Yuming Chord
松任谷由実
2015.07.10.O.A
♪Onair Digest♪
東京はもうしばらく雨の季節が続きそうですが、梅雨の合間の晴れた日は、きらめく緑が本格的な夏の始まりを告げています。そんな今こそ、行きたい場所がある・・・。
今日のコードは「庭園(Gardens)」です。


■今週のChordは“庭園(Gardens)”

m1 Green Garden
Laura Mvula

先月、3週間ほどかけて、フランス各地へ取材に出かけてきました。
行く先々で心動かされる風景に出会ったんですが、中でも、今回の旅のトピックスといえば、通称「モネの庭」を訪れたこと。パリから西へおよそ1時間、セーヌ河の下流にある小さな村、ジヴェルニー。そこに、印象派の画家、クロード・モネの邸宅と庭園があります。彼は43歳から亡くなるまでの43年間を家族とここで過ごし、絵を描くこと、そして庭園を造りあげることに情熱を傾けたといわれています。
ジヴェルニーで感じた、「光」「空気」「色」。それらが本当に、モネの絵そのものだった、というのを改めて確認しました。
庭園と美術館というのは、きってもきれない縁があるような気がしますね。
もうひとつ、フランス滞在中に足を伸ばしたのが、パリから南へおよそ1000キロ、南仏コート・ダ・ジュールにあるマントンです。ここに2011年に新しくできたジャン・コクトー美術館にも行ってきました。
ちなみに、マントンは「庭園の街」といわれていて、亜熱帯に位置する気候を活かした植物を中心にした庭園がたくさんありました。


m2 Dans le jardin d'Eden
Isabelle Antenas

庭園、といえばイギリスも庭園文化が盛んです。
平面幾何学式、と呼ばれる人工的なフランス式庭園に対して、イギリス式庭園は、自然の風景美を求める思想から生まれたもの、といわれています。これは、日本庭園と共通する様式でもありますよね。
ジヴェルニーにあるモネの庭園は、フランスとはいえイギリス式に近いかも。水の池にかかった緑色の太鼓橋は、日本の庭園の影響ですしね。
そして実は、かつて、荒井呉服店も日本庭園を所有していたんです!自慢話に聴こえちゃうかもしれませんが、私、あの庭園が大好きだったんですよね・・・。残念ながら、とっくに手放してしまったんですが、裏高尾と呼ばれる場所にありました。
フランスの日本旅行ガイド、「ミシュラン・ボワイヤジェ・プラティック・ジャポン」で、富士山や奈良・京都といった観光名所に並んで三ッ星を獲得した高尾山ですよ!今ならもっと価値があがっていたかも・・・。
つまりは荒井家の別荘だったわけなんですけど、日本庭園が広がっていたんですね。築山、灯籠、藤棚、鯉がすむ池、太鼓橋・・・。そして、柱と屋根しかない、東屋。思えば、ここで過ごした日々が、少なからず私の人生にも影響しているような気がしますね。
造り手の魂がこめられた庭園は、人の心をなぐさめる永遠の聖域といえるかもしれません。

m3 Mysterious Flower
松任谷 由実

野性の大自然ももちろん素晴らしいけれど、庭園は、人の手が加えられて、その人の魂がこもっていますよね。だからこそ、共鳴しあうとすごく、感じるところがあります。ちなみに、今日お話したフランスの旅の模様は、雑誌「フィガロジャポン」の8月号から3号にわたって連載されます。ぜひ、チェックしてみてくださいね。
我が家にも、ちょっとした庭園があったりします。
お手入れは、グリーン・フィンガーをもつお手伝いさんにお任せしていますが、ここも、私のヒーリング・スポットかもしれないですね。
そして、そんな庭園が身近になかったとしても、一度訪れたお気に入りの庭園の風景を、心の中にとどめておけたら幸せですよね。
あの光、空気、水の流れ・・・、いつでも思い出せるよう、大切にしまっておきたいと思います。



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