語り手:乳酸菌

トンネルを抜けるとそこはおなかの中だった…。 乳酸菌は今日も人と生きている。 ボクらは乳酸菌。古くからこの星に住み、 人間や動物の体に宿り、日々活動しています。 そんな乳酸菌たちが宿主と一緒に喜んだり、悲しんだり。 時には励ましたり…おなかの中から 語りかけるストーリィをお楽しみください。

メッセージ

番組ではメッセージを募集しています!番組の感想や乳酸菌くん(語り手)へのメッセージをお寄せください。

2014年08月17日(日)

花火のようなひととき

ボクの宿ぬしは、48歳の男性です。
彼、奥さんと花火大会。
昔は、毎年のように娘の珠代ちゃんを連れてきたけど、今は、ふたり。
河川敷までの道も、すっかり景色が変わって…。
昔の面影は、あまりないね。

会場に近づくと、夜店がちらほら。
と、奥さんが…
奥さん:「ねえねえ、あの綿菓子屋さん!」
ああ!昔、よく立ち寄った綿菓子屋さん。
屋台のおじさん:「らっしゃい!らっしゃい!」
あのおじさん、ぜんぜん変わってないね。
ねえ、ちょっと寄ってみない?

屋台のおじさん:「お!いつものご夫婦!」
うわぁ、憶えていてくれたの?
屋台のおじさん:「そうだ、ほら見て、これ!」
ああ!それは…。
昔、オマケしてくれたおじさんに珠代ちゃんがあげた、オモチャの腕輪!
屋台のおじさん:「今じゃ、これがないと、なんとなく調子が出なくてね!」

時は流れて、珠代ちゃんも、大学生。
親子三人、手を引いて歩いたのは、花火のようなひとときだったけど…。
ここに来る度に、思い出せるね。

ボクらも、変わらず、おなかに元気を打ち上げていくよ。
じゃあ、また、日曜のお昼に。