Yuming Chord
松任谷由実
2015.11.20.O.A
♪Onair Digest♪
この番組でもずっとお知らせしてきましたが、いよいよ、明日から公開となる映画、『リトルプリンス 星の王子さまと私』。
日本語吹き替え版の主題歌を担当した私にとっても、世界にひとつだけの、大切な映画になりました。
そこで、今日のコードは・・・「星の王子さまと私」です。


■今週のChordは“星の王子さまと私”

m1 Stars
Simply Red

1943年に出版されて以来、270以上の言語や方言に訳されて、1億4500万部以上を売り上げてきたサン=テグジュペリの名作「星の王子さま」。
やさしい言葉でつづられる普遍的な、それでいて奥深いメッセージは、時代も文化も国境も超えて、今もなお、人々の共感を呼んでいます。
そんな、世界中に愛されているこの物語を、今回、初のアニメーション映画として、鬼才・マーク・オズボーン監督が映像化しました。
たくさんの人に大切にされている作品の映画化、そこに携わるというのは、光栄であると同時に、プレッシャーを感じることでもあります。
そこで今日は、私が日本語吹き替え版を作るまでの道のりを改めて振り返ってみたいと思います。
まさに、『リトルプリンス 星の王子さまと私、と私』、とでも言いましょうか・・・。
「星の王子さま」を初めて読んだのは13歳の頃。その頃、誰もが読んでいた気がします。その後も何かと縁はあり、第2外国語としてフランス語を学んだ頃は原書に触れて・・・。
そうして折に触れて読んできた「星の王子さま」を改めて読んでみて、特に心の琴線に触れたのが、王子さまとバラとの関係・・・サン=テグジュペリと妻のコンスエロの関係を描いている、ともいわれます。
バラのために心を砕き、時間を割いたからこそ、その一輪は特別な存在になる。王子さまの言葉に、ぐっときてしまいましたね。
「どこかの星に咲く一輪の花を愛したら、夜、空を眺めるだけで幸せな気持ちになる。すべての星に花が咲くんだ」
そして、サン=テグジュベリのそのほかの作品も、この機会に読んでみました。
12歳の頃に初めて飛行機に乗って空への憧れを抱いた彼は、22歳で民間飛行免許を取得して、航空会社にパイロットとして採用され、さまざまな空を飛行し、執筆活動を続けます。
サハラ砂漠のキャップ・ジュビーの飛行場長を経て『南方郵便機』を。
南米のブエノスアイレスに赴任したのちに『夜間飛行』を。
南北アメリカ横断飛行を試みるも事故にあってニューヨークで療養、その間に『人間の大地』を、書き上げました。


m2 Holidays
Michel Polnareff

明日からロードショー公開される映画、『リトル・プリンス 星の王子さまと私』。この日本語吹き替え版主題歌を、私が今回、書き下ろしました。
そのために、原作をあらためて読み直したり、サン=テグジュペリのほかの作品にも触れたり・・・さらに、彼の心の原点ともいえる場所へ、出かける機会にも恵まれました。
1900年6月29日、フランスのリヨン市、現在のアルフォンス=フォシエ通りで生まれた彼は、3歳で父親を亡くします。そのため、年の半分くらいを、他の4人のきょうだいとともに、母方の大叔母がもっていた城館で暮らしました。その館があるのが、サン=モーリス=ド=レマンスです。サン=テグジュペリは、このお城の庭で幸福な子供時代を過ごしたといわれています。
彼は赴任先の南米から、30歳のときに母に向かってこんな手紙を書いていたとか。
「もっとも“よい”もの、もっとも安心なもの、僕が知った最上の友だち、それはサン=モーリスの2階の寝室にある小さなストーブです」。
彼は、そのストーブがあることで安心し、あらゆるものから守ってもらっている、と感じたと綴っています。
さらに、私たちはサン=テグジュベリが13歳で生まれて初めて飛行機に乗った、アンベリュー飛行場へも足を伸ばしました。
彼は、飛行士にお願いをして飛行場の上空を2周した、という話が残されています。
そこでなんと!私もセスナに乗って村を見下ろすことができました。
そんな風に、主題歌をつくるための準備は着々と進んで、映画『リトルプリンス 星の王子さまと私』を観たあと、マーク・オズボーン監督とお話する機会もありました。
彼は『カンフー・パンダ』で注目を集めた監督ですが、映画化の話をプロデューサーから持ちかけられたとき、すぐにOKの返事ができなかったといいます。
彼がめざしたのは、「原作をふくらませるのではなく、包み込む」ということ。ストップモーション・アニメーションの手法を使って、サン=テグジュペリの描いた世界を忠実に再現します。それがまず、素晴らしい!
さらに、サン=テグジュペリの権利継承者である、オリビエ・ダゲ氏にもお会いしました。彼は、サン=テグジュペリの妹、ガブリエルの子孫に当たる人です。
さまざまな体験と心の旅を経て出来上がった、日本語吹き替え版主題歌が、「気づかず過ぎた初恋」です。
映画の見どころは、本当にたくさんあります。それはまるで、原作の「星の王子さま」そのもの。
ぜひ、ご覧くださいね!


m3 気づかず過ぎた初恋
松任谷 由実

サン=テグジュペリの名作『星の王子さま』のその後を描いた映画、『リトルプリンス 星の王子さまと私』の日本語吹き替え版主題歌です。
いよいよ明日、21日土曜日に公開となります。
日本語吹き替え版のキャストも、豪華です。
主人公の女の子は鈴木梨央ちゃん、王子さまは池田優斗くんという名子役2人が揃い、ベテランの俳優がまわりを固めます。
女の子の幸せを願うお母さんの役を、瀬戸朝香さん。
星の王子さまとかつて出会ったことのある老飛行士に津川雅彦さん。
そのほか、伊勢谷友介さん、竹野内豊さん、滝川クリステルさん、ビビる大木さんなど。
みなさん、「星の王子さま愛」たっぷりに演じていらっしゃいます。
『リトルプリンス 星の王子さまと私』。
大人のあなたにこそ、観てもらいたい映画です!
“問題は大人になることじゃない、忘れることだ”・・・そんな名言もたっぷり。
きっと、映画館を出る頃に、世界が変わって見えるはずです。




過去のO.Aはコチラ!
♪menu♪
番組TOPページ
番組へお便りはコチラ!
Message to Yuming
Yumin最新情報!
Information
TOKYOFM TOPページ

▲ページ上部へ
(c) TOKYO FM