Yuming Chord
松任谷由実
2015.08.14.O.A
♪Onair Digest♪
お盆休みウィークに突入して、東京の都心はなんとなくひっそりしている気がします。
帰省したり旅行に出かけたり、暑さに負けてお家にこもったり・・・、きっとみなさん、さまざまな夏休みを過ごされている頃ですよね。
少しでも時間が出来たらおすすめしたい、この時期ならではのお楽しみといえば?
今日のコードは「ファンタジー」です。


■今週のChordは“ファンタジー”

m1 A-Sky-Full-of-Stars
Coldplay

一瞬で冒険も銀河への旅も、予期せぬ恋も友情の絆も味わえるのが「ファンタジー」。子どもは大人に、大人は子どもになれる、まさに、夏休みにぴったりのジャンルです。
まず、「ファンタジー」を辞書でひくと、空想、想像、幻想・・・といった言葉が並んでいます。
語源としては、現実にありえないことが頭の中に出現する、見えてくる、白昼夢、といった現象からきているといわれています。まさに、私の得意分野ですね。
私の場合は大人になった今でも「ファンタジー」の世界でお仕事しているようなもの。特に私が携わってきた舞台は、ファンタジーの要素が必要不可欠でした。
たとえば、時空を越える演出・・・。私自身の存在も、ファンのみなさんの前では、ある意味「ファンタジー」でなければならない・・・なんていう意識もあるかも。
「ファンタジー」は、現実と幻想の間にあるもの、ととらえたら、たとえば「神話」のたぐいはファンタジー。誤解を恐れずに言えば「聖書」もファンタジーかも。
どちらも好きで、もちろん読みましたし、知っていると西洋の文化への理解が深まりますよね。
ファンタジーは想像力を刺激しまくる、究極の娯楽かもしれません。


m2 Lorelei
Cocteau Twins

コクトーツインズの1984年のアルバム「トレジャー」から、このアルバムの曲はすべて神話からとったタイトルになっているコンセプトアルバムでした。「ローレライ」は、ドイツにまつわる伝説で「河の妖精」です。
『モモ 時間どろぼうとぬすまれた時間を人間にかえしてくれた女の子の不思議な物語』の作者、ミヒャエル・エンデ。
彼は、こう語っていたそうです。
「ファンタジーとは現実逃避や空想の世界の冒険ではない。イマジネーションによって、未来に対する予言的能力を得られるのだ」・・・。
子どもの頃に触れたファンタジーが、ふと、大人になってから腑に落ちたりするのは、こういうことだったのかもしれないですね。
私がかつて読んで心に残っている物語といえば・・・
『黄金の川の王さま』
ジョン・ラスキン(1819-1900)の唯一の童話で、1851年に出版されたもの。彼は美術批評家、地質学者、社会思想家、ナチュラリストで詩人でした。
『銀河鉄道の夜』
いわずと知れた、宮沢賢治の代表作。“永久の未完成 これ完成である”という自らの言葉どおり、死のまぎわまで手を入れられていたとか。
彼の童話は、他人のために自己を犠牲にするというテーマを、科学的な知識に裏付けられた宇宙観で描いたものが多いといわれます。
ファンタジーを構成する要素、舞台なら「迷宮」「古城」「泉」「洞窟」「森」「廃墟」。
道具なら「剣」「指輪」「聖杯」、役柄なら「騎士」「聖者」「妖精」「錬金術師」「魔法使い」・・・。
こうしてあげてみると、私の曲にも、けっこう出てくるワードがあるような気がします。ファンタジー度、高いんですね!
ちなみに、魔術の世界も学んだ心理占星学研究家の鏡リュウジさんいわく・・・
魔女とは、あちらの世界とこちらの世界を行ったり来たりする存在で、“Walkers between the Worlds”(二つの世界を歩くもの)という呼び名もあるんだそうです。
常に複数の視点をもつのが魔女。まさに私!魔女、といわれるゆえんです。


m3 砂の惑星
松任谷 由実

改めて感じたのは、ファンタジーがあるから、人は生きてゆける、ということ。
現実から簡単に違う世界へと行ける力はすばらしい!折れそうな心が、救われることありますよね・・・。
考えてみれば、“空を飛びたい”というファンタジーが飛行機を作ったし、“遠いところに住んでいる人とつながりたい”と思ったから電話ができた・・・。そう考えたら、世界はファンタジーが創りあげてきた・・・とも言えますよね。
文学も映画も音楽も、ファンタジー。触れたとたん、時空を越えた新しい世界が広がります。
そして現実に戻ったときに、ちょっとだけ、変わった自分になれる。
過去の出来事の意味がわかったり、未来が透けて見えたりもする。
夏休みならではの脳内トリップ、楽しみたいですね!



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