語り手:乳酸菌

トンネルを抜けるとそこはおなかの中だった…。 乳酸菌は今日も人と生きている。 ボクらは乳酸菌。古くからこの星に住み、 人間や動物の体に宿り、日々活動しています。 そんな乳酸菌たちが宿主と一緒に喜んだり、悲しんだり。 時には励ましたり…おなかの中から 語りかけるストーリィをお楽しみください。

メッセージ

番組ではメッセージを募集しています!番組の感想や乳酸菌くん(語り手)へのメッセージをお寄せください。

2021年10月03日(日)

引き継がれる思い

ボクの宿主は55歳のトオルさんです。

奥さんと二人で、生まれ育った家のお片付け中。

トオルさん「オレは庭の草刈りするから、台所、頼むな」

今は誰も住んでいない、古い一軒家。
トオルさんは、リフォームするか、新築にするか、いっそ畳んでしまうか、決められずにいるんだよね。

柱の傷。
かくれて遊んだ縁側。
この家には、思い出がいっぱい!

でも…。

トオルさん「リフォームしても、新築の住みやすさにはかなわないよなぁ〜」

考えは、いつまでたっても堂々巡り…。

ほら、ぼーっとしてないで、奥さんが台所から呼んでるよ!

奥さん「ねぇ、これ見て。割れたところをキレイに直してあるの」

奥さんの手に握られていたのは、トオルさんが子供の頃に使っていた、お茶碗。

あは! つなぎ目を、漆と金で繕ってあるみたい。

奥さん「もう誰も使ってないのに、お義母さんたちには宝物だったんだね」

割れたお茶碗のつなぎ目から持ち主の思いが伝わってくるなんて、古いものには、新しいものとは違う魅力があるね〜。

トオルさん「丁寧に直せば、この家も味が出るだろうなぁ〜」

あれ? 少しは考えがまとまってきたかな?

ボクら乳酸菌の思いは、古くから引き継がれているんだ!
調子いいおなかが、その証拠だよ!

じゃあ、また、日曜のお昼に!