語り手:乳酸菌

トンネルを抜けるとそこはおなかの中だった…。 乳酸菌は今日も人と生きている。 ボクらは乳酸菌。古くからこの星に住み、 人間や動物の体に宿り、日々活動しています。 そんな乳酸菌たちが宿主と一緒に喜んだり、悲しんだり。 時には励ましたり…おなかの中から 語りかけるストーリィをお楽しみください。

メッセージ

番組ではメッセージを募集しています!番組の感想や乳酸菌くん(語り手)へのメッセージをお寄せください。

2019年10月20日(日)

新しい時間と空間

ボクの宿主は77歳の男性。
歩く姿が、なんだか寂しそうな森田さんです。

たった今、運転免許証を自主返納してきたんだよね。

車も、運転も、大好き。
まだまだ、と思っていたけれど…。

森田さん:「あぁ・・・」

おウチの車庫で、車にキズ。
そろそろ潮時だと思ったんだよね。

でも…。

車なら10分の道のりも、バスだと30分以上。
車内も混んでいるし、やっぱり不便だよね〜。

ところが…。

女子中学生:「ここ、どうぞ。」

近所の子と偶然乗り合わせて、思いがけず席を譲ってもらえた森田さん。

しかも…。

森田さん:「その本、太宰治?」

女子中学生:「あぁ、今、ハマってるんです。太宰。
学校でも、結構、流行ってるんですよ」

森田さん:「へー、それは知らなかったなぁ〜」

バスの中で、つかの間の世間話。
普段よりも会話が弾んで、楽しいね〜。
免許を返したら、不便なこともあるけれど、新しい時間と空間が生まれることもあるんだね。

森田さん:「久しぶりに太宰、読んでみようかなぁ」

あは! 森田さん、その調子!
せっかく生まれた時間と空間。楽しまなくっちゃ!

ボクら乳酸菌は、自主的に快適な空間づくりをしているよ!
おなかの中は、ボクらにお任せ!

じゃあ、また、日曜のお昼に!