yes!~明日への便り~presented by ホクトプレミアム 霜降りひらたけ

第二百話 ひとと違うことをする -【岐阜篇】茶人 古田織部-

yesとは?

  • 語り:長塚圭史
  • 脚本:北阪 昌人

『自分にyes!と言えるのは、自分だけです』
今週あなたは、自分を褒めてあげましたか?
古今東西の先人が「明日へのyes!」を勝ち取った命の闘いを知る事で、週末のひとときをプレミアムな時間に変えてください。
あなたの「yes!」のために。

―放送時間―
TOKYO FM…SAT 18:00-18:30 / FM大阪…SAT 18:30-19:00
FM長野…SAT 18:30-19:00 / FM軽井沢…SAT 18:00-18:29

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第二百話ひとと違うことをする

岐阜県出身と言われている戦国武将に、一世を風靡した茶人がいます。
古田織部(ふるた・おりべ)。
織田信長、豊臣秀吉、徳川家康に仕え、千利休の愛弟子として茶の湯を学んだ才人。
最近では、漫画『へうげもの』が話題になり、にわかに脚光を浴びています。
へうげもの、とは、「ひょうきんなひと」「わくにとらわれない、変り者」「ひしゃげたもの」という意味。
その言葉どおり、織部は独特の感性で、庭園や焼き物、建築に新しい息吹を与えました。
深い緑色が特徴の織部焼。
その形はいびつで、大胆。
ときに、一度焼きあがったものを割ってしまい、それをつなぎ合わせることで、わびさびを表現しました。
縄文時代の土器を思わせるフォルムと模様。
当時のひとたちに与えた衝撃は、はかりしれません。

岐阜県本巣市の道の駅「織部の里もとす」は、文字通り、古田織部ゆかりの場所です。
施設の向かいにあった山口城で生まれたとされる織部。
この道の駅の織部展示室では、彼の人となりをさまざまな角度から紹介し、織部焼や、織部風の茶室や茶道を知ることができます。
彼が破天荒な道に進むきっかけは、師匠である千利休のこんな言葉でした。
「ひとと違うことをしなさい」
整然として、静かで落ちついている。
そんな茶の湯を説いた、千利休。
それを継承しながらも、織部が向かった道は、誰も歩いたことのない、いばらの道でした。
大坂夏の陣で、豊臣側への内通を疑われ、徳川幕府に切腹を命じられた男、古田織部。
彼が人生でつかんだ、明日へのyes!とは?

茶の湯界の革命児、古田織部は、1543年、美濃国、現在の岐阜県に生まれたとされる。
茶人としては珍しい、武将の家系。
幼い頃から父の教えを受け、武士としてのたしなみを学ぶ。
性格は明るく、天真爛漫。
まわりのひとを楽しませるのが好きだった。
戦乱の世にありながら、なぜか、ひととひとが争うことに疑問を持った。
「父上、なぜ、ひとは戦をするのですか?」
そう尋ね、父に怒られる。
「この世は、疑問を持ったものが負けだ。戦の世だから戦をする、ただ流れに任せればいい」
どうしても、納得がいかなかった。
ちゃんばらごっこに興じるより、美濃の自然に触れることが好きだった。
草木には、表情がある。
野山には季節を映す、命のサイクルがある。
命の活力に従順なものは、美しい。
そこには、よく見せよう、うまく生きようという邪心がない。
花々のフォルムの多様さに魅かれ、虫や鳥たちの鳴き声に心震わせた。
「まったく、おかしなやつだ」
父に呆れられたが、織部の心は戦から離れていった。
「どうしてこの世には、こんなにもたくさんの生き物が、さまざまな形をして生きているんだろう…」

伝説の茶人、古田織部にとって二つの運命の出会いがあった。
ひとりは、織田信長。
織部、24歳のとき、美濃に織田信長がやってきた。
天下統一の拠点として、この地を治める。
織部は、信長の異様な雰囲気にのまれた。
それまであまり優秀とは言えない武将だったが、信長には傾倒した。
信長は、ひとの心をつかむ、織部の明るさと話術に着目。
戦場の連絡係や、諸国との交渉人として、重宝した。
三年あまりを費やして信長が建てた、琵琶湖畔の安土城。
我が国最初の天守閣を持つ壮麗な城は、戦いのための機能性より、「美」を追い求めた。
絢爛豪華。誰をも圧倒する存在感。
それを見た織部は、体がふるえた。
「すごい、この城は…すごい」
さらに信長は、身の回りに、日本に持ち込まれて間もない異国の美術品を置いた。
信長は、織部に言った。
「いいか、覚えておくんだ。世の中の流行りなんぞは、どうでもいい。自分が好きかどうか。それが大事なんだ。自分が美しいと思えば、それは美しいんだ。せっかくの感性を、ひとにやすやす手渡してはいけない」。

古田織部にとって、もうひとつの大切な出会い。
それは、当時、一世を風靡していた茶人、千利休だった。
茶の湯で天下一。
利休が説いたのは、茶の作法だけではなかった。
茶室という宇宙で味わう、五感。
聴こえるもの、見えるもの、触れるもの、全てを細やかな心で感じるということ。
利休は、あらゆる芸術の頂点を極めた男として、もてはやされていた。
織部は、心酔した。
利休から全てを吸収したいと、寝る間も惜しんで学び、感じ、一挙手一投足を真似た。

ある日、利休に呼ばれる。
「織部、おまえはすこぶる優秀だ。おまえの感性は、他の誰とも違う。だが、私の真似をしていては、その感性もやがて鈍り、腐り果てる。いいか、織部、ひとと違うことをしなさい」
はじめは、何を言われているのか、よくわからなかった。
ひとと違うこと…。
考えてみれば、自分という人間は、自分しかいない。
利休先生を真似てもかなうはずもない。
庭に捨てられた、ひびの入った水差しを見た。
苔に覆われているその無残な姿を、織部は、「美しい」と感じた。

「そうか、そういうことか、自分が美しいと思うかどうか、そこから始めればいいんだ」
古田織部はもう迷わなかった。
わざとひびを作る。
ひしゃげた器に「破調の美」を求める。
ありのままの姿、生きることに従順で命を感じさせるあらゆるものを、慈しみ、作品に投影した。
「これが、私の作品だ。誰とも違う、私だけの器だ」

【ON AIR LIST】
TEA FOR TWO / 山下洋輔
STELLA BY STARLIGHT / Anita O'Day
BREEZIN' / George Benson
LEVA E TRAZ (ELIS) / Ivan Lins

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今週のRECIPE

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霜降りひらたけのとろ玉丼

今回は、岐阜で古くから栽培されているという野菜、玉ねぎを使った料理をご紹介します。

霜降りひらたけのとろ玉丼
カロリー
872kcal (1人分)
調理時間
45分
使用したきのこ
霜降りひらたけ
材料
【4人分】
  • 霜降りひらたけ
  • 2パック
  • 玉ねぎ
  • 大玉1個(250g)
  • キャベツ
  • 200g
  • 【タレ】
  • 1カップ
  • みりん
  • 1カップ
  • 【A】しょうゆ
  • 1カップ
  • 【A】砂糖
  • 大さじ1と1/3
  • 【A】ウスターソース
  • 大さじ1
  • 【A】かつお節
  • 10g
  • 揚げ油
  • 適量
  • 小麦粉
  • 適量
  • 2個
  • 生パン粉
  • 適量
  • ご飯
  • 800g
  • 温泉卵(市販品)
  • 4個
作り方
  • 1.
  • 霜降りひらたけを食べやすい大きさにほぐす。玉ねぎは繊維にそって薄めのスライスにする。キャベツは千切りにする。
  • 2.
  • 鍋に、酒とみりんを入れ煮切る(5分ほど沸騰させ、アルコールを飛ばす)。そこに【A】加え少し煮つめたら、火を止めて粗熱をとる。粗熱がとれたら、ソースを茶こしやさらしで濾して鍋に戻す。
  • 3.
  • 熱したフライパンにサラダ油を敷き、玉ねぎを入れ、塩少々(分量外)を振り、炒める。キャベツは皿に乗せて、ラップはかけずに電子レンジ(600w)で1分加熱する。
  • 4.
  • 霜降りひらたけに、小麦粉、卵、パン粉の順に衣をつけ、油で揚げてフライを作る。
  • 5.
  • 揚げた霜降りひらたけが熱々のうちに(3)の鍋に入れ、タレを絡ませて器にとっておく。
  • 6.
  • 丼にご飯、玉ねぎ、キャベツの順に盛りタレを軽くまわしかける、霜降りひらたけのフライを並べ、真ん中に温泉卵を落として完成。
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PROFILE

  • 長塚 圭史

    語り:長塚 圭史

    1975年生まれ。東京都出身。96年、演劇プロデュースユニット「阿佐ヶ谷スパイダース」を旗揚げ、作・演出・出演の三役を担う。08年、文化庁新進芸術家海外研修制度にて1年間ロンドンに留学。帰国後の11年、ソロプロジェクト「葛河思潮社」を始動、三好十郎作『浮標(ぶい)』を上演する。近年の舞台作品に、『鼬(いたち)』、『背信』、『マクベス』、『冒した者』、『あかいくらやみ~天狗党幻譚~』、『音のいない世界で』など。読売演劇大賞優秀演出家賞など受賞歴多数。
    また、俳優としても、NHK『植物男子ベランダー』、WOWOW『グーグーだって猫である』、WOWOW『ヒトリシズカ』、CMナレーション『SUBARUフォレスター』など積極的に活動。

  • 北阪 昌人

    脚本:北阪 昌人

    1963年、大阪生まれ。学習院大独文卒。
    TOKYO FMやNHK-FMなどでラジオドマ脚本多数。
    『NISSAN あ、安部礼司』(TOKYO FMなど全国FM37局ネット)、『ゆうちょ LETTER fo LINKS』(TOKYO FMなど全国FM38局ネット)、『世界にひとつだけの本』(JFN)、『AKB48の私たちの物語』(NHK-FM)、『FMシアター』(NHK-FM)、『青春アドベンチャー』(NHK-FM)などの脚本・構成を担当。『プラットフォーム』(東北放送)でギャラクシー賞選奨、文化庁芸術祭優秀賞受賞。『月刊ドラマ』にて、「ラジオドラマ脚本入門』連載中。
    主な著書に『世界にひとつだけの本』(PHP研究所)、『えいたとハラマキ』(小学館)がある。

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NEWS

特別版『オードリー・ヘップバーンが教えてくれる、明日へのyes!』
常盤貴子さん長塚圭史さん
風も、雨も、自ら鳴っているのではありません。 何かに当たり、何かにはじかれ、音を奏でているのです。
誰かに出会い、誰かと別れ、私たちは日常という音を、共鳴させあっています。
YESとNOの狭間で。
あなたは、自分に言っていますか?
YES!ささやかに、小文字で、yes!
毎週土曜日、明日(あした)への希望の風に吹かれながら、自分にyes!と言ったひとたちの物語を朗読でお届けしている番組『yes!明日への便り』。 1月8日は、その特別版「オードリー・ヘップバーンが教えてくれる、明日へのyes!」をお送りいたします。
2018年に没後25年を迎える稀代の大女優オードリー・ヘップバーンの波乱万丈な人生―女優になるまでの波乱に満ちた半生、輝かしい女優時代、ユニセフ親善大使として世界中の子どもたちに尽くした晩年までを、 女優の常盤貴子さんが演じます。
長塚圭史は「語り」の部分やオードリーの夫、また彼女の人生に影響を与えた映画監督の役を担当します。女優、オードリー・ヘップバーンが、私たちに教えてくれる、明日へのyes!とは?

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