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ナナメの夕暮れ
若林正恭 (著)
税込価格:1,296円
出版社:文藝春秋
ISBN:978-4-16-390887-8


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ゴルフにハマるおっさんを見下し、恥ずかしくてスタバで「グランデ」が頼めない、という思考の持ち主で、“ひねくれ者”であることを認めている著者。
そんな著者が40歳になるのを前に、ゴルフを始め、しかもハマっているのだといいます。
激動とも言える変化ですが、本書は、著者に訪れたこの大きな変化の軌跡が確認できるエッセイ集です。
きっかけとして示されるのが、父親の死。
死の間際、父親が「ありがとな」と言いながら、痩せこけた手で母親と握手している姿を見て、本格的に冷笑・揶揄は卒業しなければならないと思い始めた、と綴っています。
「内(自意識)を守るために、誰かが楽しんでいる姿や挑戦している姿を冷笑していたらあっという間に時間は過ぎる。だから、僕の10代と20代はそのほとんどが後悔で埋め尽くされている」
何でもかんでも、“みっともない”と片付けていた、過去の自分を悔いているくだりも、“ひねくれ者”を自認する人には心に刺さること必至。
「他人がはしゃいでいる姿をバカにしていると、自分が我を忘れてはしゃぐことも恥ずかしくてできなくなってしまう。それが“スタバでグランデと言えない”原因である。誰かに“みっともない”と思われることが、怖くて仕方がないのである。そうなると、自分が好きなことも、他人の目が気になっておもいっきり楽しむことができなくなってしまう」
38歳の私はまだ、人を冷笑・揶揄することから卒業できていません。先日も、電車で多摩川を通過するとき、バーベキューを楽しむ集団を見つけたら、自然と彼らを揶揄する言葉が口から漏れていました。私の冷笑・揶揄からの卒業はもう少し先になりそうです。

(スタッフH)
(2018/9/12 UPDATE)

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