Yuming Chord
松任谷由実
2017.05.26.O.A
♪Onair Digest♪
連休が終わった直後はリフレッシュ完了!
やる気に満ちあふれていたのに、あれからはや3週間がたちました。
西から梅雨入りの便りも聞こえてくるちょうどこのあたりから、じめじめ、もやもや、見ないふりをしていた悩みもちらほら顔を出す・・・・・・。そんなときは、あえてこんな生活を!
今日のコードは「Solitude」です。


■今週のChordは“Solitude”

m1 On My Own
Michael McDonald & Patti Labelle

「Solitude」とは、日本語で言えばズバリ、「孤独」。
英和辞典で調べてみると、「独居(ひとり暮らし)」、「寂しさ」という意味に加えて、“必ずしも「寂しくて心細い」ことを意味しない”という注釈がついています。
ところが、国語辞典を試しにひいてみると・・・・・・
「身寄りや心の通う人もなく、独りぼっちであること、また、そのさま」と書いてあります。
それぞれの用例を見ても、そのニュアンスの違いが一目瞭然!
英語では「I enjyoyed my solitude on the island」。
孤独をエンジョイしていますが・・・・・・国語辞典の用例は「天涯孤独」。ちょっとブルーになりますよね。
そんなふうに、日本ではこれまでずっと「孤独」はネガティブなイメージ。ところが、1999年にジャーナリストの岩下久美子さんが「おひとりさま向上委員会」をたちあげて、『おひとりさま』という本を出したあたりから、様子は変わってきます。「孤独」な活動を自分の意思で選んで楽しむ人、「おひとりさま」という言葉が使われるようになります。

女性のひとり活動が市民権を得るようになるその前から、「孤独」を楽しんでいる人たちっていうのはもちろん、居たはずで・・・私もそのひとり、だったんじゃないかと思います。
日本はそもそも、農耕生活を基本にした集団だったので、1人では生きられないとされてきた社会。

でも、「孤独」はとっても貴重な時間ですよね。そこからしか生まれないもの、得られない喜びが確実にあります。
アーティストの創作活動はまさに「孤独」な作業。
「孤独」を楽しめる人には、帰る人や場所がある・・・ほんとうの意味でのひとりぼっち、ではないような気がします。
たとえ現実社会になくても、自分の心の中にあれば、それで大丈夫。私にもいろいろなところに、帰ったら迎えてくれる人や場所があります。

21世紀に突入してしばらくすると、今度は学生の間で「ぼっち」という言葉が使われはじめます。
これはちょっと自虐的な意味合いがありましたが、その後、リアルな暮らしを充実させてその様子をSNSにアップする人たちを「リア充」と呼び、そこから「ソロ充」「ぼっち充」という言葉が生まれました。
いまや、「人と居るよりひとりで居る時間を増やしたい」という若い世代が、年々増えているともいいます。
ネットでつながっているから、“ひとりじゃない!”という考えなんでしょうけれど、それで大丈夫かな?と心配したりするのは、老婆心というものでしょうか・・・。

それにしても、少子高齢化、晩婚化、未婚率の上昇がとまらない昨今!
国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、2035年には、15歳以上の人口に占める独身者・・・、これは未婚率だけでなく、配偶者との離別や死別率も含みますが、なんと、男女合わせてほぼ48%を占めるようになるそうです。
およそ20年後の日本は、人口の半分が独身。
さらに、その頃には単身世帯、つまり「おひとりさま」で暮らす人が、世帯全体の4割弱を占めるようになる、といわれています。そんな日本で暮らす以上、孤独とうまくつきあう術を身に着けるのは、もはや必須ですね!


m2 I'm the One
DJ Khaled

20年後の日本は、人口の半分が独身で、単身世帯は4割弱。
そんな数字を受けてか、最近ではとにかく「おひとりさまマーケット」が充実しています。
関連書籍もたくさん!

博報堂ソロ活動系男子研究プロジェクト・リーダー、荒川和久さんの本は『超ソロ社会「独身大国・日本」の衝撃』。
少し前に出ていたのは蛭子能収さんの本『ひとりぼっちを笑うな』。
作家の曽野綾子さんの本は『孤独でも生きられる』。
そして私が何年か前に対談したことのある社会学者の上野千鶴子さんは、おひとりさまシリーズ最新作『おひとりさまの最期』を出版されています。平均寿命が男性より長い女性は、誰もがみんな「おひとりさま」になる可能性、大!ですよね。
でも、女性のおひとりさまは、男性に比べるとみんな元気だし、生き生きしています。
ところで、あなたはどのくらいのおひとりさまレベルでしょうか?

幅広い女性向け世代の女性誌を手がけてきた編集者、浅見悦子さんが昨年立ちあげたWebメディア『OTONA SALONE』。そこに、「女のおひとりさまレベル」に10段階の各付けをしている記事を見つけました。
レベル1、「おひとりさま未満」の人が行けるのはファーストフード、カフェなど。
2になると「初心者」になって、ファミレスや定食屋さんまでOKになります。
3は「中級者」でいわゆる文化系施設、美術館や映画館へもひとりで行ける。
4になるとラーメン、牛丼、回転すしOK、5は待ち時間などをひとりで過ごす力が必要なスポーツ観戦、ライブ、カラオケなどをクリアする。
さらに、レベル6でひとり焼肉・寿司・バーをクリアし、レベル7でひとり国内旅行を制覇。
レベル8で「鉄人レベル」の「ひとり海外旅行」になり、レベル9は「名人」で、遊園地、ゴルフ、ボウリングやキャンプなど、ほぼまわりは家族連れかカップルか、というレジャースポットをひとり で楽しめる。
そして、レベル10で高級フレンチや料亭にもひとりでのりこんでしまう・・・・・・、というもの。

孤独をかみしめたり、じっくりと味わうことのできる映画や本、音楽もありますよね。
深く共感して、「誰もがみんな孤独なんだ」と、心強く思えたり、「孤独にみえて、やっぱり人間ってひとりじゃないんだ」と、明るい光がさしてきたり。
史上初の大西洋単独横断飛行を成功させた飛行家、チャールズ・リンドバーグの妻で、自らも女性飛行家として活躍した、アン・リンドバーグ。
彼女がしるした現代女性必読の書、といわれるベストセラー『海からの贈物』には、こんな一節があります。
「或る種の力は、我々が一人でいる時だけにしか湧いて来ないものであって芸術家は創造するために、文筆家は考えを練るために、音楽家は作曲するために、そして聖者は祈るために一人にならなければならない」
さらに、女性こそ、自分というものの本質を再び見出すために、1人になる必要がある、とも書いています。
私も、1人でいる孤独な時間に、今までたくさんの曲をつくってきて、その空気感を、封じ込めたりもしてきました。


m3 時はかげろう
松任谷 由実

結局、「孤独」を楽しむためには、どこかに自分のことをわかってくれる誰かがいる、そう思えることが条件のひとつかもしれないな、と思ったりします。
私の場合も、家族はもちろん、私の曲を聴いてくれる人、口ずさんでくれる人が居るから、孤独にどっぷりはまっても、そこから抜け出してきて、こうして生きていられる・・・、そんな気がします!

“世界で一番貧しい大統領”と呼ばれたウルグアイの政治家、ホセ・ムヒカさんは、「単純に血のつながった家族ということではなく、“考え方の家族”、つまり同じように考える人をもってください、人生をひとりで歩まないで」と、訴えています。
“血のつながり”じゃない、“同じような考え”でともに生きる家族・・・、おひとりさま大国・日本の未来に希望を与える言葉ですよね。

ステージに立つのは孤独じゃないですか?と聞かれることもありますが、コンサートツアーは、わたしにはたくさんの家族が居て、支えてくれている!そう感じて喜びをかみしめる日々なんですよ。
今週末の大阪公演を終えたあとは、和歌山へ。
そして、一気に北上!来月からは北海道、岩手、青森、宮城へのツアーが始まります。みなさんにお会いできるのを楽しみにしていますね。
今後のツアースケジュールやチケット発売の詳細は、私のオフィシャルサイトオフィシャルTwiteerFacebokをチェックして下さいね。
みなさんにお会いできるのを、楽しみにしています!



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