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バラエティ番組化する人々 あなたのキャラは「自分らしい」のか? (廣済堂新書)
榎本博明 (著)
税込価格:864円
出版社:廣済堂出版
ISBN:978-4-331-51869-4


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売れているお笑い芸人には、キレキャラ、いじられキャラ、天然キャラなど、それぞれの特徴を活かしたキャラがある。
そうした芸人を中心に進行するバラエティ番組の影響によって、キャラという言葉や発想は多くの人たち、特に若者の間に浸透し、一般的にも使われるようになっています。
多くの人は、相手によって自分の出し方を調整している。あの人の前では明るい自分を出し、また別の相手には真面目な自分を出すといった具合に、その時の状況を見ながら判断します。
本書によると、キャラを確立することのメリットは、対人場面での迷いや不安を解消してくれることだという。とりあえずキャラを作っておけば、他人からどう見られるかがわかるため、どんな風に自分を出せばいいのか悩む必要がなく、誰もが一度は通る「自分らしさ」という悩みから束の間でも解放されるというのです。

その一方で、「あいつは〇〇キャラだから、こんな風に反応するはずだ」という周囲の期待を裏切るわけにはいかないため、常にキャラを意識した行動を取らなければいけない窮屈さがあるといいます。
そしてどんなキャラであってもその場を盛り上げるキャラに過ぎず、社会的(グループの外)に承認される価値に結びつくものではないため、いくら完璧に演じても自らの自信にはつながらないのだという。自信がもてないから、どこまでも承認を求めて、ますますキャラに縛られていき、本当の自分から遠ざかったままになると著者は指摘しています。
キャラを確立することによるコミュニケーション上の便利さの反面、「本当はこんなキャラじゃない」と息苦しさを感じ、悩んでしまう若者も多いのだそうです。
武器としてのキャラと、そこから生まれる「自分らしさ」をめぐる葛藤を、心理学者である著者が分析している本書は、自分が日頃無意識に演じているキャラについて、改めて考えさせてくれる一冊です。

(評者:スタッフ・武市)
(2014/10/14 UPDATE)

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