yes!~明日への便り~presented by ホクトプレミアム 霜降りひらたけ

第二百七十六話 自分の心を裏切らない -【伝記映画篇】外交官 杉原千畝-

yesとは?

  • 語り:長塚圭史
  • 脚本:北阪 昌人

『自分にyes!と言えるのは、自分だけです』
今週あなたは、自分を褒めてあげましたか?
古今東西の先人が「明日へのyes!」を勝ち取った命の闘いを知る事で、週末のひとときをプレミアムな時間に変えてください。
あなたの「yes!」のために。

―放送時間―
TOKYO FM…SAT 18:00-18:30 / FM大阪…SAT 18:30-19:00
FM長野…SAT 18:30-19:00 / FM軽井沢…SAT 18:00-18:29

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第二百七十六話自分の心を裏切らない

2015年に公開された映画『杉原千畝 スギハラチウネ』は、第二次世界大戦中、ナチスから逃れたユダヤ難民、およそ6000人の命を救った日本人外交官・杉原千畝の半生を描いた作品です。
杉原は、卓抜した語学力と豊富な外国の知識を持ち、諜報外交官として世界各国で諜報活動に携わっていました。
1939年、リトアニアの日本領事館に赴任。
ここで彼は、ナチスに迫害されたユダヤ人に日本通過のビザを発給したのです。
救われた命は、次の命を育み、現在につながっています。
今年は、杉原の生誕120年。
そして、「命のビザ」発給から80年の節目にあたります。
2月には、リトアニアの首都・ビリニュスの国会で、功績を讃える特別展が開催されました。
当時の写真50点あまりが展示され、およそ15か国の大使が集まりました。
偉業を成し遂げた彼は、こう語っています。
「大したことをしたわけではない。当然のことをしただけです」
また、どうしてビザを出したのかと尋ねられると、「彼らはどこにも逃げ場がなかったんだよ。目の前に困ったひとがいたら、なんとかしたいと思うのは、ふつうのことだろう」と話したと言います。
杉原には、世界を少しでもよくしたい、変えたい、という思いがありました。
「そんな大それたことは簡単にできるものではない」と、したり顔で言う大人たちを尻目に、彼は思ったのです。
「何もしないで、できなかったというのは、卑怯だ」。
岐阜県加茂郡八百津町にある杉原千畝記念館には、彼の足跡を知る資料が多く展示されています。
彼が教えてくれるのは、世の中が厳しくなればなるほど、目の前の困っているひとに手を差し伸べる勇気と優しさ。
「日本のシンドラー」杉原千畝が、人生でつかんだ明日へのyes!とは?

ユダヤ難民およそ6000人の命を救った外交官・杉原千畝は、1900年、岐阜県武儀郡、現在の美濃市に生まれた。
父は、税務署勤務の官吏。
寺の借間に暮らしていた。
千畝は、幼い頃から成績優秀。
尋常小学校は、オール5で卒業した。
父は、息子を医者にしたいと願った。
しかし、千畝の目は早くも海外に向いていた。
「とにかく、外国語を話せるようになりたい。まずは英語だ」
父が勧めた医学の専門学校の入学試験。
彼は答案用紙を白紙で出す。
勝手に、早稲田大学高等師範部英語科を受験して、合格。
父の逆鱗に触れ、仕送りはなかった。
多くのアルバイトを掛け持ちし、なんとか学費や生活費を工面。
当時、彼はぼろぼろの紋付き羽織にノートをしのばせ、帽子にペンをはさんで、学内を闊歩していた。
「変わったやつだ」と周りから揶揄されるのも気にせず、気がついたことや考えたことがあると、その場でノートに書き記した。
一方で、授業中はいっさいノートをとらず、全て暗記した。
そんな生活もお金が底をつき、いよいよ退学に追い込まれそうになる。彼は思った。
「まあ仕方ない。やるだけやってだめなら、次にいくだけだ」。

杉原千畝は、早稲田を中退。
不況により、アルバイト先がどんどん倒産してしまったことで、学費が払えなくなった。
彼はアルバイト先で、様々な人に出会う。
牛乳配達をしながら子ども5人を育てる男、夜の街で働きながら故郷に仕送りをする女。
学校では学べない、生きることの難しさや人間のしぶとさ、したたかさ、生活の哀しさを知った。
学校を辞めることになっても後悔はしなかった。
「自分で決断したことは、たとえ結果がどうあっても精神的にはしのげるものだ」と悟る。
学校を辞める前にたまたま図書館で、新聞に載っていた募集要項を見る。
外務省 留学生試験。
留学、という言葉に胸が躍った。
図書館にこもり、猛勉強。
難関を突破。晴れて国に選ばれた留学生になった。
ロシア語講習のクラスに入る。
新しくロシア語を習得するために、ロシア語の辞書を真っ二つに破り、左右のポケットに入れて持ち歩く。
覚えていったページを破り捨てていった。
こうして初めての赴任先、中華民国のハルビンに向かう。

杉原千畝は、赴任先のハルビンで失望する。
ユダヤ人や中国人の富豪の誘拐殺害事件。
この地にやってくる日本人の驕慢と無責任、出世主義。
あらためて人間の醜さを知り、我が身を振り返る。
「私は、なんのために生まれてきたんだろう。この命を生かす生き方をどうしたらできるだろう…」
外交部を辞し、日本に戻るが、待っていたのは極貧生活だった。
再び、外交官としての道を歩むことにした杉原千畝は、フィンランドのヘルシンキに赴任したあと、リトアニア共和国の臨時の首都、カウナスにやってくる。
日本最初の領事館を建て、ヒットラーの脅威に備えた。
戦局は深刻化し、ポーランドから流れてきた多くのユダヤ難民が領事館の前に座り込む。
悲嘆にくれる難民の家族たちを二階の執務室から見た千畝は、決断した。
「ひとりでも多く、あのひとたちを救おう」
一日中、ペンを持ち、ビザにサインをした。
何本も万年筆は折れ、デスクに突っ伏しながら眠った。
次の赴任先、ベルリンに向かうクルマの中でも、ビザを書き続けた。
動き始めたクルマの窓を開けて、ビザを渡す。
発給したビザは、2139枚。
およそ6000人の命を助けた。
彼は英雄だが、英雄になりたかったわけではない。
杉原千畝は、ただ単に、自分の心を裏切りたくなかった。

【ON AIR LIST】
ドナウ川のさざ波 / ノヴァノヴィッチ(作曲)、ウィーン・フォルクスオーパー管弦楽団、フランツ・バウアー=トイスル(指揮)
SOMETIMES I DON'T KNOW WHAT TO FEEL / Todd Rundgren
WHY DON'T YOU DO RIGHT? / Benny Goodman
CHANGE THE WORLD / Eric Clapton

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今週のRECIPE

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霜降りひらたけとほうれん草の包み蒸し

今回は、岐阜で多く収穫されている野菜、ほうれん草を使った料理をご紹介します。

霜降りひらたけとほうれん草の包み蒸し
カロリー
104kcal (1人分)
調理時間
10分
使用したきのこ
霜降りひらたけ
材料
【2人分】
  • 霜降りひらたけ
  • 1パック
  • ほうれん草
  • 1/4束
  • ベーコン
  • 1枚
  • 小さじ2
  • しょうゆ
  • 小さじ2
  • バター
  • 10g
  • レモン
  • 1/4個
作り方
  • 1.
  • 霜降りひらたけは小房にほぐす。ほうれん草は4cm幅に、ベーコンは2cm幅に切る。
  • 2.
  • クッキングシートを広げて(1)をのせ、酒、しょう油をふってバターをのせる。
  • 3.
  • しっかりとシートで包み、端をねじって閉じる。フライパンに入れたら、1cm程水をはってフタをし、火にかけて5分ほど蒸す。
  • 4.
  • くし形に切ったレモンを添える。
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番組へのメッセージ

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PROFILE

  • 長塚 圭史

    語り:長塚 圭史

    1975年生まれ。東京都出身。96年、演劇プロデュースユニット「阿佐ヶ谷スパイダース」を旗揚げ、作・演出・出演の三役を担う。08年、文化庁新進芸術家海外研修制度にて1年間ロンドンに留学。帰国後の11年、ソロプロジェクト「葛河思潮社」を始動、三好十郎作『浮標(ぶい)』を上演する。近年の舞台作品に、『鼬(いたち)』、『背信』、『マクベス』、『冒した者』、『あかいくらやみ~天狗党幻譚~』、『音のいない世界で』など。読売演劇大賞優秀演出家賞など受賞歴多数。
    また、俳優としても、NHK『植物男子ベランダー』、WOWOW『グーグーだって猫である』、WOWOW『ヒトリシズカ』、CMナレーション『SUBARUフォレスター』など積極的に活動。

  • 北阪 昌人

    脚本:北阪 昌人

    1963年、大阪生まれ。学習院大独文卒。
    TOKYO FMやNHK-FMなどでラジオドマ脚本多数。
    『NISSAN あ、安部礼司』(TOKYO FMなど全国FM37局ネット)、『ゆうちょ LETTER fo LINKS』(TOKYO FMなど全国FM38局ネット)、『世界にひとつだけの本』(JFN)、『AKB48の私たちの物語』(NHK-FM)、『FMシアター』(NHK-FM)、『青春アドベンチャー』(NHK-FM)などの脚本・構成を担当。『プラットフォーム』(東北放送)でギャラクシー賞選奨、文化庁芸術祭優秀賞受賞。『月刊ドラマ』にて、「ラジオドラマ脚本入門』連載中。
    主な著書に『世界にひとつだけの本』(PHP研究所)、『えいたとハラマキ』(小学館)がある。

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NEWS

特別版『オードリー・ヘップバーンが教えてくれる、明日へのyes!』
常盤貴子さん長塚圭史さん
風も、雨も、自ら鳴っているのではありません。 何かに当たり、何かにはじかれ、音を奏でているのです。
誰かに出会い、誰かと別れ、私たちは日常という音を、共鳴させあっています。
YESとNOの狭間で。
あなたは、自分に言っていますか?
YES!ささやかに、小文字で、yes!
毎週土曜日、明日(あした)への希望の風に吹かれながら、自分にyes!と言ったひとたちの物語を朗読でお届けしている番組『yes!明日への便り』。 1月8日は、その特別版「オードリー・ヘップバーンが教えてくれる、明日へのyes!」をお送りいたします。
2018年に没後25年を迎える稀代の大女優オードリー・ヘップバーンの波乱万丈な人生―女優になるまでの波乱に満ちた半生、輝かしい女優時代、ユニセフ親善大使として世界中の子どもたちに尽くした晩年までを、 女優の常盤貴子さんが演じます。
長塚圭史は「語り」の部分やオードリーの夫、また彼女の人生に影響を与えた映画監督の役を担当します。女優、オードリー・ヘップバーンが、私たちに教えてくれる、明日へのyes!とは?

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