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DAILY NEWS

【常識と非常識の座標】vol.09 人格を使い分ける若者たちを憐れむべきか

番組スタッフ
みなさんは日常生活においてキャラ、人格を使い分けているでしょうか?
電通が行った「若者まるわかり調査2015」で興味深い調査結果があります。

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▼Twitterアカウントを複数所有している人は、高校生で62.7%、大学生で50.4%、20代社会人で34.5%。Twitterユーザーが所有するTwitterアカウントの平均個数は、高校生で3.1個、大学生で2.5個、20代社会人で2.7個

▼実生活において一緒に行動したり情報を得たりしているグループやつながりの数は、高校生で7.2個、大学生で7.4個、20代社会人で6.8個。

▼実生活におけるキャラクターの使い分けについても聞いている。高校生で5.7キャラ、大学生で5.0キャラ、20代社会人で4.0キャラを使い分けており、「ライフステージが若ければ若いほど、日常でのキャラの使い分けが活発に行われている」という。


【女子高校生Twitterユーザーはアカウントを平均3.4個所有、電通の「若者まるわかり調査2015」】
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「今の若い子って大変だね」
このニュースに対して、こんなコメントを目にしました。

私は仕事の時とプライベートでは私が用いている人格は異なります。
細かくいうと、携わる仕事の種類によってお付き合いする顔ぶれも違うので、仕事の現場の違いによっても人格を変えていたりします。
人格を使い分けることが億劫だとも思いません。プライベートも仕事も1つの人格で突き通すことこそ、私にとってはストレスです。

私自身のSNSとの付き合い方の場合。自ら何かを投稿することはなくなり、完全なる「見る専」となってしまいました。
例えばFacebookを使い始めた頃は友達リストにいるのが親しい友人だけのですが、いつの間にか仕事関係者にまで広がりました。仕事関係者には投稿を見られないようにすればいいのですが、仕事関係者の中でも投稿を見て欲しい人、見られたくない人という隔てがあったりします。
プライベートと仕事では私は人格を使い分けているつもりですので、親しい友人、仕事関係者の共に見られていると意識した人格で投稿しなければならないという面倒臭い状態に陥っていたのです。
日常で人格を使い分けているからそんな面倒に陥るのでしょうが、その面倒から逃れるためにはコミュニティによって使い分ける人格の数だけアカウントを所有するという別の面倒を受け入れなければならないのです。

SNSが自身の広告ツールと言わんばかりに、積極的に趣味嗜好や仕事内容、さらには政治思想のようなものまでいちいち教えてくれる人がいます。
Yahoo!ニュースを見ると、顔写真アイコン付きの実名と思われるFacebookアカウントで記事について堂々とコメントを残す人もいます。コメントすること自体に全く問題はないのですが、平気で差別的発言をする精神の強靱さに驚かされることもしばしばです。
Yahoo!ニュースの記事にコメントを残すとなると、Facebook内の友達数の何万倍にもあたる人に見られる可能性がある…そう考えただけで(他者はきっと気にしてないのに)他者の目が気になってしまう私のような人間は、絶対にYahoo!ニュースの記事について何かをコメントする気は失せてしまいます。

「ありのまま」とか「レリゴー」とか、自分を大きく見せない、本来の自分であることが若い女性たちの間でもてはやされているようです。こういった言葉が礼賛される背景には、SNSアカウントを複数所有し、自身が身を置くコミュニティの数に応じて人格を使い分けることへの疲弊があるのかもしれません。
しかし、こうも思います。
実は完全なる「ありのまま」などなく、多々ある人格の一部に「ありのまま」を設けているだけなのではないか、と。
あらゆる場面において、「ありのまま」の自分で立ち向かい、それを貫き通すとおそらくコミュニティの垣根が瓦解し、人間関係が破綻してしまいます。
自営業の私など、食べることに困ってしまう自分がはっきりと想像できてしまいます。

人格を演じること、偽ることは悪いことではありません。社会を生き抜く立派な知恵です。
生き辛い世の中だと言われます。
30代の私からすると、SNSアカウントを複数所有して人格を使い分けることなど、想像の域を超えた面倒さがありますが、10代・20代の若者からしてみると今を生きるための大切な術。
彼らを勝手に可哀想な世代だと憐れんではいけません。

私は30代ですが、バブルを知らないというだけでバブル入社世代から同情されたこともあります。
バブル崩壊後の不景気真っただ中に生まれた若者などは、「良い時」の日本を知らないというだけで私たちの世代以上の憐憫を注がれます。
過去を知る世代が知らない世代への助言は大きな指針となるうるかもしれません。
しかし、過去のあの一瞬こそ素晴らしいという思い出の呪縛に囚われすぎて、若い世代を憐れむことだけはご法度だと思います。
当の若者にとっては上の世代の憐れみほど、「はて?」と頭をかしげてしまうものはないのですから。

スタッフ・坂本
(2015/4/30 UPDATE)

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