Yuming Chord
松任谷由実
2017.03.17.O.A
♪Onair Digest♪
3月も半ばを過ぎて、ようやく春らしくなってきました。
フランス語で春は「printemps(プラントン」。
語源はラテン語で“第一の”の男性形を意味する「primus(プリムス)」と、時をあらわす「tempus(テンプス)」をあわせたもの。
つまり春は、新しい一歩、始まりの季節、ということ。
そこで!今日のコードはフランス語でせめたいと思います。
「C'est le printemps(セ・ラ・プラントン)〜春が来た!」。


■今週のChordは“C'est le printemps(セ・ラ・プラントン)〜春が来た!”

m1 Paris
The Chainsmokers

なぜ、コードをフランス語にしたのか、といいますと!
実は先月、発売されたばかりの本のタイトルが『ユーミンとフランスの秘密の関係』にちなみました。
プランタン・・・春という始まりの季節がやってくる今こそ、フランスの奥深い魅力をお伝えしたい!と思って、こんなコードにしてみました。
この本、もともとは2015年5月から昨年の4月まで「フィガロ ジャポン」で連載していた、“Enchante Yuming!”を、大幅に加筆・再編集したもの。
そもそも、この連載のタイトルがなぜ、“Enchante(アンシャンテ)”=はじめまして、になったのか、というと・・・。
連載が始まったこの時期、ちょうど自分自身の創作世界の源流、ルーツみたいなものをたどることが多かったんですね。
で、そこにはまぎれもなくヨーロッパ・・・、特にパリを中心としたフランスの文学やカルチャー、パリジェンヌたちからの影響があったんだ!と気づいたんですね。
で、あらためて、とってもなじみの深い世界なんだけれど、「はじめまして!」という気分でフランスを訪ねたり、ゲストをお迎えしてフランスのカルチャーを語り合ったりしてみました。
で、その模様を連載していたんですが、今回、一冊の本にしたわけです。
本の最初の部分にも書いてあって、この番組でも折に触れてお話してますけど、私とフランスの秘密の関係、その遍歴をあらためてたどってみると・・・
はじまりは少女時代。実家の荒井呉服店の洋裁部に米軍の将校夫人たちが雑誌を見せつつ「パリの最新モード服を作って!」と依頼しに来ていたんです。そこで触れた、フランスのモード。私も真似してみました。
中学時代にはフレンチ・ポップスが入ってきてはまっていきます。音楽的にも、ファッションも!
高校生になって美大受験のために通った予備校が御茶ノ水。アテネ・フランセがあったあの界隈は日本のカルチェ・ラタンでした。
カルチェ・ラタンといえば、本国フランスでは「パリの知性」ともよばれていて、ソルボンヌ大学があるアカデミックなスポットですが、御茶ノ水もそんな雰囲気。
フランスかぶれのお兄さん・お姉さんたちが居て、彼らにフランス文学、プレヴェールやサガンなんかを教わったんですね。
そして仕上げはレストラン「キャンティ」で。
出入りしだしたのは14歳頃からですが、ここには最先端の大人たちが集まっていて、ヨーロッパのカルチャーの最新かつ最上質のものを子どもだった私に「これ、どう?」っていろいろ教えてくれました。
そうやって憧れ続けて追い求めてきた世界が血となり肉となって、数々の作品になっていったわけですが、中でも、創作するときの心構え、態度、アティテュードに最も影響を与えたのが「印象派」です。
たとえばクロード・モネの絵画。
そのあたりについては、絶賛発売中の本『ユーミンとフランスの秘密の関係』に掲載されていますが、作家の原田マハさんとの対談は、いろいろな気づきがあっておもしろかったです。
モネの「睡蓮」が完成するまでの話は、原田マハさんの著書、『シヴェルニーの食卓』に描かれています。
この本、私は大号泣しました、おすすめです!
この本ではほんの少ししか触れられなかったんですけど、印象派の音楽家といえばショパン、ですね。
多くの芸術家、文化人たちをひきつけてきたフランス、パリ。
その魅力を改めて考えてみると、この街には「想像力」を刺激する魔法がある・・・、それに尽きるんじゃないだろうか、と思っています。
目の前にあることがらそのままだけでも刺激的なんだけど、光があれば影も見えるし、美しさの裏に毒もある。
だから色々な想像がふくらむし、魂を遊ばせることができるのがパリの魅力。
あなたもぜひ、パリ脳内散歩にトライしてみてくださいね。


m2 ジムノペティ第1番
ミシェル・ルグラン

先月発売になった私の本『ユーミンとフランスの秘密の関係』をもとに、私が夢中になってきたフランス、その魅力についてお話しています。
さきほど、原田マハさんとの対談についてちょっと触れましたけど、ほかにもこの本の中ではさまざまなジャンルの方と対談しているんですよ。
みなさんご自身の世界をもっていて、その中で自由に、楽しみながらお仕事している、という感じ。
まさにパリジャン・パリジェンヌと通じるところがあると思うんですが、印象に残っているのは・・・
フランス文学者の野崎歓さんと語り合ったフランス語についてのお話。
「フランスは言葉の国で、ひとつひとつが磨き上げられて作られているから、直接脳に届く」とか「フランス語は簡潔にエモーショナルなことを表現できる」。
現代アーティストでMITのメディアラボ助教授のスプニツ子!さんからは、「蚕が生きた3Dプリンター」話を聞いたり。
恋愛ホルモンと呼ばれる「オキシトシン」を生成する遺伝子を組みこんだ絹糸が作れたら、それで勝負服がつくれるかもしれない・・・?なんて話も!あのとき聞いた恋するシルク、出来上がったでしょうか。
最終章では、フランスに「はじめまして!」という気分で改めて触れた結果、思い至ったのは「フランス文化をルーツにもちつつ、日本語という言葉で世界を描くことの幸せ」。
たとえばそれは、詩人で歌人、そしてフランス文学者だった堀口大學の翻訳方法とも通じていて。
主題を強調するより、行間を生かして音読したときに、そこから発せられるたくさんの情報が全体の印象をかたちづくっている・・・そこに影響を受けている、と気づいたんですよね。
様々な状況を組み合わせて積み上げてひとつの世界観をつくる、それが私の方法。
僭越ながら、これからも創作活動に励まねば!と、思いましたね。
そんなことも語りおろしている『ユーミンとフランスの秘密の関係』。
CCCメディアハウスから発売中なので、ぜひ、読んでみてくださいね!
フランス各地で撮影してきた写真も満載です。


m3 MODELE
松任谷 由実

改めてフランスの魅力についてお話していたら、また、出かけたくなりました。
春のフランス、モネが作り上げたジヴェルニーの庭は、これから色とりどりの花が咲き始める頃ですよね。
冬のソルド(セール)も今頃は最終売り尽くしだったりするし、そろそろ前回パリへ行ったときに買ったトリュフバターも底をついてきたし・・・・・・なんて言ってる場合じゃないですね!私はただいま、旅の途中でした!
松任谷由実コンサートツアー「宇宙図書館」、来週からは神奈川県民ホールでのステージがスタートします。
そのあとは四国巡り!3月29日から4月にかけて、徳島、愛媛、香川、高知のみなさんに会いにいきますよ〜。
どうぞお楽しみに。
そのほか、今後のライブスケジュールは私の公式ホームページをはじめ、公式ツイッターFacebookをチェックしてくださいね!




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