Yuming Chord
松任谷由実
2016.05.20.O.A
♪Onair Digest♪
私もここのところずっと、アルバム制作にかかりきり。
午後から部屋にこもって、そのまま長時間仕事づけ・・・なんてことになったりもします。
そんなとき、ちょっとした気分転換になるのがこれ!
みなさんも、お仕事中や家事の合間に、いかがでしょうか?
今日のコードは「キャラメル」です。


■今週のChordは“キャラメル”

m1 Caramel
Suzanne Vega

実は、私とにかく、キャラメルが大好物!
その嗜好のもとにあるのが、実は子どもの頃、父が作ってくれたカルメ焼きの味なんです。
父は食にうるさい人で、自分でも料理をする人だったんですが、その父が作ってくれるカルメ焼きが大好きだったんですよね。
親子丼を作るようなアルミの小さなフライパンにザラメのお砂糖を入れて、そこに重曹を入れると・・・みるみるふくらんでくるんですね。お祭りでも、つい、カルメ焼きに吸い寄せられていました。
ちなみに、「キャラメル」と「カラメル」は違います。
「カラメル」は簡単にいえば水とお砂糖を熱して生じた液体で、甘く香ばしくてほろ苦い。風味づけに使われることが多くて、たとえばコーラなんかにも使われています。映画『アメリ』で有名になったクリーム・ブリュレの、カリカリとした表面部分ですね。
「キャラメル」のほうは、水あめ、お砂糖、油脂、練乳、バターなどに水を加えて煮詰めたお菓子、と定義されています。
「キャラメル」はフランス語読みで「カラメル」。
これはポルトガル語の「caramelo(カラメロ)」=“甘いもの”に由来しています。
ちなみに語源はラテン語の「calamus(カラムス)」で、これはサトウキビ、植物の葦のこと。
キャラメルの発祥は諸説ありますが、サトウキビから抽出したシロップや氷砂糖をを使って作ったものといわれています。ここでつながるわけですね。
日本に入ってきたのは室町時代、ポルトガルから伝わりました。
と、いうわけで、正確にいうと「カラメル」のあの甘くてほろ苦い味が特に好きな私ですが、いわゆる“キャラメル”も子どもの頃は好きでした。
日本のキャラメルの王道といえば、黄色い箱にエンゼルマークの森永ミルクキャラメル。
1899年、明治元年に日本初のキャラメルを製造・販売。
1904年に一般販売された当時、1粒0.7銭。天丼の並が1杯10銭でした。
1914年・大正3年には、“ポケット用 紙サック入りキャラメル”が販売されて、爆発的な人気になりますが、当時は20粒入り10銭というお値段でした。
その後、キャラメルの香りつき新聞広告を出したり、「エンゼルが男の子か女の子か?」をクイズにした懸賞で438万通もの応募があったり・・・。
1971年には「小さな恋のメロディ」のマーク・レスターがテレビCMに出演して、女の子たちの圧倒的な支持を集めたこともあったとか。
2013年、生誕100周年を迎えて、12粒入り税抜き114円が希望小売価格です。
私にとってさらに思い出深いキャラメルは不二家の「フランス・キャラメル」。
フランス三色旗の真ん中に、金髪の少女の顔がプリントされたパッケージが目印でした。
昭和9年から昭和50年代半ばくらいまで発売されていて、バニラ・コーヒー・チョコレートの3つの味が楽しめる人気の商品でした。
ちなみに金髪の少女は新聞広告で公募した“ピコちゃん“という名前がついています。
不二家といえばペコ・ポコちゃんというアイドルがすでにいたので、その流れだったのかもしれません。また、この少女のモデルはアメリカの名子役、シャーリー・テンプルちゃんだったといわれています。
もうひとつ、人気があったキャラメルといえば「グリコのキャラメル」。
“ひとつぶ300メートル”のキャッチコピーでおなじみですが、これは1粒に300メートル走るのに必要なカロリーが含まれている、という意味。
1922年、大正11年に大阪三越で販売をスタート。
おまけつきのキャラメルとして絶大な人気を誇りました。
箱を飾るランニングシャツとランパンスタイルのグリコポーズのお兄さんは、「ゴールインマーク」と呼ばれていて、マイナーチェンジを繰り返してきたらしいです。
なお、最近のキャラメル関連トピックスとしては、サイコロの立方体の形の箱の中に2粒ずつキャラメルが入っていた、「明治サイコロキャラメル」が今年の春で販売を終了したことが話題になっていました。
昭和2年に発売された当時は、遊び心のあるパッケージが人気を集めました。販売終了の最大の理由は「少子化などによってキャラメル市場が減少している」から。
とはいえ、6月からは北海道限定のお土産品に衣替えして販売を再開するそうです。
日本にやってきた当時の「キャラメル」は、バターや牛乳がたくさん使われていたため、日本人の口には合わなかったといわれていました。湿度の高い日本では、品質を保つのも難しかったんですよね。
でもいまや、先人たちの努力によって、国民的お菓子になりました。
大人になった今でも口にすれば、その限りない甘さとやさしさに、ホッとしてしまいますよね。


m2 月にてらされて
ティン・パン・アレイ

日本にポルトガルから渡ってきた当初は「バタ臭い」などと言われて受け入れられなかったという「キャラメル」。
でも、キャラメルはこれまでにも何度かブームがありました。
北海道特産といってもいい、生クリームをたっぷり使った「生キャラメル」や、フランスのキャラメル職人が元祖の「塩キャラメル」など・・・。
世界唯一のキャラメリエ、アンリ・ルルーが1977年に発表した塩キャラメルは、地元ブルターニュで摂れる海の塩が含まれているバターを贅沢に使って、世界中の美食家の話題になりました。
日本にも新宿伊勢丹、玉川高島屋、東京ミッドタウンに店舗がありますよね。
フランス各都市の街角のお菓子屋さんには、かわいい缶のパッケージに、キャラメルやチョコレートなどを詰めてお土産にしたりできるところも。まさに、外国製のキャラメルは見た目がかわいかったんですよね。
缶入りのキャラメルで思い出すのが、英国マッキントッシュの「クオリティストリート」。今はネスレグループの傘下にありますが、缶は紫色をベースにしてキャンディーやトフィーのイラスト、日傘をさす貴婦人のイラストなんかが描かれていました。
そして、「キャラメル」というコードで思い浮かんだ風景があるんです。ロシアのロケットを打ち上げる現場を見に行ったときのこと。
カザフスタンの岩、砂漠というより土漠の中にたたずんだとき・・・お砂糖がこげた、まさにカラメルの香りに包まれたんです。
草が焦げるは、私にとってカラメルフレーバー。
かつて私は、ユーラシア大陸をかけめぐる遊牧民だったのかも・・・、そんなふうに思えてしまうくらい、なつかしくて、胸がしめつけられる匂いがしました。


m3 やさしさに包まれたなら(シングル・バージョン)
荒井 由実

キャラメル味がここ数年脚光を浴びている理由のひとつに、ストレスフルな世の中に、なつかしくてやさしい味わいに癒しを求める人が増えたから・・・そんな記事がありました。
アイスやポップコーン、ケーキなど、どんなスイーツにもキャラメル味が登場。迷わず“コレ!”と選んでしまいます。
キャラメルの甘さに支えられながらハードな創作活動の日々をのりきります!




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