yes!~明日への便り~presented by ホクトプレミアム 霜降りひらたけ

第百八十話 偽らない思いが、ひとの心を動かす -カレン・カーペンター-

yesとは?

  • 語り:長塚圭史
  • 脚本:北阪 昌人

『自分にyes!と言えるのは、自分だけです』
今週あなたは、自分を褒めてあげましたか?
古今東西の先人が「明日へのyes!」を勝ち取った命の闘いを知る事で、週末のひとときをプレミアムな時間に変えてください。
あなたの「yes!」のために。

―放送時間―
TOKYO FM…SAT 18:00-18:30 / FM大阪…SAT 18:30-19:00
FM長野…SAT 18:30-19:00 / FM軽井沢…SAT 18:00-18:29

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第百八十話偽らない思いが、ひとの心を動かす

今年、デビュー50周年を迎えた、カーペンターズ。
32歳の若さで亡くなったカレン・カーペンターの歌声は、今も色あせることはありません。
昨年12月には、17年ぶりの新作アルバムが完成。
カレンの兄、リチャード・カーペンターが、プロモーションのため、来日しました。
リチャードは、妹の歌声を今も愛し、二人で作った作品を大切にしています。
『イエスタデイ・ワンス・モア』『青春の輝き』『遙かなる影』『雨の日と月曜日は』…。
ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団とのコラボレーションにより、誰もが知る名曲たちが新たに生まれ変わりました。
カレンの歌はなぜ、半世紀の時を超え、私たちの心をつかんで離さないのでしょうか。
歌手のオリビア・ニュートン・ジョンは、カレンの葬儀のときのインタビューでこんなふうに答えています。
「彼女の声には、ある種の寂しさ…哀しさが感じられました。もちろん、温かさ、優しさはあるんですが、同時にその中に、それらがひそんでいるんです。それは…なんていうか、私にとっては憧れでした」
近くにいたひと誰もが、カレンのことを、いつも目をキラキラさせているちょっとおてんばで魅力的な女性、あるいは、優雅だけど飾らない素朴なひと、という印象を語ります。
最も近しい友人は、こう話しました。
「カレンが望んだものは、富でも名声でもなかったんです、きっと。彼女がいちばん、ほしかったもの。それは、心から愛されて、そのひとの子どもを持ち、家庭をつくること、だったと思います。クッキーを焼く彼女の笑顔が忘れられません」
自らの体型を気にすることから始まった神経性食欲不振症、いわゆる摂食障害。その果ての心不全で命を落としたカレン。
彼女の歌が人々の心に届くのは、おそらく、彼女が抱えていた心の闇と無縁ではありません。
最後まで歌をつくり、歌を歌い続けた彼女の生きざまは、想像以上に壮絶な自分との戦いでした。
伝説の歌姫 カレン・カーペンターが人生でつかんだ、明日へのyes!とは?

今年デビュー50周年を迎えたカーペンターズのヴォーカル、カレン・カーペンターは、1950年3月2日、アメリカ合衆国コネチカット州ニューヘイブンに生まれた。
兄、リチャードは、3つ年上。
両親は、とにかく音楽が大好きだった。
父はメロディックなポピュラー・ミュージックやビッグ・バンド、クラシック音楽を好んだ。
ビング・クロスビーやペリー・コモの歌声を愛し、78回転のレコードを買い集め、朝から寝るまでずっとラジオをかけ続けた。
母は家事をしながら、歌う。
幼い頃、ピアノを断念したことを悔んでいた。
リチャードとカレン。
兄妹は、浴びるように音楽を聴いた。
時代はまだ不景気が続き、家計はきつかった。
父は会社の仕事以外に、クルマを洗うアルバイトもした。
それでも、レコードを買うのをやめなかった。
さまざまな音楽を聴いたリチャードは、やがて音楽の才能を見せ始める。
試しにならったピアノで早くも天才の片鱗をのぞかせる。
わずか4歳半で、一度聴いた曲をあっという間にコピーすることができた。
母は、自分の夢をリチャードに託すようになる。
気がつけば一日中、部屋にこもり、音楽を聴くかピアノに向かう兄。
対照的に、妹のカレンは通りや公園でソフトボールや野球をするのが好きだった。
よく怪我をして帰ってくる。
そんなときは、いつも兄にベッタリな母が、優しく介抱してくれた。
音楽は、兄のもの。
そして、母も兄のもの、カレンはそう思っていた。

カレン・カーペンターは、兄のリチャードのことが子どもの頃から大好きだった。
兄と地下室でレコードを一緒に聴いているとき、幸せな気持ちになった。
兄が近所の子どもにいじめられそうになったときは、率先して立ち向かっていった。
7歳になったリチャードが地下室でレコードに合わせて歌い、アレンジについて細かく分析を始めると、4歳のカレンはすぐさまそれを真似した。
兄は、驚いた。
すでにカレンは、一音一音、全くはずさず歌う能力を持っていた。
しかし、カレンは兄とは違う道を進もうとする。
まるで比較されるのを拒むように。
大好きな兄と張り合うことを避けるように。
カレンは、相変わらずスポーツやサイクリングに興じ、せっかく始めたフルートも飽きてやめてしまう。
兄が13歳にして音楽での成功を予感させた頃、10歳のカレンは同級生に「太っちょ」と言われてショックを受けた。
それまで自分の容姿を気にしたことはなかった。
「私って…太ってるの?」
ひとの目が気になる。
街を歩くと、みんな自分を笑っているように感じる。
食べるのが恐い。
太るのが、怖い。
でも、そのことを家族の誰にも言わなかった。
自分はいつでも家族の太陽でいたかった。
おどけて、笑わせる。
父と母と兄だけの食卓はどこか暗いけれど、自分がいれば笑顔にできた。
私は泣いてはダメ。
家族の前では、泣いてはダメ。

カレン・カーペンターは、13歳のとき、こんな作文を書いた。
「両親は、ずっとずっと女の子が欲しかったそうだ。そしてついに私が生まれた。
ウチは5人家族、父は印刷工で、母は専業主婦。いとこのジョーンは生まれたときから我が家にいて、兄のリチャードは、才能あるピアニストだ。
私は8ヶ月のとき、初めて歩いた。そのとき、私の人生が始まった。
最初の言葉は、バイバイとイヤ。
私はたくさんの友達と素敵な先生と楽しい学園生活をおくった。
私は絵を画いたり、レコードを聴いたり、ダンスを踊るのが好きだ。
いちばん哀しかったことは、飼っているスヌーピーという名前の犬が自動車にぶつかってしまったこと。私ひとりで病院に連れて行った。
私の大切なスヌーピー。回復の見込みは低かったけど、彼は生きた。自宅に帰ることができた。うれしかった」
カレンは幼い頃、家族の前で、子どもの自分を封印したのかもしれない。
そして兄との距離の保ち方に悩むようになる。
両親の期待を一身に受ける兄。
妹から見ても、才能にあふれている。
そんな兄と比較されるのを嫌がるように、さまざまなものにトライするが、なぜかいつも音楽に戻ってくる。
ドラムをやると、あっという間に会得。
まわりが驚くほど上達する。
ドラムを叩きながら歌うと、褒められた。
作曲やアレンジがやりたい兄に、誘われる。
「カレン、一緒にやらないか?おまえが必要なんだ」
うれしさと、戸惑いがあった。
兄と一緒にやることは、家族の中の役割を演じ続けるということ。
でも、頼りにされるのは幸せだった。
やるならば、精一杯やろう。
魂を込めて、歌う。
歌うことでは、見栄も役割も嘘も捨てよう。
ありのままのカレンでいよう。そう思った。
何年もの間、鳴りを潜めていた摂食障害が再発。
でも、カレン・カーペンターは、歌うことで自分を越えようと思った。
彼女の声は、傷ついたひとにこそ届く。
彼女の歌は、優しくて、哀しい。

【ON AIR LIST】
YESTERDAY ONCE MORE / Carpenters
(THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU / Carpenters
THIS MASQUERADE / Carpenters
NOW / Carpenters

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今週のRECIPE

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霜降りひらたけと野菜のグリル 2色ソース

今回は、2つのソースが素材を引き立てる、こちらの料理をご紹介します。

霜降りひらたけと野菜のグリル 2色ソース
カロリー
43kcal (1人分)
調理時間
15分
使用したきのこ
霜降りひらたけ
材料
【2人分】
  • 霜降りひらたけ
  • 1パック
  • キャベツ
  • 3枚
  • 長ナス
  • 1本
  • 赤パプリカ
  • 1/4
  • 黄パプリカ
  • 1/4
  • 【うま辛味噌だれ】
  • (67kcal/1人分)
  • 味噌
  • 大さじ1
  • 砂糖
  • 小さじ1/2
  • ごま油
  • 小さじ1
  • 長ねぎ(細ねぎ)
  • 適量
  • しょう油
  • 大さじ1
  • 大さじ1
  • ごま
  • 適量
  • 豆板醤
  • 小さじ1
  • 【レモンソース】
  • (354kcal/1人分)
  • レモン汁
  • 大さじ1/2
  • バジル
  • 3~4枚
  • マヨネーズ
  • 100g
  • 塩・こしょう
  • 少々
作り方
  • 1.
  • 霜降りひらたけを小房にほぐす。キャベツ、長ナス、パプリカは一口大に切る。
  • 2.
  • 魚焼きグリルで(1)を5~10分焼く。
  • 3.
  • 【うま辛味噌だれ】を合わせる。【レモンソース】は材料をミキサーにかけ、混ぜ合わせる。
  • 4.
  • (2)を皿に盛り、(3)のソースを添える。
  • recipe LIST

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番組へのメッセージ

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PROFILE

  • 長塚 圭史

    語り:長塚 圭史

    1975年生まれ。東京都出身。96年、演劇プロデュースユニット「阿佐ヶ谷スパイダース」を旗揚げ、作・演出・出演の三役を担う。08年、文化庁新進芸術家海外研修制度にて1年間ロンドンに留学。帰国後の11年、ソロプロジェクト「葛河思潮社」を始動、三好十郎作『浮標(ぶい)』を上演する。近年の舞台作品に、『鼬(いたち)』、『背信』、『マクベス』、『冒した者』、『あかいくらやみ~天狗党幻譚~』、『音のいない世界で』など。読売演劇大賞優秀演出家賞など受賞歴多数。
    また、俳優としても、NHK『植物男子ベランダー』、WOWOW『グーグーだって猫である』、WOWOW『ヒトリシズカ』、CMナレーション『SUBARUフォレスター』など積極的に活動。

  • 北阪 昌人

    脚本:北阪 昌人

    1963年、大阪生まれ。学習院大独文卒。
    TOKYO FMやNHK-FMなどでラジオドマ脚本多数。
    『NISSAN あ、安部礼司』(TOKYO FMなど全国FM37局ネット)、『ゆうちょ LETTER fo LINKS』(TOKYO FMなど全国FM38局ネット)、『世界にひとつだけの本』(JFN)、『AKB48の私たちの物語』(NHK-FM)、『FMシアター』(NHK-FM)、『青春アドベンチャー』(NHK-FM)などの脚本・構成を担当。『プラットフォーム』(東北放送)でギャラクシー賞選奨、文化庁芸術祭優秀賞受賞。『月刊ドラマ』にて、「ラジオドラマ脚本入門』連載中。
    主な著書に『世界にひとつだけの本』(PHP研究所)、『えいたとハラマキ』(小学館)がある。

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NEWS

特別版『オードリー・ヘップバーンが教えてくれる、明日へのyes!』
常盤貴子さん長塚圭史さん
風も、雨も、自ら鳴っているのではありません。 何かに当たり、何かにはじかれ、音を奏でているのです。
誰かに出会い、誰かと別れ、私たちは日常という音を、共鳴させあっています。
YESとNOの狭間で。
あなたは、自分に言っていますか?
YES!ささやかに、小文字で、yes!
毎週土曜日、明日(あした)への希望の風に吹かれながら、自分にyes!と言ったひとたちの物語を朗読でお届けしている番組『yes!明日への便り』。 1月8日は、その特別版「オードリー・ヘップバーンが教えてくれる、明日へのyes!」をお送りいたします。
2018年に没後25年を迎える稀代の大女優オードリー・ヘップバーンの波乱万丈な人生―女優になるまでの波乱に満ちた半生、輝かしい女優時代、ユニセフ親善大使として世界中の子どもたちに尽くした晩年までを、 女優の常盤貴子さんが演じます。
長塚圭史は「語り」の部分やオードリーの夫、また彼女の人生に影響を与えた映画監督の役を担当します。女優、オードリー・ヘップバーンが、私たちに教えてくれる、明日へのyes!とは?

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