語り手:乳酸菌

トンネルを抜けるとそこはおなかの中だった…。 乳酸菌は今日も人と生きている。 ボクらは乳酸菌。古くからこの星に住み、 人間や動物の体に宿り、日々活動しています。 そんな乳酸菌たちが宿主と一緒に喜んだり、悲しんだり。 時には励ましたり…おなかの中から 語りかけるストーリィをお楽しみください。

メッセージ

番組ではメッセージを募集しています!番組の感想や乳酸菌くん(語り手)へのメッセージをお寄せください。

2022年02月13日(日)

雨やどりと相合い傘

ボクの宿主は60歳。
雨宿り中のトキオさんです。

映画館を出たら、どしゃ降り。

彼女さん「わぁー、すごい雨」

彼氏さん「なんだ、ついてないなぁ〜」

おやおや?
こちらのカップルも、傘を持っていないみたい。
小さな映画館の軒下に残されたのは、カップルとトキオさんの3人だけ。

はぁ〜、いつになったらやむのかな〜。
時間だけが過ぎていくね。

彼氏さん「俺、傘、買ってくるわ」

そう言って雨の中駆け出して行った彼氏さん。

あは! 彼女の前だからって、かっこつけちゃってぇ〜。

傘をさして戻って来た手には、彼女用の傘がもう1本。
あぁ、とうとうトキオさん一人になっちゃうね。

ところが。

彼氏さん「あの、よかったら、これ、どうぞ」

突然、目の前に差し出される傘!

なんと、彼女用の傘だと思っていたのは、トキオさんのために買ってきてくれたものみたい。

見ず知らずのおじさんに、親切にしてくれるなんて。
なんだか、ジーンときちゃうよね〜。

気がつくと、カップルは相合い傘で雨の中へ。
お礼もまだなのに…。

トキオさん! せめて心の中で二人の幸せを願おうよ。
「ありがとう」そして「お幸せに」。

ボクら乳酸菌は、おなかの中から、いつもみんなの幸せを願っているからね。

じゃあ、また、日曜のお昼に!