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21.05.03

日本のワクチン接種が遅れている理由

nullネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。

今日は「BuzzFeed Japan News」副編集長の神庭亮介さんにお話を伺いました。神庭さんが注目した話題はこちらです。


日本のワクチン接種が遅れている理由

ユージ:先週、テレビ番組に出演したワクチン担当大臣の河野さんも、国産ワクチンの承認の見通しについて「早くいけば年内にも、というところがあるように聞いている」とコメントしていましたが、国産ワクチンの開発も含め、日本は遅れていると言われていますよね。


吉田:そこで今日は、日本のワクチン接種が遅れている理由について神庭さんに教えて頂きます。その前に、現状のデータをご紹介しますね。
ワクチンを「少なくとも1回接種した人」の人数は、5月1日時点で「アメリカ:1億4400万人」「インド:1億2500万人」「イギリス:3400万人」で、日本はというと「249万人」で、アメリカと比べると2桁、ヨーロッパ諸国との比較でも1桁少ないんです。
人口比で見ても「イスラエル:62%」「イギリス:50%」「アメリカ:43%」に対して、「日本:1.97%」で、4.5%のインドネシアや3.5%のバングラデシュも下回っています。


神庭さん:数字で見ても、日本のワクチン接種が遅れているのは明らかですよね。


ユージ:先ほど河野大臣の国産ワクチンのコメントを紹介しましたが、ワクチン接種が外国に比べて遅れている理由の一つに、日本の国産ワクチン開発の遅れがあると言われていますが、現在はどうなっているんでしょうか?


神庭さん:日本でも4社が国産ワクチンの開発に取り組んでいて、60億円から223億円もの国による補助金が投じられています。しかし、こちらは順調とは言い難い状況で、ある大手製薬会社のワクチンは年内の供給が困難な見通しだと報じられていますし、別の企業に関しても、大阪の吉村知事が昨年「2021年春から秋に実用化を目指したい」と発言しましたが、やはり遅れている状況です。
その原因のひとつが「治験の難しさ」だと言われています。ワクチンの開発では、最終段階で大規模な治験が必要になるんですが、そこでは本物のワクチンと別に「偽薬(プラセボ)」を投与するグループが必要になります。偽の薬でも「効果があるかも」と思い込むと、実際良くなってしまう「プラセボ効果」があるので、そうした心理的な影響を排除してワクチンの有効性を確かめないといけないんです。ところが、すでに「実際に効く」ワクチンが実用化されているなかで、「偽薬」を使って治験をすることに対して倫理的な問題があり、海外で治験をしようにも協力を得るのが困難な状態だということです。
コロナウイルスが変異を繰り返し、毎年接種するインフルエンザのワクチンのように長い付き合いになるのであれば、今後国産ワクチンの出番もあるかもしれませんが、少なくとも年内に関しては、輸入ワクチンに頼ることになるだろう、ということです。


吉田:そういった事情もあって、国産のワクチン事業は進んでいないということなんですね。では、輸入ワクチンの接種が遅れている理由は何なんでしょう?


神庭さん:河野担当相がテレビ番組で語ったところによると、主な要因は2つあるということで、まずファイザーが治験をスタートしたのは昨年の7月で、当時感染者数が少なかった日本は治験の対象外となり、日本独自の治験がスタートしたのは昨年10月で、3ヶ月遅れとなったこと。そして、アメリカでは昨年12月に本番の接種がスタートしまして、日本で医療従事者の接種が始まったのは今年の2月。2ヶ月遅れまで差を縮めましたが、ちょうど同じ頃に世界的なワクチン需要が高まり、ファイザーが増設のため一旦生産ラインを止めたことも影響しているようです。


吉田:これからスピードアップできそうでしょうか?


神庭さん:ゴールデンウィーク明けからは、ワクチンが毎週1000万回分ずつ入ってきて、6月末には高齢者3600万人が2度打てるだけの量が入ってくるということです。また首相は「9月末までに(全対象者への)供給にめどが立った。」とおっしゃっているので、今後の課題は「ワクチンの確保」から「いかに迅速に接種するか」という供給・ロジスティクスの問題に移っていくと思われますが、医療従事者470万人のうち、4月末までに2度目の接種を終えたのは20%に止まっているそうなので、ここは非常に心配ですね。


ユージ:これは、どうしていったら良いのでしょう?


神庭さん:アメリカでは、薬剤師や過去5年以内に免許が失効した医師・看護師、一部の州では、医学生や看護学生などもワクチンの投与を行っているそうで、イギリスでは一定の研修を受けたボランティアも投与を行っているようです。日本でボランティアは難しいと思いますが、例えば看護師資格を持っていて、現在は看護の仕事をしていない「潜在看護師」は約70万人いると言われていまして、そのうち連絡先のわかる人は13万人にとどまりますが、そういった人たちに対してしっかりと手当を出して、何とか力を借りられないかと思いますね。



そして、今日の #ユジコメ はこちら。






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