21.06.14
「緊急事態宣言」の解除について
今日は「BuzzFeed Japan News」副編集長の神庭亮介さんにお話を伺いました。神庭さんが注目した話題はこちらです。
「緊急事態宣言」の解除について
吉田：きのう、群馬・石川・熊本の3県の新型コロナウイルスまん延防止等重点措置が解除され、いよいよ20日に期限を迎える、東京や大阪などの緊急事態宣言解除の是非が注目されています。
ユージ：神庭さん、いよいよ20日に期限がきますね。
神庭さん：そうですね。長かったですよね。東京・大阪・兵庫・京都の4都府県に関しては、当初4月25日から5月11日までの17日間の短期決戦と言っていたんですけれど、これがまず5月31日までに延長され、さらに後から加わった沖縄にあわせる形で6月20日まで延長されまして、合計すると2ヶ月近い長期間になります。
新型コロナ分科会が示す4段階の指標で、「感染爆発」のステージ4に達したら緊急事態宣言を発令し、「感染急増」のステージ3まで感染状況が落ち着いたら宣言を解除する、というのがひとつの目安とされているんですね。東京は現在、すべての指標でステージ3以下になっており、大阪も入院率と療養者数を除けばステージ3以下なので、解除は妥当かなと思いますね。
吉田：そのほかのエリアはどうですか？
神庭さん：北海道や沖縄では病床使用率や新規感染者数など、多くの指標でまだステージ4を脱していないんです。政府内には「沖縄や北海道だけ残るのはありえない」という意見もあるようですが、ウイルスには県境や人間の都合は関係ないので、各県ごとの感染状況を踏まえて、慎重に判断して欲しいなと思いますね。
ユージ：宣言の効果はあったと思いますか？
神庭さん：これは間違いなくありました。5月上旬に全国で7000人を超えていた感染者数が、直近で2000人を切るまで低下してきていますので、感染対策としては間違いなく効果があったと思います。とはいえ「めでたし、めでたし」で済ませられない部分もありまして、経済は非常に深刻な影響を受けました。野村総研の試算によれば、第1回目の緊急事態宣言による経済損失は推計で約6.4兆円。第2回目は約6.3兆円。今回の第3回目は少なくとも3兆円を超える見通しとなっています。
政府はステージ4で緊急事態宣言を発令する、という基本方針を示していますが、実際は緊急事態宣言入りした4月下旬の時点で、東京はほとんどの指標でステージ3以下だったんですよね。ということで、「宣言発令の要件を満たしていないのではないか」という指摘も出ていたんですよ。なので、感染者数が減った、効果があったというのは事実なんですけれど、ステージ4に達していないのに緊急事態宣言を出すという「入り口」の判断が妥当だったのかは、改めて検証が必要かなと思いますし、逆に「最悪を想定して先手を打つ必要があった。ステージ3でも妥当だ」というのであれば、目安・基準の方を改める必要があるかもしれませんね。
吉田：気になるのは、やはりリバウンドの心配ですよね。
神庭さん：宣言を解除して一気に平時に戻すのはやはり危険ですね。第2回の解除時、大阪や兵庫はそれをやって一気にリバウンドしてしまったんです。大阪の吉村知事は「今回は変異株もあるので、緊急事態宣言解除の基準になったとしても、慎重にならなければならない。解除したから通常にすぐ戻すというのは絶対ダメで、宣言から『まん延防止等重点措置』に移行して、感染対策は徹底して取っていく」と言っているんです。これは吉村さんがおっしゃっている通りで、宣言後の「下り」での蔓延防止措置が政府内でも選択肢として有力視されているということです。
ユージ：オリンピックの影響についてはいかがですか？
神庭さん：蔓延防止措置への移行後も飲食店への規制は残りますが、オリンピックの開会まで1ヶ月を切りお祭りムードが高まっていくにつれて、ルールを破る飲食店が多数出てくることが強く懸念されます。が、これはある意味当然のことで、そもそも時短の協力金の支払いが大幅に遅れていて、未だに自粛と補償がまったくセットになっていない状態なんです。そこへきて「オリンピックはやります。しかも選手村ではアルコールもOKなのに、なんで飲食店だけ…」という不満が高まっていくと、そうしたモラルハザードが起きることもあり得るな、と思いますね。
「8割おじさん」こと西浦博さんのシミュレーションによると、高齢者のワクチン接種が順調に進んだとしても、8月初めに再び緊急事態宣言を出すレベルの流行が来る、ということなんです。しかもこの試算は、オリンピックが開催された場合の影響や、感染力の強いインド由来の変異ウイルスの影響を織り込んでいないんですよ。それでもこういったシミュレーションが出ているので、いま一度慎重に検討すべきではないかと思います。
そして、今日の #ユジコメ はこちら。
一方で、感染対策を万全にして、人との関わりも避けて
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) June 14, 2021
頑張っている方もたくさんいますし、今はまだそれが求められています。
ただ、この感染対策をいつまで頑張り続けられるのか。
コロナとの戦いをどう収束に向けていけるかがポイントなので、期限後も気を引き締めていきたいと思います。#ワンモ
