yes!~明日への便り~presented by ホクトプレミアム 霜降りひらたけ

第三百二十七話 後ろを振り返らない -【東京篇】女性解放運動家 平塚らいてう-

yesとは?

  • 語り:長塚圭史
  • 脚本:北阪 昌人

『自分にyes!と言えるのは、自分だけです』
今週あなたは、自分を褒めてあげましたか?
古今東西の先人が「明日へのyes!」を勝ち取った命の闘いを知る事で、週末のひとときをプレミアムな時間に変えてください。
あなたの「yes!」のために。

―放送時間―
TOKYO FM…SAT 18:00-18:30 / FM大阪…SAT 18:30-19:00
FM長野…SAT 18:30-19:00 / FM軽井沢…SAT 18:00-18:29

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第三百二十七話後ろを振り返らない

東京市麹町区、現在の千代田区五番町に生まれた女性解放運動家がいます。
平塚らいてう(ひらつか・らいちょう)。
今年、没後50年を迎える彼女は、今から100年以上も前に「家制度」に反対し、事実婚を選びました。
夫婦別姓の先駆者とも言われています。
おととし、公開された『らいてう戦後日記』の中の一節。
1950年4月13日の記述には、
「平和問題、講和問題について、婦人の総意を代表する声明を国内及び国外に、今こそしなければならない瞬間だとこの数日しきりに思い悩む。」
と書かれています。
明治時代末期、良妻賢母こそが女性に求められ、家庭を守ることが主たる仕事であり、女性に参政権は認められていませんでした。
裕福な家庭に生まれ、恵まれた環境に育ったらいてうでしたが、早くからそんな風潮に激しく疑問を抱き、古今東西の本をひもとき見識を拡げ、女性が生きる道を模索したのです。
今から110年前に彼女が中心になって創刊した、女性による女性のための文芸誌『青鞜』の序文に、らいてうは、こう書きしるしました。
「元始、女性は実に太陽であった。真正の人であった。今、女性は月である。他によって生き、他の光によって輝く、病人のような蒼白い顔の月である」。
この『青鞜』という雑誌では、イプセンの戯曲『人形の家』の大特集を組んだり、「現代家庭婦人の悩み」という企画で、「家庭婦人にも労働の対価が支払われてもよいのではないか、その権利は十分あるはずだ」という文章を発表しました。
真っすぐな性格ゆえ、心中事件を起こしたり、父から勘当されてしまうなど、その人生は騒動と共にありますが、彼女は、一度もブレることなく、女性のために闘い続けたのです。
大正時代から昭和にかけ、女性の権利獲得に奔走した活動家・平塚らいてうが人生でつかんだ、明日へのyes!とは?

女性解放活動家・平塚らいてうは、1886年2月10日、現在の東京都千代田区に生まれた。
父は、明治政府の会計検査院に勤める高級官吏。
経済的に何不自由ない暮らし。
3女のらいてうは、両親の愛を受け、伸び伸び育つ。
ただ、生まれながら声帯が弱く、大きな声が出せない。
そのせいで、引っ込み思案で大人しい性格になった。
一歩前に出られないがゆえに、冷静に物事を見る目が養われる。
と同時に、内省的な種が育ち始めた。
彼女が幼い頃の父は、海外の書物にも興味を抱く、国際派。
女性にも教育の必要があると説いていた。
12歳で、女子高等師範学校附属高等女学校に入学。
学業は優秀だった。
家にある父の蔵書、古今東西の書物をひたすら読む。
それだけに飽き足らず、学校の図書館に通いつめ、小説や詩、哲学書、宗教書、英語の本まで、なんでも読んだ。
ある日、薄暗い学校の図書館で一冊の本に巡り合う。
成瀬仁蔵(なるせ・じんぞう)著、『女子教育』。
その本で成瀬は書いていた。
「これからの世の中は、女性に力を発揮してもらわなければ、発展しない」。
感動した。
そうか、これから女性の時代が来るのか。
さらに、成瀬は説いた。
「聴くことを多くし、語ることを少なくし、行うことに力を注ぐべし」
らいてうは、迷わず、成瀬が創設した日本女子大学校、現在の日本女子大学への入学を希望した。
しかし、女子教育に賛成だったはずの父が反対した。
父は言った。
「女子には、女学校以上の学問は必要ない」

平塚らいてうは、幼い頃から疑問に思うことがあった。
母は教養もあり、多くのことに秀でているのに、いつも父をたてる。
父の顔色をいつもうかがい、どこかビクビクしているようにも思えた。
「なぜだろう…」
単純な疑問が、やがて多くの書物に触れるうちに人生の大命題に育っていった。
「女性である私は、人生をどう生きていけばいいのだろう」
「そもそも私はいったい、何のために生まれてきたのだろう」
父に尋ねてみても、返ってくる答えはひとつだけ。
「学問は、もういい。裁縫や料理を習いなさい」
らいてうの必死な訴えに、父は、しぶしぶ日本女子大学校への入学を許した。
ただし、学部は家政学部という条件付き。
家政学部に入ったらいてうは講義などそっちのけで、毎日、小さな図書館に通いつめた。
寮にいても、消灯時間のあと、ろうそくの灯りを頼りに本を読んだ。
ニーチェやショーペンハウエルにも傾倒。
聖書にも真摯に向き合った。
やがて、あれほど尊敬していた成瀬校長の訓話にも、感動を覚えなくなっていた。
もっと期待していたのに…もっと何かが変わると思っていたのに…。
不満は、読書熱をさらに高めた。
ある日、気まぐれな心が彼女の背中を押す。
いつも話す友人とは違う同級生と話がしたくなり、体育会系、背が高い、バスケットボールをやっている木村政子(きむら・まさこ)の部屋を訪ねた。
そこで、らいてうは、人生を変える一冊に出会う。

平塚らいてうは、友人の木村政子の部屋にあがりこむ。
木村が台所に立ったとき、彼女の机の上に、一冊の本があった。
木版刷りの和綴じ本。
タイトルは、『禅海一瀾(ぜんかい・いちらん)』。
著者は鎌倉 円覚寺の老師。禅を説いた本だった。
いわく、「大道を外に求めてはいけない。己の心に求めよ」
衝撃を受けた。
そうか…私はいつも誰かのせいにしていた。
父が悪い、先生がダメだ、校長に幻滅した…。
それは、おかしい。
答えは自分の中にあるはずだ。
まわりに求めているうちは、私は幸せにはなれない。
禅を本格的に学ぶと同時に、彼女は、己の心をのぞき込むことから逃げなかった。
思えば、幼い頃は内省的で、いつも己の心と対話していたではないか。
以来、彼女は、自分の心の辞書から「後悔」という言葉を捨て去った。振り返らない。
やってきたこと、語ってきたことは、決して後悔しない。
その代わり、とことん心に問う。
「私は、何のために生まれてきたか…」
「生きているうちに、何をなすべきか…」
こうして、平塚らいてうは伝説のひとになった。

【ON AIR LIST】
I'M EVERY WOMAN / Chaka Khan
RESPECT / Aretha Franklin
ONE IS THE MAGIC NUMBER / Jill Scott
GIRL OF INTEGRITY / 矢野顕子

★今回の撮影は、田端文士村記念館様にご協力いただきました。ありがとうございました。
なお、現在平塚らいてうの展示は終了しております。
現在開催中の展示など、詳しくは公式HPよりご確認ください。

田端文士村記念館HP
https://kitabunka.or.jp/tabata/

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今週のRECIPE

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霜降りひらたけとれんこんのポタージュ風

これからの季節におすすめの料理をご紹介します。

霜降りひらたけとれんこんのポタージュ風
カロリー
81kcal (1人分)
調理時間
10分
使用したきのこ
霜降りひらたけ
材料
【2人分】
  • 霜降りひらたけ
  • 1パック
  • れんこん
  • 200g
  • 万能ねぎ
  • 1/4束
  • だし汁
  • 400ml
  • 小さじ1/3
  • 黒こしょう
  • 少々
作り方
  • 1.
  • 霜降りひらたけは小房にほぐし、れんこんは皮をむき半分は角切り、残りはすりおろす。万能ねぎは小口切りにする。
  • 2.
  • 霜降りひらたけはトースターで焼き色がつくまで焼く。
  • 3.
  • 鍋にだし汁を入れ、ひと煮立ちしたられんこんを加え、弱火で5分程煮る。(2)を加え、塩と黒こしょうで味を調え、万能ねぎを飾る。
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PROFILE

  • 長塚 圭史

    語り:長塚 圭史

    1975年生まれ。東京都出身。96年、演劇プロデュースユニット「阿佐ヶ谷スパイダース」を旗揚げ、作・演出・出演の三役を担う。08年、文化庁新進芸術家海外研修制度にて1年間ロンドンに留学。帰国後の11年、ソロプロジェクト「葛河思潮社」を始動、三好十郎作『浮標(ぶい)』を上演する。近年の舞台作品に、『鼬(いたち)』、『背信』、『マクベス』、『冒した者』、『あかいくらやみ~天狗党幻譚~』、『音のいない世界で』など。読売演劇大賞優秀演出家賞など受賞歴多数。
    また、俳優としても、NHK『植物男子ベランダー』、WOWOW『グーグーだって猫である』、WOWOW『ヒトリシズカ』、CMナレーション『SUBARUフォレスター』など積極的に活動。

  • 北阪 昌人

    脚本:北阪 昌人

    1963年、大阪生まれ。学習院大独文卒。
    TOKYO FMやNHK-FMなどでラジオドマ脚本多数。
    『NISSAN あ、安部礼司』(TOKYO FMなど全国FM37局ネット)、『ゆうちょ LETTER fo LINKS』(TOKYO FMなど全国FM38局ネット)、『世界にひとつだけの本』(JFN)、『AKB48の私たちの物語』(NHK-FM)、『FMシアター』(NHK-FM)、『青春アドベンチャー』(NHK-FM)などの脚本・構成を担当。『プラットフォーム』(東北放送)でギャラクシー賞選奨、文化庁芸術祭優秀賞受賞。『月刊ドラマ』にて、「ラジオドラマ脚本入門』連載中。
    主な著書に『世界にひとつだけの本』(PHP研究所)、『えいたとハラマキ』(小学館)がある。

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NEWS

特別版『オードリー・ヘップバーンが教えてくれる、明日へのyes!』
常盤貴子さん長塚圭史さん
風も、雨も、自ら鳴っているのではありません。 何かに当たり、何かにはじかれ、音を奏でているのです。
誰かに出会い、誰かと別れ、私たちは日常という音を、共鳴させあっています。
YESとNOの狭間で。
あなたは、自分に言っていますか?
YES!ささやかに、小文字で、yes!
毎週土曜日、明日(あした)への希望の風に吹かれながら、自分にyes!と言ったひとたちの物語を朗読でお届けしている番組『yes!明日への便り』。 1月8日は、その特別版「オードリー・ヘップバーンが教えてくれる、明日へのyes!」をお送りいたします。
2018年に没後25年を迎える稀代の大女優オードリー・ヘップバーンの波乱万丈な人生―女優になるまでの波乱に満ちた半生、輝かしい女優時代、ユニセフ親善大使として世界中の子どもたちに尽くした晩年までを、 女優の常盤貴子さんが演じます。
長塚圭史は「語り」の部分やオードリーの夫、また彼女の人生に影響を与えた映画監督の役を担当します。女優、オードリー・ヘップバーンが、私たちに教えてくれる、明日へのyes!とは?

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