語り手:乳酸菌

トンネルを抜けるとそこはおなかの中だった…。 乳酸菌は今日も人と生きている。 ボクらは乳酸菌。古くからこの星に住み、 人間や動物の体に宿り、日々活動しています。 そんな乳酸菌たちが宿主と一緒に喜んだり、悲しんだり。 時には励ましたり…おなかの中から 語りかけるストーリィをお楽しみください。

メッセージ

番組ではメッセージを募集しています!番組の感想や乳酸菌くん(語り手)へのメッセージをお寄せください。

2021年06月13日(日)

思いがけない成長

ボクの宿主は67歳の幸蔵さんです。

ポカポカ陽気の昼下がり。
孫の小学生、サラちゃんと将棋の対局中。

サラちゃん「おじいちゃん、まぁ〜だぁ〜」

幸蔵さん「んんんん…。 はぁ〜」

対局がはじまって、かれこれ1時間。
幸蔵さん、苦戦しているみたい。

幸蔵さん「いや、待てよ。桂馬を動かして…、あ、ダメだ!ダメだ!」

幸蔵さんがサラちゃんに将棋を教えたのは、ちょうど1年前。
おうち時間が増えて、退屈していたからだけど…

サラちゃん、随分、腕をあげたみたい。

幸蔵さん「やっぱり、一旦逃げて…と」

すると…。

サラちゃん「やった! はい、おじいちゃん、王手!」

幸蔵さん「えっ?! あ!!」

な、なんと! 幸蔵さん、痛恨の見落としが!

幸蔵さん「あぁぁ、おじいちゃんとしたことが…」

サラちゃんに初めて負けた幸蔵さん。あれ? でも、なんだか嬉しそう。

幸蔵さん「1年でずいぶん上達したもんだなぁ〜」

あは! 感慨深げ。
仕方なく増えたおうち時間だけど、思いがけないサラちゃんの成長が嬉しいんだね。

幸蔵さん「よし! もう1局!」

サラちゃん「いいよ〜!」

幸蔵さん「次は負けないぞー」

ボクら乳酸菌は、どんな時もみんなの成長を見守っているよ。
いつも、いつまでも。
じゃあ、また、日曜のお昼に!