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【コレって、どうなの?】 Vol.40『「最大限の協力をしたのに・・・心外だ」。自衛隊の防災演習立ち入り拒否問題で当事者が語った胸の内』

番組スタッフ
昨日から物議を醸している、産経新聞(2012/7/23)の『「迷彩服を区民に見せるな」 自衛隊の防災演習、東京の11の区が庁舎立ち入り拒否』という記事。

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16日夜から17日午前にかけて行われた、陸上自衛隊第1師団(東京都練馬区)の連絡要員の自衛隊員が東京23区に徒歩で出向き、被害状況や出動要請などを確認する統合防災演習で、自衛隊側が23区に対し「隊員を区役所庁舎内に立ち入らせてほしい」と要請していたにもかかわらず、11区が拒否していたことが22日までの産経新聞の調べで分かった。
立ち会いも要請していたが、7区の防災担当職員は立ち会わず「区民に迷彩服を見せたくなかった」と明かした区担当者もいた。
隊員の立ち入りを拒否したのは千代田▽中央▽港▽新宿▽目黒▽世田谷▽渋谷▽中野▽杉並▽豊島▽北−の11区。
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この記事に対し、「隊員の立ち入りを拒否した」と名指しされた港区、中野区、豊島区などはすでに「記事は事実無根である」という意図の反論記事をHPに掲載していますが、なかなか問題の全容はつかみきれません。

そこで、わたしは記事の中で「隊員の立ち入りを拒否した」と名指しされた11区の中のある区で、防災演習の対応をしたという担当者の方に電話取材を敢行。
興味深い話を聞き出すことができました。

Q:きのう、区に抗議の電話はかかってきましたか?
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一日中、抗議の電話がかかりっぱなしで、切れ目がありませんでした。
ただ、事実を説明したら、ほとんどの方が納得してくれました。

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Q:そちらの区が「隊員の立ち入りを拒否した」と名指しされていますが、これについてはどんな心境ですか?
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「隊員の立ち入りを拒否すること」は区にとって何のメリットもありません。
災害が起きた際に、きちんとした対応をしていただくために、区としては最大限の協力をしたつもりですので、心外だし、大変遺憾に思っています。
記事を書いた産経新聞の記者とも直接、電話で話しているので、なんでこんな記事になってしまったのか、という思いがあります。

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Q:最大限の協力と言いますが、どんな対応をしたのか教えていただけますか?
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今回の防災演習は、自衛隊員が2人1組で23区に徒歩で出向き、被害状況や出動要請の有無などを確認するというもの。
われわれの区に出向く自衛隊員2人が練馬駐屯地を出発したのが16日の19時13分。
徒歩でわれわれの区の防災センターに到着したのが、17日の0時55分。
そして17日の朝8時から10時まで防災センターで無線通信訓練を行っていきました。
防災センターは庁舎内ではなく、別の建物にあるのですが、ここで無線通信訓練を行ってもらった理由は、災害時に区が収集した情報が集まる災害対策本部がある重要な場所だからです。
実際に災害が起きたときには、自衛隊は災害対策本部付近に常駐し、被害状況を練馬駐屯地にある第一普通科連隊に送ることが想定されます。
災害が起きたときにより近い状況で訓練をやってもらおうとの配慮であり、自衛隊もこれを了承していました。

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Q:今の話を聞く限りでは最大限の協力をしたように思います。ではなぜ「隊員の立ち入りを拒否した」と名指しされてしまったのでしょうか?心当たりはありますか?
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ひとつ心当たりがあります。
自衛隊の本部から、自衛隊員2人が防災センターに着いた17日の0時55分から、無線通信訓練を行う翌朝8時までのおよそ7時間を、防災センター内で待機させてくれないかとのお願いがありました。ところが、防災センター内に待機する場所を確保することが困難なことなどから、区内にある自衛隊関連施設に宿泊してくれないかとお願いしたところ、これに本部は了解してくれました。
記事を書いた産経新聞の記者に、この対応については質問をされていたので、これを「立ち入り拒否」と解釈したのかもしれません。

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Q:記事にある「区民に迷彩服を見せたくなかった」という声は実際にありましたか?
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区の職員からそういう声はあがっていないが、区民の方からは「迷彩服を見たくない」という声は寄せられていることは確かです。
わたしにはそういう感情はないので、何とも言えないが、平時なのに自衛隊が迷彩服を来て歩いていると、不安を覚える人もいるのでしょう。

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わたしが今回取材できたのは、「隊員の立ち入りを拒否した」と名指しされた11区の中のたった1区です。
ただ、この1区ではありますが、「隊員の立ち入り拒否」とはほど遠い現実が明らかになりました。


そして騒動から一夜明けた今朝の産経新聞の「産経抄」には、この問題についてこんな見解が掲載されています。

『迷彩服をなぜか受け入れられない人の存在は、承知している。
まさかそんな一部の声に配慮するあまり、首都直下地震に向けた自衛隊の訓練をないがしろにする防災担当職員が、東京都内の区役所にいるとは。
(中略)
職員の心ない仕打ちにも顔色ひとつ変えなかったであろう、自衛隊員の心情を思うと、やりきれない。』


記事の中でひときわ目を惹くのは、『首都直下地震に向けた自衛隊の訓練をないがしろにする防災担当職員』という一節。

一連の原発事故の報告書も一応出揃い、防災や減災、そして原発事故への対処について1日も早く本格的に取り組まなければならない時に、どうしてこのような奇妙なすれ違いが報じられてしまうのでしょうのか。不可解でなりません。


<web担当:H>
(2012/7/24 UPDATE)

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