PASSENGER DIARIES

EDC 営業日誌(過去のお客様)

2021年1月30日放送

Passenger

山田五郎

本日のお客様は、山田五郎様。
1958年東京生まれ。上智大学文学部在学中にオーストリア・ザルツブルク大学に1年間遊学し西洋美術史を学びます。大学卒業後、講談社に入社。雑誌「Hot-Dog PRESS」の編集長などを経て、現在は、評論家、タレント、作家としてご活躍中です。


※講談社時代の山田さん①

 

 

編集者から芸能界へ

メディアに出るキッカケとなったのは「タモリ倶楽部」。当時、「タモリ倶楽部」の構成作家が、「Hot-Dog PRESS」のライターをされていた事もあり、「今週の五つ星り」という、タモリさんと女性のお尻を鑑賞するコーナーに急きょ代役として出演。
「山田五郎」という名前は、実は芸名。由来は、万年筆で有名なモンブラン社のシャープペンシルPIX(当時、20万円程で販売されていた)。編集部の落とし物置き場で発見し、持ち主が一向に現れず、大掃除の時に処分されそうになったので、引き取ることにしました。しかし、そのシャープペンシルには「Yamada」という名前が!どうしようか悩んだ末、自分が「山田」になればいいんだ!と思いつき、そこから「山田」と名乗るようになりました。「五郎」は、急きょ連載の執筆を担当することになった時、「バイク屋の五郎さん」という漫画に出てくる名前を適当に引用し、「山田五郎」が誕生しました。


※講談社時代の山田さん②

 

 

1970年 大阪万博

東京生まれの山田さんですが、小学校4年生で兵庫県西宮に引っ越し、5年生から大阪で育ちます。そして1970年、6年生の時に、大阪万博を現地で体験されました。会場まで自転車で通える距離に住んでいた山田さんは頻繁に万博を訪れ、万博に通い過ぎたせいで、中学受験に失敗したと語るほど…。
人気のパビリオンはアメリカ館、ソ連館、そしてテーマ館でもある太陽の塔でした。太陽の塔は、現在とは異なり、大屋根がありました。建築家の丹下健三さんがデザインしたこの大屋根は、支える柱が少なく、建築に詳しい山田さんから見ても凄い構造だったと振り返ります。山田さんが1番好きだったパビリオンは「インド館」。コンパニオン(当時の呼び名は「ホステス」)のインド人女性が、西洋の雰囲気とも違う、それまで見た事ない美しさで、ホステスさん見たさに足繁く通いました。


※高校時代の山田さん

 

 

1974年 大阪・中之島

美術や建築物にも造詣の深い山田さん。
中学・高校時代、進路適正検査(どの職種に向いているかの検査)を受けると、結果はいつも「土木建築」でした。当時、建築の構造にまでは興味がなかったそうですが、美術が好きで、美しい建築には興味がありました。

そんな山田さんのお気に入りの場所は、大阪・中之島。
大阪のイメージといえば、「たこ焼き」「串カツ」「お笑い」など庶民的なものが浮かびますが、大阪にはハイカルチャーな部分もある、と山田さんは言います。
大阪はパリと姉妹都市で、大阪のシンボルである通天閣は、もともとエッフェル塔がモチーフになっています。そして、日本銀行大阪支店・大阪市庁舎・中央公会堂など、歴史的建造物が並ぶ中之島は、パリのシテ島のような美しい街で、まさにハイカルチャー。昔は、パリと同じ船も運行していたそうです。
中之島図書館は、山田さんが高校時代、周囲から文学の天才少年と呼ばれていた友人の下浦君と調べ物をしに通った場所。下浦君は、古い文学や資料を取集しており、後に江戸時代の数学・和算の研究者として有名に!残念ながら早くにお亡くなりになりましたが、下浦さんの収集していた資料は、東京理科大学に「下浦文庫」として保管されています。中之島は、山田さんにとっては忘れられない友人との思い出の場所でもありました。


※大阪府立中之島図書館

 

 

初の小説「真夜中のカーボーイ」

{小説の主人公は、出版社に勤める定年間近の冴えない男。彼は高校時代の恋人からの39年ぶりの電話をきっかけに、大阪から和歌山県・南紀白浜へとドライブに出かけます。}

山田さんは昨年、初めての小説「真夜中のカーボーイ」を執筆されました。
この小説には、関西弁の会話のシーンが多く出てきます。東京生まれの山田さんは、ネイティブではない自分の関西弁にコンプレックスを抱いていましたが、外から来た者だからこそ分かる大阪の良さを感じ取っていました。「出没!アド街ック天国」では、街に詳しい人としてお馴染みの山田さんですが、町おこしには、「若者・馬鹿者・よそ者」の3者が必要だと言います。中でも、「よそ者」は、その町の良さを客観的に認識できる重要人物で、それを伝えることが、小説執筆の最初の動機だったそうです。数年前にお母様と和歌山をドライブされて、小説を書き始め、昨年のステイホーム中、空いた時間で書き上げました。

「真夜中のカーボーイ」の中には、たくさんのドライブルートが登場します。和歌山県白浜からの海沿いルート(熊野古道の大辺路)は、特にドライブに最適で、潮岬、橋杭岩などの景勝地があり、神話・和歌・古事などの歴史にゆかりある場所が数多く存在します。紀伊半島の南端を巡るこのコースは、最近、道路も綺麗に整備されて、運転もしやすい!ジャイアントパンダで有名な「アドベンチャーワールド」も大人気です。


※橋杭岩

初めての小説を書き終えて、山田さんが発見したことは、「作家はスゴい!」ということ。執筆中、どのくらいの量を書けばよいか、書きすぎていないか、リアリティを出すにはどうしたらよいか、など頭を悩ませることがたくさんあったそうです。それらをうまくまとめる作家という職業を、改めてスゴい!と感じた山田さん。次回作は、構想はあるものの、大変なのでもう少し準備を整えてから・・・とのことです。


※執筆中の山田さん

 

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