PASSENGER DIARIES

EDC 営業日誌(過去のお客様)

2022年5月7日放送

Passenger

貫地谷しほり

本日のお客様は、貫地谷しほり様。
1985年、東京都出身。中学生の時にスカウトされ芸能界へ。2002年映画デビュー。その後、映画『スウィングガールズ』『夜のピクニック』やNHK大河ドラマ『風林火山』などへの出演を経て、2007年にNHK連続テレビ小説『ちりとてちん』でヒロインに抜擢され、初主演を務めます。翌年には「エランドール賞新人賞」を受賞、2014年には映画『くちづけ』で「ブルーリボン賞主演女優賞」を受賞。ドラマ、映画、舞台、CM、ナレーションなど多岐にわたって活躍されている日本を代表する俳優さんです!

 

 

〜川島さんとの関係〜

2019年のNHK連続テレビ小説『なつぞら』で共演されたお二人。川島さんから見た貫地谷さんの印象は、“芝居中も楽屋でもずっとオン”。撮影の合間の前室でもいつも明るく、広瀬すずさんや中川大志さん、染谷将太さんなど共演者と談笑していた時にその中心にいたのは貫地谷さんだったそうです。普段と違うお芝居の現場ということで緊張していた川島さんにとっては、貫地谷さんが溶け込みやすい雰囲気を作ってくださり、とても助かったと言います。一方、貫地谷さんは、川島さんがセリフを完璧に覚え、一切NGを出さなかったことに感心して、緊張しているようには見えなかったそうです。
また、川島さんが朝ドラの撮影中、最も気になったのは、貫地谷さんの帰るスピード!
「はい!撮影OKでーす!」と監督から掛け声があると、もうそこに貫地谷さんの姿は無く、川島さんが他の共演者の方と撮影したシーンの感想を言い合いながら楽屋に戻る時、着替えを済ませた私服姿の貫地谷さんとすれ違ったそうです!笑
「最後の撮影シーンでは、自分のカバンを持っていたんじゃないかと思った・・・。笑」と川島さんが錯覚するほどの、貫地谷さんの帰り支度の早さ。もちろんこれには理由があり、基本的にどの現場でも帰るのが早いとおっしゃる貫地谷さんは、「出演者が多い現場だと、着替えるタイミングを逃すとなかなか着替えられない。だからこそ、周りの人の迷惑にならないようにすぐ着替える意識を持っている。」という貫地谷さんなりの共演者の方々への配慮だったそうです。ですが、収録後に皆さんが帰り支度をしながら、“最近食べた美味しかったモノ”など、たわいもない会話を楽しんでいたことを知った貫地谷さんは、「そういう時間って大事ですよね。なのに何で私、早く帰っちゃったんだろう・・・」と、3年越しで惜しまれていました。笑

 

 

〜デビューのきっかけ〜

貫地谷さんが芸能界に入ったキッカケはスカウト。中学校2年生の時、学校帰りに新宿駅に寄った際、現在のチーフマネージャーに声を掛けられました。そのマネージャーが美人な女性だったということもあり、突然のスカウトに恐怖心は無かったそうですが驚きはあったと言います。それまで、芸能界について興味が無かったというよりは、考えたことすら無かったため一度、話を持ち帰ることにした貫地谷さん。ご家族に相談すると、お父様とご祖母様は「芸能界というよく分からない場所ではなく、普通の幸せを見つけなさい。」と反対!しかし、お母様は、ご自身も昔、スカウトを受けたことがあったそうで、「興味があるならやってみれば!」と応援してくれました。急なスカウトではありましたが、多感な学生時代。華やかな芸能界に興味をそそられ、事務所に所属することになりました。
所属後に初めて受けたオーディションは今でも覚えているそうです。オーディションは、セリフが書かれた紙を渡され、演技をするという内容。それまで演技経験がなかった貫地谷さんは、緊張で紙が音を立てるほど手が“ブルブル”と震え、何も出来なかったと言います。結果は落選。当然の結果だと分かりながらも、自分を否定された気分になり、悔しさが込み上げます。そこから真剣に演技を学ぶため、通い始めたのが「伊藤正次演劇研究所(現:Ito M スタジオ)」。
ここでのレッスンは特殊で、演技を直接的に教えるのではなく、最近の重大ニュースや時事問題について、レッスン生同士でディスカッションする時間を大切にしていました。先生は、そのニュースの背景を説明したりして、生徒たちに考えることを促しました。演技の発表会は半年に一回だけ。セットや照明、衣装作りなど裏方の仕事もすべて生徒たちが行い、先生は特に指示を出すことはなく、“とにかく自分たちでやってみる”ということを大事にされていたそうです。ただ、貫地谷さんが鼻歌を歌うシーンを練習していると、「この戯曲が何年代のものか分かっているか?鼻歌を歌うならその年代の曲を調べて歌いなさい。」と、“意味を持った演技”の重要性を説きました。また、先生は、「役者というのは、虚構の世界の中で生活をしなければならないから、普段の生活からしっかりしなさい。」「自分に無いものは演技として表せない。」「現代も良いもので溢れているが、君たちはまだ“見る目”が養われていないから、50年経っても名作といわれている映画を観なさい。」など、俳優としての心得、人間としての生き方を教えてくださいました。
ここでの経験により、貫地谷さんはお芝居が好きになり、本気で俳優になろうと決意をしました。

 

 

〜NHK連続テレビ小説『ちりとてちん』〜

貫地谷さんの俳優キャリアの大きな出来事としての1つとして挙げられるのが、2007年放送のNHK連続テレビ小説『ちりとてちん』のヒロインに決まったこと。スカウトされた時からお世話になり、“第2の母”と言っても過言では無いチーフマネージャーが、これまでで唯一、涙を流したのが、『ちりとてちん』のヒロインに貫地谷さんが決まったと報告を受けた時だったそうです。貫地谷さんは実際にその涙は見ていませんが、「泣くようなタイプの人ではない。どんな映画を観ても泣かない人」と語るチーフマネージャーが涙したことも含めて思い出に残っているそうです。
『ちりとてちん』は、ヒロインが大阪で落語家を志す人情エンターテインメントドラマ。ですが、貫地谷さんが、“ヒロインが落語家を目指すドラマ”だと知ったのは1回目のオーディション後のこと。別の受験者が「この間、落語を観てきました!」と自己アピールしていた時に、“なんで落語なんだろう?”と疑問を持ったそうですが、後にHPを調べると“落語家を目指す”ドラマという情報が載っており、そこで初めて気付いたそうです!笑 「オーディションって、普通そんな感じなんですか?」と、あまり下調べをせずに挑むものなのか川島さんが伺うと、貫地谷さんの過去のオーディションでの失敗談が・・・。
『流れている曲に合わせて、自分を表現してください。』と言われた時は、何をしていいか分からず、曲が終わるまで棒立ちで待つ。
『1分で自己紹介してください。』 と言われた時は「ABP(所属事務所)から来ました貫地谷しほりです。」と答え、残りの時間は棒立ち・・・。笑 
あくまで自然体(!?)で挑まれていた貫地谷さんでしたが、事務所の人から注意されたことはないそうで、「今、しほりが受からないのは、しほりだけのせいじゃないよ。」と励ましてくれました。事務所もまだ設立されたばかりで、貫地谷さんがスカウト第1号。当時はオーディションに受かるノウハウがお互いに分からなかったそうです。そんなある日、別のオーディションでNHKに訪れた時、「会いたがっている人がいる。」と、マネージャーから伝えられた貫地谷さん。その相手は、大河ドラマのスタッフでした。実はマネージャーが、貫地谷さんを売り込むために日頃から頻繁に資料を渡しており、貫地谷さんの情報だけは沢山持っていたスタッフ陣。ですが、誰も貫地谷さんに直接会ったことはなく、“一度お話を聞いてみたい!”と面談する機会を作ってくれたそうです。そんな流れから、NHK大河ドラマ『風林火山』への出演が決定!その勢いのまま貫地谷さんは、朝ドラのヒロインに選ばれることになるのです!
過去のオーディションでの苦い思い出から、大河出演、そして朝ドラのヒロインまでの経緯を聞いた川島さんは、「そりゃ、チーフマネージャーさんは嬉しくて泣きますよ!」と、俳優・“貫地谷しほり”を見守り続けたチーフマネージャーに感情移入していました。笑

また、ヒロインに選ばれた時の心境についても伺いました。貫地谷さんは朝ドラの最終オーディションが終わった後、毎日チーフマネージャーに「まだ合格の連絡は来ないんですか?」と、尋ねていたと言います。なぜ、貫地谷さんがこんなにも自信満々に聞けたかというと、最終オーディション時にドラマプロデューサーから言われたある言葉が理由でした。最終オーディションは、本番のセットで演技を行うカメラテスト。演技後、貫地谷さんがモニターチェックをしていると、横にいたチーフプロデューサーが、「今まで受からないでいてくれてありがとね。」と言ってくれたそうです!まだ最終オーディション中で、結果は発表されていませんが、この言葉を聞いた貫地谷さんは“これは合格でしょ!”と内心思っていたそうです。
しかし、その後、すぐに合格の連絡を貰えると思っていた貫地谷さんでしたが、何日経っても合格の連絡は来ず・・・。ある日、「もう一回最終オーディションをやることになったから、大阪に行かなければならない。」とマネージャーに言われます。また、「今回は“白い衣装を着てきて下さい”と言われたから、スタイリストさんに頼んでいる」と告げられます。それを聞いた貫地谷さんは、「それ、もう決まってんじゃない?」とマネージャーに言うと、「そんなこと言うんじゃないの!」といきなり怒られたそうです。
結局、真相はわからず、流れに身を任せるまま大阪へ。すると、オーディション会場のような会議室で、プロデューサー、監督などが並んでいる前の中央の椅子に誘導されます。そして、オーディションのように色々と質問をされた後、「あなたに9月からの朝ドラ・ヒロインをお願いします。」と、ここでようやく合格を言い渡されました。貫地谷さんは、“ほら〜〜〜!”と内心思いながら、パッとマネージャーの方を見ると、顔を隠しながら“騙してごめん!”といった感じで謝るポーズをしていたそうです。笑
大阪に行く前にマネージャーさんが怒った理由は、翌日にヒロイン発表の会見が予定されていたことから、事前に情報が漏れないように徹底するためでした。事務所としても朝ドラのヒロインを輩出することは初めてのことで、念には念を入れ、“情報が漏れて、ヒロインの話が無くなる”という最悪の事態を防いでいたのでした!こうして、サプライズ形式で最高の知らせを受け取った貫地谷さん。貫地谷さんの才能と、事務所の努力が実った幸せな瞬間でした。

 

 

〜結婚〜

2019年にご結婚された貫地谷さん。時期的には『なつぞら』の撮影が終わってまもない頃。これについては、川島さんも思うことがあるそうで・・・笑
朝ドラ撮影時に共演者の方々と、“晩御飯一緒に行きますか?”という話になった時、川島さんが「すみません。今日は奥さんが料理を作っているので帰ります。」と伝えると、貫地谷さんは、「いいなぁ〜、私は家帰っても1人だよ〜。」「いいじゃないですか。奥さんが作ってくれるんだから!」などといったやり取りを何度かして、その都度川島さんは「すみません!」と謝っていたそうです。笑 しかし、川島さんを羨ましがっていた時には、既に貫地谷さんは旦那様と良い仲で、それを知らなかった川島さんは後でニュースで貫地谷さんの結婚を知り、「あれ?」となったそうです!笑
旦那様との馴れ初めは、なんと、たまたま同じお店に入ったお客さん同士!貫地谷さんはご友人と、旦那様は会社の後輩の結婚祝いのあと、その後輩と店を訪れていました。当然、最初は別々で飲んでいましたが、お店の中で交流が生まれ、グループ同士で仲良くなりました。その後、グループ全体で連絡先を交換され、次第にお二人だけで連絡を取るようになり、一緒にテニスをしたり、仲を深めていったそうです。旦那さんは芸能界に詳しくなく、貫地谷さんのことも知らなかったそうですが、それが貫地谷さんにとっては新鮮だったとか。今年で結婚4年目!「もうそんなに経ってるの!?」と驚かれていた貫地谷さんですが、今も結婚当初からの仲良く、お互い自然体でいられる関係が続いているそうです!

 

 

〜貫地谷さんからの質問!〜

ここで、貫地谷さんから川島さんに聞きたいことが!
それは・・・“バラエティでの体力の配分はどうされているか?”ということ。たまにバラエティに出演される貫地谷さんですが、楽しさのあまり、序盤からエンジンを掛け過ぎて、途中でとても疲れてしまうんだそうです・・・。なので、“丸一日のロケ番組”や“2時間の収録番組”などで、芸人さんが常に元気で面白いことを言えているのが不思議とのこと。貫地谷さん自身、“面白いことを言おう!”と意気込んでいる訳ではないですが、面白いことを考える余裕や体力がないのが悩みだそうです・・・。
これに対して川島さんは、「僕も若手の頃はアクセルを踏み込み過ぎて、開始20分ぐらいで笑いが1つも取れていなかったら、“何か面白いことを言わなきゃ!”と焦っていた。」と、収録を楽しめる余裕すら無かったと振り返ります。特に、明石家さんまさんやダウンタウンさんと一緒になると、“少しでも認めてもらいたい!”という想いが強く、毎回疲れ果てていたそうです。
この話を聞いた貫地谷さんは、「やっぱり経験なんですね。川島さんが慣れないドラマの現場で緊張したとおっしゃってたのと同じ感覚ですね。」と、慣れることを大事さを改めて感じていました。また川島さんも「“(バラエティは)本業ではない”というテンションで大丈夫だと思いますよ。出演者に任せることも大事です。貫地谷さんが“ちょっと待ってくださいよ〜!”って立ち上がって必死でツッコむ姿は見たくないですもん!笑」と、ひたむきな貫地谷さんが若手芸人みたいな立ち振る舞いをすることを阻止していました。笑

 

 

〜舞台「頭痛肩こり樋口一葉」〜

貫地谷さんは、今年8月5日から9月にかけて、東京・大阪・岡山で上演される「こまつ座」の舞台『頭痛肩こり樋口一葉』にご出演。主役の樋口一葉役を演じられます。
こちらの舞台は、劇作家の井上ひさしさんが書かれた名作劇で、「にごりえ」「たけくらべ」など作品、そして五千円紙幣で有名な樋口一葉を描いた舞台。近代化を推し進めたしわ寄せが女性にのしかかっていた明治時代に、筆の力をもって社会に挑んだ樋口一葉が歩んできた人生とは?貫地谷さんは、今作で演出を担当される栗山民也さんと以前お食事に行かれた際、この舞台についてのお話を聞いたことがあり、ご自身もいつか出演したいと思っていた念願の舞台だそうです!歴代、数々の名俳優さんが演じてこられた樋口一葉を、今回、貫地谷さんがどのように演じるか、とても楽しみな舞台です。
『頭痛肩こり樋口一葉』は、8月5日から28日まで東京新宿・紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA。
チケットは、5月28日(土)より発売されます。
9月には大阪・新歌舞伎座、岡山・津山文化センター、東京・パルテノン多摩で開催されます。
気になる方は、是非足を運んでみてくださいね!
HP:http://www.komatsuza.co.jp

 

 

〜貫地谷しほりさんのエウレカ!〜

貫地谷さんのエウレカは、“自分のことを1番大事にしなくてはいけない”ということ。誰かを傷つけるということは、自分を大事にしていないから起こった結果だと気付いたことが、過去にあったそうです。“自分を大事にする事で、人にも優しく接することが出来る”と30代になった頃、感じ始めたとおっしゃる貫地谷さん。今は以前よりは自分を大事にすることが出来ており、心のゆとりの大切さを改めて実感しているそうです。
このエウレカを聞いた川島さんも似たようなことを感じたことがあるそうで、近年、多忙を極めつつも楽しく働いていたある時、同じ朝の帯番組を持つ先輩の加藤浩次さんから「すごく働いているけど、人間は遊ぶために働いていることを忘れるなよ!」と言われ、ハッとしたそうです。今までは、たくさん仕事を頂けるように、“働くために働いていた”ことに気付きました。そして、“遊ぶために働こう!”と思って芸人の門を叩いた初心を思い出したそうです!この加藤さんの言葉に貫地谷さんも感嘆!
最後はお二人で、心のゆとりを持ちながら、自分らしく自分のペースで生活を送る大切さを改めて感じていました。

 

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