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現代社会はどこに向かうか 高原の見晴らしを切り開くこと (岩波新書 新赤版)
見田宗介 (著)
税込価格:821円
出版社:岩波書店
ISBN:978-4-00-431722-7


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本書は、東大の名誉教授である著者が「現代社会は人間の歴史の中の巨大な曲がり角にある」という前提のもと、現代社会がどのような方向に向かうのか、いつくかのデータを基に考察するもの。
日本の若者の価値感覚が、シンプル化、素朴化、ナチュラル化へと向かっていること、フランスの青年たちの幸福を充たしているのが、他者との交歓(互いに楽しむこと)と自然との交感(互いに感じ合う)であることなどを挙げながら、現代を生きる日本人の感覚をこう言い表しています。
「もちろん社会には幸福のために必要な基本的な物質条件をすでに十分に確保しながら、その上になお、何億でも何十億でも金もうけをしてみたいという人はいる。けれどもそういう人は、ある種の趣味の悪い人として、みんなからけいべつされるだけというふうに、時代の空気の潮目は変わろうとしている」
そして、必要以上の富を際限なく追及しつづけようとするばかげた強迫観念から資本家が解放されれば、悪い意味での資本主義は解体し、人間の幸福のためのツールとしての資本主義だけが残ると説きます。
こうした著者の示した答えに100%同意することはできません。同意したくないのですが、その一方で、著者を含む多くの識者の論考に触れることで、縮みゆく社会を受け入れて生きていくことは現代を生きる日本人にとって避けられない運命だと、うっすらと覚悟を決めつつ自分もいます。
縮みゆく社会をうっすら受け入れつつ、その他の可能性の到来を期待したくなる一冊です。
 
(スタッフH)
(2018/7/5 UPDATE)

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