Yuming Chord
松任谷由実
2016.04.01.O.A
♪Onair Digest♪
ここはまさに、都会の真ん中に忽然と現れたオアシスみたいですね。わたしは今、日比谷公園に沿った通りを歩いています。
この時期恒例の桜を目指してやってきたんですけど、日比谷界隈の桜は個体差があって、突然、満開の木もあるんですよ。
この時期特有の「三寒四温」で、寒い日が続いていましたが、今日は暖かいです。
毎年恒例となったお花見中継ですが、今日はオフィス街のど真ん中に来てみました。
平日の午後、仕事をさぼって歩く会社員のような気分で、こっそり桜狩りという感じですね。
そこで、今日のコードは「桜の庭」です。


■今週のChordは“桜の庭”

m1 ランチタイムが終わる頃
松任谷 由実

わたしは今、国内初の洋式公園として建てられた、日比谷公園を歩いています。
日比谷公園は明治36年、1903年に仮開園した、110年以上の歴史をもつ西洋式の庭園。意図して洋食や洋楽、そして西洋の花が集められて、観光名所になったそうです。
花壇の植栽にも力が入っていて、まさに、「花の庭」という感じです!
パンジー、チューリップがとても綺麗ですね。
江戸時代には名だたる大きな藩の上屋敷が立ち並んでいたこの場所。もちろん皇居のすぐそばでもあるし、良い気がたちこめているような気がします。その後、明治時代の陸軍連兵場を経て、現在のような公園になりました。
洋風喫茶店やレストラン、結婚式場、そして当時、東京唯一のコンサート会場だった日比谷公会堂。
わたしも、結婚1年前のクリスマスのコンサートをやって、いろんなエピソードがあるので、とても思い出深いホールです。
そして通称“野音”、野外音楽堂なども立ち並んでにぎわっていました。
ここは、昭和の激動の時代には政治的集会が行われたり、歴史的な事件の舞台にもなってきました。
今はおだやかな春の光に包まれている日比谷公園です。
日比谷公園はたまに来るんですけど、音の響き方が独特だと思います。都会にあるからこその音かな?
普通、公園というと、もっと音が吸い込まれて、人のざわめきも遠くに聴こえたり、ひとつの声だけが届いたり、ひとつの鳥のさえずりだけが届いたりするんですけど・・・。
ここは都会のど真ん中なので、渦巻くというか、いろんな音がミックスされて独特な響きをしています。
水飲み場も、よく見ると凝ってますね。こういう機会に、じっくりディテールを見ると、作ってる人の気持ちが偲ばれますね。石組みとかもアールデコです。
桜が一本だけ咲いている大きな木があります、種類と日差しで、差ができるんですね。
この桜はハラハラと散っています、この木は何を思っているんでしょう。
“雲形池”は、都市公園としては日本で3番目に古いとされる池なんだそうですが、ここには「鶴の噴水」があります。
鶴の噴水と藤棚の下の間に、すごい枝ぶりの松があります。
こういう日本的な植物があると、よりエキゾチックな、“外国人が見た日本”という気がしますね。


m2 Early Springtime
松任谷 由実

わたしがいま居るのは、まさに“緑あふれる森のレストラン”、日比谷松本楼です。
今日は暖かいので、1階“グリル&ガーデンテラス”のテラス席に案内していただきました。
わたしは、メニューの中から「モガの珈琲ゼリー」を選びました。
日比谷松本楼は1903年の開店。110年以上の歴史を誇ります。
開店当時、流行していたマンサード屋根、これは腰折れ屋根とも言うそうです。3階建てで、まさに“西洋”を感じます。
そして、当時はハイカラ好きのモボ(モダンボーイ)やモガ(モダンガール)の間で、「松本楼でカレーを食べてコーヒーを飲む」ということが大流行したんだそうです。
明治時代には若き詩人や美術家たちが集まった松本楼。
夏目漱石や『智恵子抄』の高村光太郎をはじめとする多くの文人の憩いの場所として、彼らの作品にも反映されているそうです。
また、激動の近代史の舞台として、政治的集会にも使われたといいます。
大正2年には、ここのバルコニーから憲政擁護の演説が行われたり、昭和11年には2.26事件の鎮圧舞台が日比谷公園を拠点にしたり。
戦時中は海軍に接収されて、戦後はGHQの高級将校の宿舎にもなったそうです。
そんな時代は、見た目には微塵も見えないんですけど、オーラというか、バイブレーションの中に一番激動だった時代の面影が漂っているというか、人のエネルギーは不思議だなと思いますね。
そして、なんといっても松本楼名物といえば“10円カレー”。
昭和46年(1971年)、沖縄返還闘争の折、デモ隊に放火されて全焼してしまった松本楼。
これは記憶に新しい感じがします、受験を控えてたときだったので、松本楼が火事になったのは鮮烈でしたね。
国内外から励ましや寄付が集まって、2年後に新装再オープンすることができたそうです。
それ以降、感謝の気持ちをこめて始まったのが“10円カレーチャリティーセール”。
毎年9月、先着1500名にカレーが10円でふるまわれるそうですが、代金は任意なので、それ以上のお金を募金箱に入れる方ももちろんいらっしゃるとか。
そのお金はユニセフほかに寄付されているそうです。
そして、1階ロビーの右手には燭台付きのアップライトピアノが展示してありますが、これは、松本楼に縁の深い革命家・孫文の夫人でかの有名な「宗家の三姉妹」のひとり、宋慶齢(そう・けいれい/ソン・チンリィン)さんが弾いていたピアノだそうです。
ここ、日比谷公園には60本ほどの桜が植えられています。
ソメイヨシノ、シダレザクラ、サトザクラなど、少ないながらもそれぞれの個性を発揮しながら、道ゆく人の目を楽しませてくれてるんですね。


m3 経る時
松任谷 由実

桜の庭といいつつ、日比谷公園は花壇の花も綺麗にお手入れされています。
春の花は、黄色や橙といった、光を集める明るい色が目立つからか、気持ちが“ぱっ!”と明るくなりますね。本当に、力をもらえますよね。
そして、見上げれば青空、桜色・・・。2度と同じ色彩はない世界を、しっかり目にやきつけておきたいですね。
桜の風景をゆっくりと楽しんで英気を養ったら、“明日からまた、歩き出そう!”という気分になります。
私も、秋のリリースに向けて、ただいま創作活動中!
全部でいうと・・・・・・5分咲きくらいには、いっているかな?
周りは意外に早い出来で、安心しているようですよ(笑)。
桜も、毎年必ず、約束を守って咲いてくれますよね。
私も、みなさんにアルバムを届けてツアーに出る、という約束、きっちり果たしたいと思います!













日比谷松本楼さんに、特別に作っていただいたレアチーズケーキ



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