終了し、民放テレビ局のレギュラー枠が完全消滅した時代劇。かつて隆盛を誇ったものが、今なぜ滅びゆこうとしているのか。
本書は、誰よりも時代劇を愛し、時代劇研究を生業とする著者がその理由を、毒舌を交えつつ厳しく指摘したものです。
「高齢者向けで古臭いという固定観念」、「『水戸黄門』という特異なシステム」、「自然体しか演じられないヘタな役者」、「マンネリ演出を打破できない監督」、「朝ドラ化する大河ドラマ」など、圧倒的な熱量で語られる、時代劇がダメになった理由の数々。
これらは作り手側の問題ですが、観る側の問題も指摘しています。それは、「時代考証をうるさく言いたがる風潮」。
本来は別の次元のことである、「時代劇を語る」ことと「江戸時代を語る」ことが同じ次元で行われるようになり、「作品として面白いか、面白くないか」よりも、「考証に忠実か、そうでないか」に重きが置かれるという本末転倒な状況が生み出されてしまった。結果として、「勉強しなければ時代劇を観てはいけないのではないか」と、新規のファンを遠ざけているのだといいます。
愛あるムチを通し、時代劇本来の魅力が浮かび上がってくる本書。
わたしはこれまで時代劇への思い入れはもちろん興味も皆無だったのですが、本書によってまんまと興味が刺激されてしまいました。
わたしのように時代劇に思い入れがない人にこそ読んでほしい一冊です。

(スタッフH)
(2014/10/8 UPDATE)

MESSAGE ★ 番組へのメッセージはこちらから ★ 皆さまからのご意見お待ちしております


ページの先頭へ