PASSENGER DIARIES

EDC 営業日誌(過去のお客様)

2021年3月6日放送

Passenger

丸山ゴンザレス

本日のお客様は、丸山ゴンザレス様
1977年、宮城県生まれ。國學院大学大学院文学研究科で史学を専攻し、在学中から海外を放浪。卒業後、出版社を経て、危険地帯をめぐってきた経験を生かしてフリーに。ジャーナリスト・編集者として世界中の危険地帯や裏社会の取材を続けています。YouTubeチャンネル登録者数42万人以上の人気YouTuberでもあります!

 

 

〜危険地帯への取材〜

これまで、世界各地のスラム街、ニューヨーク・ラスベガス・ルーマニアの地下空間、フィリピンの拳銃密造村など、一般の人が行かない危険な場所を取材されてきた丸山さん。なかでも、最も印象深く、もう一度取材に行くのは無理!とおっしゃるのが、メキシコの麻薬戦争。メキシコの麻薬カルテル(製造・売買に関する活動を行う組織)の人たちの脅し方は特殊で、銃を突きつけるなど直接的な脅しでは無く、精神的な恐怖を植え付けてきます。丸山さんが実際に体験した例は、朝方、ホテルの敷地外の喫煙所でタバコを吸っていた時、背後から「昨日のタコスは美味しかった?」と英語で囁かれます。囁いた男はすぐに立ち去りましたが、これは丸山さんのことを一晩中監視していたぞ、というサイン。実際に昨晩タコスを食べ、何気ない時間にタバコを吸いに外に出た丸山さんは、常に見張られていることを察し、このサインを読み違えると危ない、と感じたそうです。この他にも、様々なサインを送ってくる麻薬カルテルが醸し出すヤバイ空気に、数々の危険地帯を経験してきた丸山さんでさえ、もう一度取材に行くには、リスクが高すぎると語ります。


※メキシコ取材で同行した自警団の若者たち

 

 

〜安心・安全なオススメの旅行先〜

丸山さんオススメの安全な旅行先はアメリカオレゴン州。
ここは、1977年生まれの丸山さんが少年時代に影響を受けた映画「スタンド・バイ・ミー」や「グーニーズ」の舞台となった場所です。車で巡れば、スタンド・バイ・ミーの舞台になったユージーンや、グーニーズの主人公マイキーの家など、様々なロケ地を訪れることができます。特にオレゴン州の良いところは、当時の景色がそのまま残っているところ。日本人にも馴染み深い有名映画の景色を、今でも見ることができます。


※「スタンド・バイ・ミー」の舞台となった町を歩く

ちなみに、丸山さんがオレゴン州を訪れた一番の理由は、ロケ地巡りではなく、オレゴン州の山、マウント・フッドで「サスカッチ」(未確認生物:雪男のような生き物)の目撃情報があり、その取材のためでした。山の中に車で入り、けもの道のようなところを探すも、結局見つからなかったそうですが、現地の人に「日本からサスカッチを探しに来た。本当にいるの?」と聞くと、みんな笑いながら「いるよ〜」と答えてくれて、和やかな空気に包まれていました。

 

 

〜考古学〜


※考古学専攻していた学生時代の発掘現場にて

丸山さんは、大学・大学院時代に考古学を専攻されており、研究対象は「横穴墓」でした。横穴墓とは、崖や地下を掘って作られた洞窟のようなお墓だそうです。
丸山さんが追い求めていた考古学の魅力は、「インディー・ジョーンズ」の世界。真面目に研究しつつも、冒険がしたい!盗掘・贋作など、ちょっとブラックな分野に興味がありました。世界では、いち早く近代化を果たした国が他国の遺跡から財物を奪ってきた歴史があり、それもひとつの盗掘。現在でも、政情不安定な国の博物館からテロリストが文化財を盗んだり、闇のネットオークションで取引されたりしているそうです。また、盗まれたものが本物か偽物か判断するには専門知識が必要で、「アンダーグランドな領域でも知識を要するところがすでに面白い!」と感じて、丸山さんは考古学のちょっと変わった側面に興味を持ちました。
大学院修了後は、考古学からは離れますが、現在は、母校・國學院大学の「学術資料センター共同研究員」に。
考古学の世界も時代とともに進化していて、近年は、衛星から撮影した写真を解析することで、ジャングルや砂漠や水中にかつて都市があったことが発見される事例がたくさんあり、宇宙考古学と呼ばれています。また、水中ドローンを使って、水中に埋没したものを調査するなど、最新機械を駆使して、人が実際に行けない場所の研究も進んでいるそうです。

 

 

〜東日本大震災〜

丸山さんは宮城県・仙台市出身。東日本大震災が起きた時は、発災後すぐ、実家の状況や親類の安否を確認するため、宮城県へ戻られました。安否確認のあと、被災地を取材されますが、多くのメディアやジャーナリストが現地を取材する中、丸山さんが集めた情報は、大手メディアが取り扱わないB級ニュースでした。また、震災からしばらく経ったあと、メインで取材されたのが「ガレキの処理」。津波に襲われる前の海岸線の景色を知っている丸山さんだからこそ、その場所の変貌ぶりを昔の記憶と照らし合わせながら伝えることができます。また、地元の友達に取材をすることで、被災された方々のリアルな声を聞くことができました。


※東日本大震災の発災直後、石巻に取材に入る丸山さん

震災取材の前まで、丸山さんの肩書きは、「ライター」や「ノンフィクション作家」など様々で、特に決まっていませんでした。しかしこの時、先輩ジャーナリストから「自分で取材して、自分で文章を書いて発信するなら、責任を持ってジャーナリストとして名乗ったほうがいい」と言われたそうです。たとえB級ニュースであったとしても、丸山さんしか取材していないことは、正確な情報であることの責任や、他のメディアがそれを見て丸山さんに取材することもあるので、自分の名をしっかり明示することが大事。震災取材を機に「ジャーナリスト・丸山ゴンザレス」として活動されるようになりました。

 

 

〜「旅の賢人たちが作った海外グルメ旅最強ナビ」〜

昨年末に出版された、丸山さんが手がける「最強ナビシリーズ」の最新作『旅の賢人たちがつくった海外グルメ旅最強ナビ』。そもそも「最強ナビシリーズ」は、いわゆる旅行ガイドブックとは異なり、様々な旅人たちの「経験」を紹介し、旅の楽しみ方やテクニックをまとめた本です。
そして、今回のテーマは「グルメ」。
珍味を追い求める人、肉を食べるために世界中を廻った人、アメリカで出会った料理のレシピを再現する人、南アフリカに最先端のインド料理を食べに行く人など、一風変わったグルメ旅をされている方々のエッセイがまとめられています。以前から、「食はエンターテイメントになる!」と考えていた丸山さん。しかし、コロナ禍により出版する意味が変わってきたと言います。この本は、「エンターテイメント」であり「記録」でもある。コロナによって、世界の名店が潰れてしまったり、食事のスタイルが変わってしまう可能性がある中で、これまでの世界の食文化を資料として残すことに意義があると感じました。
丸山さんご自身も、海外で様々なモノを口にしてきました。なかでも、黒魔術系の人たちから出されたドリンクは、健康を損ないそうなほどの味だったそうです・・・。それでも果敢に現地のものを口にする理由は、「物書き」として活動する上で、いくら情報を頭に入れても、味覚と嗅覚だけは経験しないと表現できないから。お腹を下すことも多々あるそうですが、丸山さん曰く、「太田胃散を飲めば何とかなる!」。また、現地の人と信頼関係を築くためにも、その土地のものを積極的に口にします。時には、ある飲み物を飲んだ瞬間、現地の人から爆笑されたこともあるそうですが・・・。
これからも我々の想像を超える、丸山さんのワンダフルでクレイジーな旅は続きます!


※丸山さんの思い出の海外グルメ:南アフリカで素手で食べたバーベキュー(ナイフは切り分け用)

 

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PLAYLIST
  • 「DEAR MY FRIEND」
    Hi-STANDARD
  • 「Stand By Me」
    Ben E. King
  • 「飛行艇」
    King Gnu
  • 「海岸通り」
    ASIAN KUNG-FU GENERATION
  • 「Hello! Everybody!」
    斉藤和義
  • 「空はまるで」
    MONKEY MAJIK