yes!~明日への便り~presented by ホクトプレミアム 霜降りひらたけ

第三百三十九話 権力を笑い、我が道を行く -【京都篇】僧侶 一休宗純-

yesとは?

  • 語り:長塚圭史
  • 脚本:北阪 昌人

『自分にyes!と言えるのは、自分だけです』
今週あなたは、自分を褒めてあげましたか?
古今東西の先人が「明日へのyes!」を勝ち取った命の闘いを知る事で、週末のひとときをプレミアムな時間に変えてください。
あなたの「yes!」のために。

―放送時間―
TOKYO FM…SAT 18:00-18:30 / FM大阪…SAT 18:30-19:00
FM長野…SAT 18:30-19:00 / FM軽井沢…SAT 18:00-18:29

閉じる

第三百三十九話権力を笑い、我が道を行く

京都で生まれ、京都でその生涯を閉じた、とんちで名高い僧侶がいます。
一休宗純(いっきゅう・そうじゅん)。
彼の名を全国的に広めたのは、1975年から1982年まで放送されたテレビアニメ『一休さん』かもしれません。
お寺で修行する幼い一休さんが、さまざまな危機やトラブルを得意のとんちやユーモアで解決するという物語。
最高視聴率は、27.2%、関西地区では、40%を超える回もありました。
「この橋、わたるべからず」や「屏風の中の虎を退治する話」など、多くの逸話が語り継がれ、特に江戸時代には、『一休噺(いっきゅうばなし)』として、庶民に笑いと勇気を与えたのです。
彼の逸話は、さらなる逸話を呼び、出典も定かでない、もはや都市伝説とでも言えるようなものも多く存在しますが、それらは全て、一休の規格外な言動が源になっています。
たとえば、こんなエピソード。
一休は、亡くなる前、弟子たちにある箱を渡します。
「いいか、もし、そなたたちが苦難に直面し、どうしようもない壁にぶつかり、まったく解決の糸口が見えぬとき、この箱をお開けなさい。そこに解決策をしたためておいた」
あるとき、弟子たちが苦境にたたされ、すがるように箱を開けると、中にはたった一枚、白い紙があり、こう書かれていました。
『だいじょうぶ、なんとかなる』。
さまざまな逸話に彩られた一休の人生。
でも、彼にはたったひとつ、生涯貫いた信念がありました。
それは、権威を否定すること。
当時、僧侶たちが、喉から手が出るほど欲しがったものがあります。
「印可証」です。
印可証がないと自分で寺を開くことができず、また、この証書こそ出世の代名詞でした。
悟りを開き、この証書をもらった一休は、すぐさま火にくべてしまいます。
まわりのひとたちが「もったいない!」というと、「悟りに証明書などいりません」と言い放ったのです。
常に貧しいもの弱きものに寄り添い、権威を振りかざす支配者に立ち向かった賢人・一休宗純が人生でつかんだ、明日へのyes!とは?

室町時代の禅宗の僧侶・一休さんこと、一休宗純は、1394年、京都に生まれた。
ときは、南朝時代の終焉。
北朝の後小松天皇が皇位を得た頃。
伊予の局が身ごもった。
しかし、かつて南朝に仕えていた伊予の局は、天皇の身を脅かし、さらには生まれてくる子が謀反を起こすと占い人に進言され、宮中から追放されてしまう。
伊予の局は、京のはずれでひっそり赤子を産んだ。
その子どもこそ、のちの一休宗純。
追手に我が子を殺されると案じた母は、5歳になるかならぬかの一休を、伏見近くの禅寺、安国寺に託す。
一休は、哀しかった。
どうして大好きな母から離れなくてはならないのか、わからない。
泣いた。毎日泣いた。
修業は厳しく、食べるものも少ない。
寒さに震えながら、毎朝4時に起きた。
つらいときは、いつも母に語りかけた。
そうして、母が最後に言ったひとことを思い出した。
「精一杯、修行に励みなさい。そしていつか、この惑い悩む母を導いておくれ」

一休宗純は、安国寺で11年間、修行を積んだ。
仏門への真摯な態度はもちろん、当時、インテリの代名詞と言われた中国の古典、特に漢詩を自在に紡ぐ才能には誰もが舌を巻いた。
その噂は、金閣を造った足利義満(あしかが・よしみつ)の耳にも入る。
15歳のときに詠んだ「春衣宿花」という詩は、美しい日本を歌った秀作で、京の町で流行歌になった。
そのころ、一休が属する臨済宗の京都五山派は、足利将軍家と強く結びつき、手厚い保護を受けていた。
貴族や高尚な武士の子息が寺に入ってくる。
彼らは修行などせず、きらびやかな衣を着て、出世することばかりを望んでいた。
なるべく早く和尚から印可証をもらい、自分の寺を持ち、信者から金を集め、贅沢三昧な暮らしをすることが彼らの願いだった。
日頃から、人々が平等に生きる世の中を願っていた一休は、絶望した。
世間には、病や貧困に苦しむひとがあふれているのに、幕府は手を差し伸べるどころか、自分たちの権威を守るのに必死だ。
民の心の支えであるべき僧侶たちも欲にまみれている。
一休は、行き場を無くした。
どうしたらいいのか…。
母のもとにも帰れない。
そんなとき、ある僧侶に出会う。
西金寺の謙翁(けんおう)。
謙翁は、ぼろぼろの服で路上に立ち、人々の苦しみに寄り添い、禅の教えを説いた。
謙翁の弟子になった一休は、再び僧侶としてやるべきことを見出した。
「権威がどうした! 死んでしまえば、みな同じ髑髏(どくろ)だ。ボクは、ボクが信じる道を進む」

一休宗純は、謙翁のもとで厳しい修行に耐えた。
裕福な寺を出て、路上で托鉢をする一休を、他の僧侶たちは笑った。
でも、常に弱きものの立場に立つ一休の姿に、感銘を受けるものも現れた。
弟子は弟子を呼び、いつしか高名な僧侶になっていた。
新年でいちだんと派手な宴会をする貴族たち。
そんな宴席の中に、一休は、突如ズカズカと踏み込む。
先端にシャレコウベをつけた杖を持って。

彼は大声で髑髏を振り回す。
「ご用心!! ご用心!!!」
不吉なものを見た貴族たちは、怒り、わめき、一休を追い出そうとするが、一休は語る。

「今日、食べるものもない民がいるのです。恥ずかしいと思いなさい。
あなたがたがしがみついているものは、死んでしまえば消えてしまう。
でも、誰かを愛し、誰かを慈しんだ思いは、あの世に逝っても消えません。
どう生きるかが、どう死ぬか。ご用心、ご用心」

一休宗純は、数十年ぶりに母に会い、母の悩みを打ち消してあげた。
そのとき、どんな修行の最中でも流さなかった涙を流した。
子どもから年老いた者まで、貧しき者、病める者に対しても等しく接した彼は、いつしか親しみを込めて「一休さん」と呼ばれるようになった。

【ON AIR LIST】
とんちんかんちん一休さん / 相内恵、ヤングフレッシュ
ははうえさま / 藤田淑子
SHAKEDOWN STREET / Grateful Dead
一休さんに相談だ / レキシ

音声を聴く

今週のRECIPE

閉じる

生どんこのかぶら蒸し、霜降りひらたけのソテー

今回は、京都で多く生産されている野菜、かぶを使った料理をご紹介します。

生どんこのかぶら蒸し、霜降りひらたけのソテー
カロリー
128kcal (1人分)
調理時間
30分
使用したきのこ
一番採り 生どんこ、霜降りひらたけ
材料
【2人分】
  • 一番採り 生どんこ
  • 2個
  • 【A】水
  • 330ml
  • 【A】バター
  • 15g
  • 【A】塩
  • 少々
  • かぶ
  • 2個
  • 全卵
  • 小1個
  • だし汁
  • 50ml
  • 霜降りひらたけ
  • 1パック
  • 100ml
  • コンソメ(顆粒)
  • 1.5g
  • 水溶きコーンスターチ
    (片栗粉でも可)
  • 適量
  • バター、塩、こしょう
  • 各適量
作り方
  • 1.
  • どんこの軸を切り、軸は一口大に切る。カサと軸、【A】を鍋に入れ、落とし蓋をして10分ほど煮る。
  • 2.
  • かぶの上部をカットし、くりぬく。
  • 3.
  • 全卵とだし汁(自家製の場合:水150g、かつお節2g、しょう油2gで煮て作る)、(1)の軸を混ぜ合わせる。
  • 4.
  • (2)に(3)(40g程)を流し入れ、(1)のカサでフタをして、蒸し器で5分ほど蒸す。
  • 5.
  • 霜降りひらたけは大きめにさいてバターでソテーし、塩、こしょうをする。
  • 6.
  • 鍋に水とコンソメを入れて沸かし、水溶きコーンスターチ、塩、こしょうを加え混ぜ、とろみをつけソースとする。
  • 7.
  • 皿の中央に(4)を盛り、まわりに(5)を盛り付け、(6)をかける。
  • recipe LIST

閉じる

ARCHIVE

閉じる

RECIPE LIST

閉じる

番組へのメッセージ

閉じる

PROFILE

  • 長塚 圭史

    語り:長塚 圭史

    1975年生まれ。東京都出身。96年、演劇プロデュースユニット「阿佐ヶ谷スパイダース」を旗揚げ、作・演出・出演の三役を担う。08年、文化庁新進芸術家海外研修制度にて1年間ロンドンに留学。帰国後の11年、ソロプロジェクト「葛河思潮社」を始動、三好十郎作『浮標(ぶい)』を上演する。近年の舞台作品に、『鼬(いたち)』、『背信』、『マクベス』、『冒した者』、『あかいくらやみ~天狗党幻譚~』、『音のいない世界で』など。読売演劇大賞優秀演出家賞など受賞歴多数。
    また、俳優としても、NHK『植物男子ベランダー』、WOWOW『グーグーだって猫である』、WOWOW『ヒトリシズカ』、CMナレーション『SUBARUフォレスター』など積極的に活動。

  • 北阪 昌人

    脚本:北阪 昌人

    1963年、大阪生まれ。学習院大独文卒。
    TOKYO FMやNHK-FMなどでラジオドマ脚本多数。
    『NISSAN あ、安部礼司』(TOKYO FMなど全国FM37局ネット)、『ゆうちょ LETTER fo LINKS』(TOKYO FMなど全国FM38局ネット)、『世界にひとつだけの本』(JFN)、『AKB48の私たちの物語』(NHK-FM)、『FMシアター』(NHK-FM)、『青春アドベンチャー』(NHK-FM)などの脚本・構成を担当。『プラットフォーム』(東北放送)でギャラクシー賞選奨、文化庁芸術祭優秀賞受賞。『月刊ドラマ』にて、「ラジオドラマ脚本入門』連載中。
    主な著書に『世界にひとつだけの本』(PHP研究所)、『えいたとハラマキ』(小学館)がある。

閉じる

NEWS

特別版『オードリー・ヘップバーンが教えてくれる、明日へのyes!』
常盤貴子さん長塚圭史さん
風も、雨も、自ら鳴っているのではありません。 何かに当たり、何かにはじかれ、音を奏でているのです。
誰かに出会い、誰かと別れ、私たちは日常という音を、共鳴させあっています。
YESとNOの狭間で。
あなたは、自分に言っていますか?
YES!ささやかに、小文字で、yes!
毎週土曜日、明日(あした)への希望の風に吹かれながら、自分にyes!と言ったひとたちの物語を朗読でお届けしている番組『yes!明日への便り』。 1月8日は、その特別版「オードリー・ヘップバーンが教えてくれる、明日へのyes!」をお送りいたします。
2018年に没後25年を迎える稀代の大女優オードリー・ヘップバーンの波乱万丈な人生―女優になるまでの波乱に満ちた半生、輝かしい女優時代、ユニセフ親善大使として世界中の子どもたちに尽くした晩年までを、 女優の常盤貴子さんが演じます。
長塚圭史は「語り」の部分やオードリーの夫、また彼女の人生に影響を与えた映画監督の役を担当します。女優、オードリー・ヘップバーンが、私たちに教えてくれる、明日へのyes!とは?

閉じる