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全脳エミュレーションの時代 人工超知能EMが支配する世界の全貌 上
ロビン・ハンソン (著),小坂恵理 (訳),井上智洋 (解説)
税込価格:2,484円
出版社:NTT出版
ISBN:978-4-7571-0373-3


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全脳エミュレーションの時代 人工超知能EMが支配する世界の全貌 下
ロビン・ハンソン (著),小坂恵理 (訳),井上智洋 (解説)
税込価格:2,484円
出版社:NTT出版
ISBN:978-4-7571-0374-0


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「全脳エミュレーション」とは、人間の脳を忠実にスキャンしてつくられる超知能体のこと。100年後には実現する、と著者は大胆な予測をしています。
本書は、この全脳エミュレーションによって作られたロボット「エム(EM)」が支配する世界を、経済学、人工知能、脳科学、心理学、社会学、工学など幅広い学問の視野を踏まえ、「物理特性」「経済」「人間活動」「社会生活」という4つの側面から克明に描き出すものです。
エムというのは、特定の人間の脳をスキャンしてから、脳細胞の特徴や結合をそっくり模倣して構築されるコンピュータモデル。人間の脳細胞と同じ特徴や結合に基づいて信号処理を行うため、信号の入力出力を人間とほぼ変わらない性能で処理。会話を交わし、役に立つ仕事をすることも可能なのだといいます。
本書の大部分のページを割いているのは、このエムがどのように暮らし、どのような社会を形成するのかという仮説。仮説とはいえ、エムのビジネスや組織から死に至るまで、その暮らしぶりや社会がどのようなものであるかが事細かに描かれています。
主な活動の場は、都市部に屹立する高層ビルに収納された無数のコンピュータの中。一部はロボットの頭脳部分として組み込まれ、実空間で生活を営んでいるのですが、ほとんどはコンピュータ上のヴァーチャル空間の中で仕事をしたり、恋をしたり、スポーツを楽しんだりしているのだといいます。
一方、人間はエムの経済に何らかの形で投資活動をしながら、その利益でもって世界の片隅でひっそりとリタイア生活を送ると予測。人間は世界において脇役となるわけです。
自分はもういないであろう驚くべき未来に思いを馳せ、多少の羨ましさを感じる一冊。

(評者:スタッフH)
(2018/3/15 UPDATE)

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