語り手:乳酸菌

トンネルを抜けるとそこはおなかの中だった…。 乳酸菌は今日も人と生きている。 ボクらは乳酸菌。古くからこの星に住み、 人間や動物の体に宿り、日々活動しています。 そんな乳酸菌たちが宿主と一緒に喜んだり、悲しんだり。 時には励ましたり…おなかの中から 語りかけるストーリィをお楽しみください。

メッセージ

番組ではメッセージを募集しています!番組の感想や乳酸菌くん(語り手)へのメッセージをお寄せください。

2012年03月04日(日)

卒業式の帰り道

ボクの宿ぬしは、18歳の女の子です。
高校の卒業式。
卒業証書を片手に、親友のミナコと、最後の帰り道。

あ〜あ、この道ともお別れだね…。
部活のこと、テストの結果、好きな人のこと…。
この道で話したこと、数え切れないね。

ああ、あの角曲がったら、もう駅だ…。
そういえば、あの角でケンカ別れしたこともあったっけ…。
でも、この曲がり角、一生忘れないよ。
そう、三年前の春…。

「ねえ、リュックのチャック開いてるよ!」って。

あれがきっかけで、こんなに親友になるなんて…。
ミナコ、もう憶えてないよね。

失恋したときも、部活でケガしたときも、受験でつらかったときも…。
いっつも、そばにいてくれたね。
春からは、地元を離れて、お互い、一人暮らし。
ホントに、別々の道…。

「ちょっと!あんた!リュックのチャック、開いてるよ!」

あ、ああ?! ホントに開いてる!

ありがと。
いつも、背中を見守ってくれてたんだね。

ボクら乳酸菌は、これからもずっと、キミのおなかを見守るからね。
じゃあ、また、日曜のお昼に。