yes!~明日への便り~presented by ホクトプレミアム 霜降りひらたけ

第三百三十五話 楽しみを見つける -【神奈川篇】二宮金次郎-

yesとは?

  • 語り:長塚圭史
  • 脚本:北阪 昌人

『自分にyes!と言えるのは、自分だけです』
今週あなたは、自分を褒めてあげましたか?
古今東西の先人が「明日へのyes!」を勝ち取った命の闘いを知る事で、週末のひとときをプレミアムな時間に変えてください。
あなたの「yes!」のために。

―放送時間―
TOKYO FM…SAT 18:00-18:30 / FM大阪…SAT 18:30-19:00
FM長野…SAT 18:30-19:00 / FM軽井沢…SAT 18:00-18:29

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第三百三十五話楽しみを見つける

神奈川県小田原市出身の、農業に生涯を捧げた偉人がいます。
二宮金次郎(にのみや・きんじろう)。
かつて全国の多くの小学校に、薪を背負い、本を読む金次郎の銅像がありました。
明治を代表する思想家・内村鑑三(うちむら・かんぞう)が英文で書いた外国人向けの人物伝『代表的日本人』で、日本を代表する五人のうちの一人として二宮金次郎を選び、明治の文豪・幸田露伴(こうだ・ろはん)が、少年少女のための文学として金次郎の生涯を執筆。
この本の挿絵に「薪を背負って読書をしながら歩く金次郎少年」が用いられたことによって、イメージが定着したと考えられています。
昭和初期、このイメージをもとに銅像が作られ、全国の小学生の模範となるよう、設置されたと言われています。
勤勉、勤労の象徴としての金次郎の銅像は、時代にそぐわないと撤去が相次いでいますが、彼自身の功績は、時を経ても色あせることはありません。
それどころか、農業の発展のために考え抜いた経営哲学や、ひとはいかにして生きるべきかという人生思想には、現代の我々へのメッセージが込められています。
金次郎は、貧しさの中、幼くして両親を失い、一家の働き手として農業に勤しみますが、度重なる苦難が待っていました。
そんな中、培った哲学。
それは、自らで「楽地」を見つけるということ。
楽地とは、楽しい場所。
どんなに苦境に立たされても、自分で楽しさを見出さないかぎり、人生の達人にはなれないと説いたのです。
ここに、厳しい峠を越えようとしている二人の商人がいます。
ひとりの商人は嘆きます。
「こんな重い荷物を背負って、峠道を歩くなんて辛くてかなわない。ああ、峠なんかなければいいのに…」
でも、もうひとりの商人はこう言いました。
「いや、私はそうは思わない。むしろ、もっともっと険しい峠が続けばいいと思う。そうすれば、商人が来なくなる。頑張って登りきれば、私ひとりが商いをすることができる」
こんな説法で若者を鼓舞した賢人・二宮金次郎が人生でつかんだ、明日へのyes!とは?

江戸時代後期の偉人・二宮金次郎は、1787年、現在の神奈川県小田原市に生まれた。
金次郎が生まれる4年前、天明3年、浅間山が噴火し、大災害が関東を直撃した。
農作物は育たず、凶作は全国に拡がる。
世にいう天明の大飢饉。
農民たちは、絶望のどん底にあった。
金次郎が生まれた頃も不景気は続いていたが、実家は広大な田畑を受け継ぐ裕福な農家だった。
しかし、金次郎の父は、根っからのお人よし。
困ったひとを見ると、放っておけない。
金を貸し、米を与え、貯えを減らしていく。
父のお人よしを笑う者もいた。
父の口癖はこうだった。
「ひとさまにしたことは、必ず自分に返ってくる。親切にしておけば、やがて自分が困ったとき、必ず助けてくれるんだ」
金次郎が4歳のとき、南関東を暴風雨が襲い、近くの川が氾濫。
家は流され、先祖代々守ってきた畑は砂で埋まってしまう。
たった一晩で全てを失い、食べるものにも困る生活が待っていた。
以前、お金や米を工面した農家を廻るが、誰一人、助けてくれない。
仕方なく、荒れ果てた畑を耕す。
心労の末、父は目が見えなくなり、やがて床にふせる。
12歳になった長男・金次郎は、父に代わり、川の堤防工事の仕事に出かけるが、稼ぎが足りない。
悔しかった。
どうして優しい父がこんな目に合うのか。
世の中の理不尽に直面し、怒りが湧いてきた。

12歳の二宮金次郎は、貧しい一家を支えるために朝早くから堤防の仕事に出かけたが、大人たちのように十分な力仕事ができない。
雨の日も風の日も出かけていったが、かえって足手まといになってしまう。
金次郎は、父のことを尊敬し、誰がなんといっても父の言葉を信じていた。
ひとを幸せにすれば、その幸せはいつか自分に返ってくる。
夜中、金次郎は草鞋を編んだ。
力仕事では役に立たないが、せめて働くひとたちに履いてもらおうと思った。
誰かの役に立つことを思うと、夜なべ仕事も楽しかった。
大人たちは、ぼろぼろの草鞋の代わりに、編んだばかりの綺麗な草鞋をもらう。
喜んだ。
労働意欲は増し、効率があがる。
金次郎は仲間に入れてもらった。
床にふせる父に報告すると、咳き込みながら父は喜んでくれた。
「それは、良いことをしたなあ。金次郎は、父さんができないことをやっているんだ。父さんはなあ、困ったひとにお金や米をあげることしかできなかったが、おまえは、働くひとを元気づけることができたんだ。ひとを励ますなんて、なかなかできることじゃない。すごいよ、ああ、おまえは、すごい」
頭を撫でてくれる、その手が骨ばって弱々しいのが哀しかった。
金次郎の草鞋は評判となり、売れるようになった。
そのお金で、父が好きな酒を買う。
父は、泣きながらそれを飲んだ。
「ああ、うまい、うまいよ、金次郎。すまないなあ、父さんがこんな体で…。おまえはきっと、私よりもっと偉いひとになる。そのためには本を読みなさい。本を読むことで世界が拡がるから」

二宮金次郎に影響を与えた人物に、道仙という村の医者がいた。
道仙に、年貢のしくみや、農民がなぜこんなにも辛い思いをするのかを教えてもらう。
金次郎の父は読書家で、家にはたくさんの本があった。
母は、どんなに家計が苦しくても本を売らなかった。
金次郎は、片っ端から本を読む。
中国の古典、日本の歴史、講談本まで、働きながら読み続けた。
道仙に言われた。
「今の世は、農民は農民にしかなれん。でもなあ、金次郎、学をつけておけば、いつか垣根を飛び越えることができるかもしれん。おまえならできる。きっとできる。励みなさい」
ある日、川の近くを歩いていたら、松の苗を抱えた老人に出会った。
全く売れないので、途方に暮れてしまったという。
金次郎は、父のお酒のために貯めておいた金を差し出した。
「これで、その苗を全部ください」
金次郎は、お世話になった道仙の家の近くの川沿いに、買った苗を植えた。
「この苗がやがて大きな松になれば、川が決壊しても、道仙先生の家の被害は少なくなるかもしれない」
酒の代わりに松の苗を買った話をすると、父も母も喜んだ。
父は言った。
「いいことをしたなあ、金次郎。覚えておくんだ、誰かを思ってしたことは、己の心を楽しくしてくれる。それでもう十分、分け前はもらっているんだ」
金次郎の植えた酒匂川の土手の松は、今も住民を守っている。
二宮金次郎は、農民がいかに豊かに生活できるかに生涯を捧げ、どんな環境でも幸せになる術を教えてくれた。

【ON AIR LIST】
二宮金次郎 / ダーク・ダックス
GAMBATEANDO(ガンバッテヤンド) / DIAMANTES
木を植えた男 / MONKEY MAJIK

★今回の撮影は、小田原市尊徳記念館様にご協力いただきました。ありがとうございました。

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今週のRECIPE

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霜降りひらたけの鍋焼きうどん

冬におすすめ、身も心も温まる料理をご紹介します。

霜降りひらたけの鍋焼きうどん
カロリー
420kcal (1人分)
調理時間
10分
使用したきのこ
霜降りひらたけ
材料
【2人分】
  • 霜降りひらたけ
  • 1パック
  • 冷凍うどん
  • 2玉
  • 【A】しょう油
  • 大さじ4
  • 【A】酒
  • 大さじ2
  • 【A】みりん
  • 大さじ2
  • 【A】砂糖
  • 大さじ2
  • 【A】塩
  • 小さじ2
  • 【A】水
  • 2カップ
  • 温泉卵
  • 2個
  • かまぼこ
  • 4切れ
  • 長ねぎ
  • 1/4本
  • 三つ葉
  • 適宜
作り方
  • 1.
  • 霜降りひらたけは小房にほぐし、長ねぎは斜め薄切りにする。
  • 2.
  • 土鍋に電子レンジで解凍したうどん、【A】、霜降りひらたけを入れて強火で加熱する。
  • 3.
  • ひと煮立ちしたら、かまぼこ、長ねぎ、温泉卵を並べ、三つ葉を飾る。お好みで七味唐辛子を振る。
  • recipe LIST

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PROFILE

  • 長塚 圭史

    語り:長塚 圭史

    1975年生まれ。東京都出身。96年、演劇プロデュースユニット「阿佐ヶ谷スパイダース」を旗揚げ、作・演出・出演の三役を担う。08年、文化庁新進芸術家海外研修制度にて1年間ロンドンに留学。帰国後の11年、ソロプロジェクト「葛河思潮社」を始動、三好十郎作『浮標(ぶい)』を上演する。近年の舞台作品に、『鼬(いたち)』、『背信』、『マクベス』、『冒した者』、『あかいくらやみ~天狗党幻譚~』、『音のいない世界で』など。読売演劇大賞優秀演出家賞など受賞歴多数。
    また、俳優としても、NHK『植物男子ベランダー』、WOWOW『グーグーだって猫である』、WOWOW『ヒトリシズカ』、CMナレーション『SUBARUフォレスター』など積極的に活動。

  • 北阪 昌人

    脚本:北阪 昌人

    1963年、大阪生まれ。学習院大独文卒。
    TOKYO FMやNHK-FMなどでラジオドマ脚本多数。
    『NISSAN あ、安部礼司』(TOKYO FMなど全国FM37局ネット)、『ゆうちょ LETTER fo LINKS』(TOKYO FMなど全国FM38局ネット)、『世界にひとつだけの本』(JFN)、『AKB48の私たちの物語』(NHK-FM)、『FMシアター』(NHK-FM)、『青春アドベンチャー』(NHK-FM)などの脚本・構成を担当。『プラットフォーム』(東北放送)でギャラクシー賞選奨、文化庁芸術祭優秀賞受賞。『月刊ドラマ』にて、「ラジオドラマ脚本入門』連載中。
    主な著書に『世界にひとつだけの本』(PHP研究所)、『えいたとハラマキ』(小学館)がある。

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NEWS

特別版『オードリー・ヘップバーンが教えてくれる、明日へのyes!』
常盤貴子さん長塚圭史さん
風も、雨も、自ら鳴っているのではありません。 何かに当たり、何かにはじかれ、音を奏でているのです。
誰かに出会い、誰かと別れ、私たちは日常という音を、共鳴させあっています。
YESとNOの狭間で。
あなたは、自分に言っていますか?
YES!ささやかに、小文字で、yes!
毎週土曜日、明日(あした)への希望の風に吹かれながら、自分にyes!と言ったひとたちの物語を朗読でお届けしている番組『yes!明日への便り』。 1月8日は、その特別版「オードリー・ヘップバーンが教えてくれる、明日へのyes!」をお送りいたします。
2018年に没後25年を迎える稀代の大女優オードリー・ヘップバーンの波乱万丈な人生―女優になるまでの波乱に満ちた半生、輝かしい女優時代、ユニセフ親善大使として世界中の子どもたちに尽くした晩年までを、 女優の常盤貴子さんが演じます。
長塚圭史は「語り」の部分やオードリーの夫、また彼女の人生に影響を与えた映画監督の役を担当します。女優、オードリー・ヘップバーンが、私たちに教えてくれる、明日へのyes!とは?

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