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サリン事件死刑囚中川智正との対話
アンソニー・トゥー (著)
税込価格:1,512円
出版社:KADOKAWA
ISBN:978-4-04-102970-1


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オウム真理教の一連の事件で13人の死刑囚全員に刑が執行されました。
本書は、そのうちのひとり、中川智正元死刑囚と15回に及ぶ面会を重ねた人物。
松本サリン事件・東京地下鉄サリン事件では日本の警察に協力し、事件解明のきっかけを作った世界的な毒物学者で、中川死刑囚との「死刑執行されたら出版してください」という約束に基づき、本書は出版されたのだと言います。
面会で聞いたことを基に、事件の全容を明らかにしていて、炭疽菌などの生物兵器の責任者、遠藤誠一が無能だったこと、その無能さゆえにオウムが生物兵器の製造を諦めたこと、化学兵器の中心人物、土谷正実がいなければサリンは製造できなかった可能性があることなど、オウムの中心人物だからこそ語ることのできる事実が次々と示されていきます。
たとえば、遠藤に関して中川はこう語り…
「ワクチンを注射したマウスは当然ながら炭疽菌に免疫性を持つ。しかしそのマウスも死んでしまった。おそらく遠藤自身も自分の作った炭疽菌が有毒であったかは疑問に思っていたと思います。しかしこのプロジェクトを始める前から遠藤は麻原氏に、恐ろしいばい菌によって東京で何十万人も死ぬ、強力な生物兵器だと説明していた。それで麻原氏は莫大な資金を生物兵器のプロジェクトに注ぎ、実に大量の炭疽菌を作った。その時点で遠藤は麻原氏にできていないと言えなかったのでしょう」
著者はこう結論付けます。
「遠藤は自分が使った炭疽菌は無害だと知っていたが、当時から流行り出した遺伝子工学で無毒の細菌を有毒に変換させる自信があった。しかし結果的に失敗した。これは日本にとって不幸中の幸いであった」
あくまでもこれは一部。報道だけでは知り得なかったオウムの事実が詰め込まれた一冊です。

(スタッフH)
(2018/8/7 UPDATE)

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