PASSENGER DIARIES

EDC 営業日誌(過去のお客様)

2021年3月13日放送

Passenger

林原めぐみ

本日のお客様は、林原めぐみ様。
『らんま1/2』の早乙女らんま、『平成天才バカボン』のバカボン、『新世紀エヴァンゲリオン』の綾波レイ、『ポケットモンスター』のムサシ、『名探偵コナン』の灰原哀など、数多くの有名キャラクターを演じている、日本のトップ声優です。今年2月には、『林原めぐみのぜんぶキャラから教わった 今を生き抜く力』を出版。ご自身の誕生日でもある3月30日には、歌手活動30周年を記念したベストアルバム『VINTAGE DENIM』をリリースされます。

 

 

〜声優へのきっかけ〜

声優を目指したきっかけは、小学生の頃に観た映画『さらば宇宙戦艦ヤマト』。映画館でパンフレットか何かを見て、ロボット(アナライザー)の声を担当しているのが人間(緒方賢一さん)だと知り、衝撃を受けました。その後は、アニメを見る度に、このキャラクターはどの声優さんが担当しているのだろう?と気になるようになります。今では、少年役の声を女性が担当することは当たり前のようになっていますが、当時の林原さんにとっては、その真実も信じられないことだったと言います。
高校卒業後、看護学校に通いながら、週に1度、声優の養成所に通っていた林原さん。夢である声優界への情熱を持ちつつも、現実的な進路も考え、学業と両立されていました。そんな中、初めて出演した作品はアニメ『めぞん一刻』。エキストラ役で、「なんだあの犬?」というセリフのみでした。収録後、音響監督の方に将来について聞かれ、この世界で挑戦したいと伝えると、「できると思うよ」と温かい言葉を掛けていただいたそうです。看護学校卒業後、『魔神英雄伝ワタル』の忍部ヒミコで自身初のメインキャラクター役を獲得。オーディション時は、ど新人で受かるはずが無いから、開き直ってただただ楽しもう!と思って臨んだ結果、その明るさが忍部ヒミコのキャラクターと重なり、見事抜擢される事になりました!そして、忍部ヒミコから林原さんの声優人生は本格的に幕を開けます。


※最初の事務所のはじめての宣材写真。白黒なのが泣ける。(ご本人コメント)

 

 

〜平成天才バカボン〜

数多くの有名キャラクターを演じてこられた林原さんが思い出に残っているオーディションは『平成天才バカボン』。最初はバカボンの弟・ハジメちゃん役だけを受ける予定でしたが、次の参加者が来るまでに時間があったので、ついでにバカボン役のオーディションも受けることに。後日、事務所から「バカボン受かりました!」と連絡が入り、林原さんはバカボンの番組(ハジメ役)に決定したと思っていましたが、台本を見てみると、まさかのバカボン役に合格していてビックリ!役作りは少し苦労されたそうで、ディレクターの方から、「バカボンは馬鹿じゃない、馬鹿なのはパパだ。君が演じるバカボンは馬鹿に聞こえる」と言われ、自分がキャラクターの見た目のイメージだけで声を当てていたことに気づかされました。バカボンは家族思いで心優しい子。だからといって急に演技の方向性を変えるわけにはいきませんが、バカボンのパパ役の富田耕生さん、ママ役の増山江威子さん、弟・ハジメ役で事務所の先輩だった坂本千夏さんと共に作品・プライベートでも時間を過ごす事で、だんだん本当の家族のように感じ、その家族愛が作品にも通じるようになりました。


※1995年7月、おそらく「声優」としてはじめてアメリカ・フロリダで開催された日本のアニメを愛する人達のイベントに参加。サイン会をしました。まだネット配信の無い時代。熱心に日本のアニメを探求する人達に感動しました。(ご本人コメント)


※アメリカでのイベント主催の一人が海軍の方で、帰国してから、潜水艦に乗せてもらいました。(もちろん許可とって)
その人は電影少女のあいちゃんが好きだと言ってました。懐かしい思い出。(ご本人コメント)

 

 

〜エヴァンゲリオン〜

忍部ヒミコ、らんま、バカボンなど、明るいキャラクターを演じることが多かった林原さん。『新世紀エヴァンゲリオン』では、寡黙で常に無表情のキャラクター・綾波レイを演じます。オーディションでは、葛城ミサト役、惣流・アスカ・ラングレー役も受けており、実はアスカ役に手応えを感じていたそうです。綾波レイ役に決まり、庵野秀明監督からは「綾波レイは、感情が無いわけではなく、知らないだけ」とキャラクター設定を伝えられます。当時のアニメに、クールな女性キャラは少なく、モデルケースが無い中で、ヒントを模索します。心理学の本を読んだり、感情はどこから湧くか、人の声色は何によって変わるか、など思考を巡らせたり・・・必死の思いで綾波レイの声を探し続けた林原さんは、ひとつの答えに辿り着きます。
例えば、誰かからモノをもらった時の「ありがとう」という言葉。同じ「ありがとう」でも、好きな人からもらった場合は声が高揚(感謝)し、嫌いな人の場合は少し嫌悪が入るように、言葉には感情が付随します。その言葉に乗っている感情を表す部分を切ることで「綾波レイ」が完成したのでした。綾波レイ役を経て、林原さんが気づいたことは、人は言葉通りに生きていないということ。他人の言葉に聞いて、本当にそう思っているかどうか、言葉の裏側、胸の内を見抜く力が付き、人の本質が見えるようになりました。様々なキャラクターを演じることで、キャラクターから学び、自分の生活に役立つことをたくさん得てきたという林原さん。それは、1つ1つのキャラクターに真摯に向き合い、演じてきたからこその財産なのです。


※1997年アルバム『Iravati』のジャケット写真撮影用で出かけた屋久島にて。ウイルソン株の写真はブックレットにはありません。(ご本人コメント)

 

 

〜声優を目指す人へのアドバイス〜

『好き嫌いに関係なく、関わる人全員を自分が演じられるように見てみれば良い』
声優が演じるキャラクターは、ヒーローやヒロインだけではなく、性格の悪いキャラの役もあります。嫌いな人とも接することで、演技の材料となり、観察を深めると、嫌い・苦手の角度が変わることもあると言います。実際、林原さんは態度の悪い店員さんと会った場合なども、愚かだな〜と思いつつ、(声優の材料として)頂きます!と自分の成長に変えてしまうそうです。

 

 

〜素顔〜

林原さんのお気に入りのドライブスポットは東京・お台場。都内在住の林原さんは、開放感が欲しい時に、お台場周辺の高速道路を一周。近場で、海と広い空間を感じられるのが気分転換になるそうです。悩み事がある時は、時間の許す限り睡眠を取り、心の健康を保ちます。起床後はとにかく空腹で、食事を取ろうとする際に、私は生きようとしている!大丈夫!大丈夫!と前を向くことが出来るそうです。

最後に、先月出版された本「林原めぐみの全部キャラから教わった 今を生き抜く力」を通じて伝えたいことを伺いました。アニメは人生の特効薬。どのアニメのどのシーンでもいいから、何か自分に引っ掛かるものがあれば、アニメは人生を彩るものになります。キャラクターを通じて皆さんの人生に何かを感じてもらえればと嬉しい、と語って下さいました。


※東京ドームで開催された「KING SUPER LIVE 2018」より。

 

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PLAYLIST
  • 「One Last Kiss」
    宇多田ヒカル
  • 「タリラリラーンロックンロール」
    嘉門達夫
  • 「残酷な天使のテーゼ」
    高橋洋子
  • 「胸がドキドキ」
    THE HIGH-LOWS
  • 「FLY ME TO THE MOON<AYANAMI Version>」
    林原めぐみ
  • 「Give a reason」
    林原めぐみ