Yuming Chord
松任谷由実
2017.03.24.O.A
♪Onair Digest♪
六本木の国立新美術館、故・黒川紀章さんが設計したこの美術館、正面はガラス張り。
光にあふれていて天井が高くて、空中レストランがあって・・・・・・近未来的な建物。
しかし、壁には木材が張り付いているところもあったり、どこかほっとする空間でもあります。
そんな国立新美術館は今年で開館10周年。
それを記念して開催されているのが、前衛芸術家、草間彌生さんの企画展「わが永遠の魂」。
最初に出迎えてくれるのが富士山と太陽を描いた大作「生命は限りもなく、宇宙に燃え上がって行く時」。
これが2014年の作品・・・ユーミンと草間さんが対談したのが2012年の秋でした。
ということで、今日のコードは「Yuming meets 草間彌生〜わが永遠の魂」。


■今週のChordは“Yuming meets 草間彌生〜わが永遠の魂”

m1 Smile for me
松任谷 由実

草間彌生「わが永遠の魂」。
最初の展示室では、最新作「わが永遠の魂」シリーズがずらりと並んで迎えてくれます。
今日は国立新美術館・副館長の南雄介さんとともに、草間ワールドを味わっていこうと思っています。
第一部・「21世紀の草間彌生」。
「わが永遠の魂」を、広さ800平米の部屋の壁一面に展示。
2009年から取り組んで、今もなお新作が描き続けられている大型の絵画シリーズ。現在およそ520点ほどが完成していて、今回は132点を展示。全作品が日本初公開となっています。
実は、部屋の真ん中にも大型のオブジェがあり、この部屋は携帯電話で写真を撮影することができます。
「わが永遠の魂」は21世紀に入ってからの作品ですが、次の展示からは草間彌生さんの20世紀にさかのぼります。
草間さんの20世紀・・・・・・これまでは本当に怒涛のような創作人生でした。
第二部・「20世紀の草間彌生」。
草間芸術を理解するために、まずは松本時代の作品から。
草間さんは京都市立美術工芸学校で日本画を学んでいましたが、ユーミンも多摩美術大学で日本画を専攻していました。故郷・松本時代の作品に見え隠れするものとは・・・・・・。


m2 Painting the sea
松任谷 由実

国立新美術館の南副館長とともに、草間アートの世界にどっぷりとつかっています。
ここの展示は草間さんのニューヨーク時代の作品がまとまっているんですが、日本での芸術活動に限界を感じて、1957年・29歳で単身渡米した草間さん。
翌年からニューヨークに居を移し、貧困と病気と闘いながら筆をとり、巨大なカンヴァスを小さな網目状のストロークで埋め尽くした、モノクロームのネット・ペインティングを創作。注目を集める。
ここでの展示内容は「ネットペインティング、集積」「ソフトスカルプチュア、ボートショー」「映像(ハプニング、パフォーマンス)」。
座って映像を鑑賞しつつ、お話をうかがってもOKなんです。
さらに進んでいくと・・・ありました!草間彌生といえばこれ、カボチャですね。
カボチャのレリーフ出現、こちらのかぼちゃは2007年の作品で高さ4、5メートルあります。撮影OKスポットですし、中に入ってみたりすることもできます。
ここからは70年代以降の東京時代の作品が並んでいます。草間さんは体調を崩されて1973年に東京へ拠点を移しました。
NYで話題をさらった前衛芸術家とはいえ、そんな事もあってここからしばらくの間は、作風がまた変化を遂げています。
コラージュ、彫刻、絵画、黄樹リビングルーム・・・・・・。
帰国後の草間さんは、以降、東京で入院生活を送りながら活動を再開します。
絵画や彫刻、インスタレーションにおいては、水玉、ネット、男根状の突起など、具象的なイメージと組み合わせた色彩豊かな作品が生み出されていきます。
コラージュ、版画、小説、詩といった文学作品など、新しい分野にも挑戦した東京時代。
性、死、無限の宇宙などの普遍的なテーマにもとづいたこれらの作品は、率直な表現によって新たな観客を獲得します。
コラボレーションやタイアップも数多く行われ、草間さんの作品世界がますます広がって、21世紀の大ブームにつながっていきます。
そして最後のしめくくりは「オブリタレーションルーム」へ。
すべてが白で埋め尽くされた部屋に、カラフルなシールを貼る、参加型インスタレーションです。
そして・・・再び振り出しに戻る、という感じで最新シリーズ「わが永遠の魂」の部屋に通じているんですね。
草間さんの人生を作品を通じてたどってきて・・・なんだか、壮大な宇宙旅行から帰還した気分です!
草間さんはここ数年のインタビューでこんなことをお話されているんですよね。
「これからも、宇宙の神秘への限りない尊敬と、人間賛歌、愛と平和への願望をもって、芸術への精神的高揚を死の彼方よりも高く深く見つめたいと思っているのです」
−2012年『Dossier』インタビューより

「自分は宇宙には行けないが、こういうふうに創造している。
自分の魂も、このように美しく見えることを願っている」。
−2011年『IDOL MAGAZINE』インタビュー
「作品を観た人たちが宇宙の果てに行った感覚を味わってほしいと思っています。
そして私自身も芸術制作を通して、無限の彼方にある宇宙の果てを見てみたい」。
−2013年刊『水玉の履歴書』本文インタビューより「インフィニティミラールーム 水上の蛍」について

今回の展覧会開催にあたってのメッセージには、“芸術の創造は孤高の営みだ”というフレーズがあって、最後はこう、結ばれています。
「さあ、闘いは無限だ もっと独創的な作品をたくさんつくりたい
その事を考える眠れない夜 創作の思いは未知の神秘への憧れだった
私は前衛芸術家として宇宙の果てまでも闘いたい 倒れてしまうまで」

まだ見ぬ地球上のあらゆる人々に作品を見てもらいたい、と願う草間さん。
草間さんにまた、お会いできることがあったら「宇宙」についてお話したいですね。


m3 Woman 松任谷 由実
私が草間さんとはじめてお会いしたのは2012年のこと。アトリエにお邪魔してお話をうかがったんですよね。
その日も「わが永遠の魂」を描いていらして、「こんな風に描くの」と、確か水玉を描き足していらっしゃったような・・・。
歌を歌ってくださって、私も「やさしさに包まれたなら」をア・カペラで歌い、喜んでいただきました。
最後は、バンザイだったか「ヤヨイちゃん、かわいい!」だったかでお別れ。
・・・あれから5年、草間さんはあのときと同じように、毎日絵筆をとって、新作を生み出していらしたんですね。
今回の展覧会の音声ガイドは、なんと、草間さんご自身も出演されています。詩の朗読をされたり、歌ったり・・・こちらも聴きモノです!
さらに、草間グッズの特設ショップも充実の品揃え、売り切れ続出らしいのでお早めにどうぞ。
草間さんの作品にこうしてパワーをもらった私も、「宇宙図書館」ツアー、最後まで走り続けます!







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