松任谷由実|Yuming Chord|TOKYOFM|JFN

Yuming Chord
松任谷由実
2017.08.04.O.A

♪Onair Digest♪

8月に入って､大人たちもそろそろ夏休みﾓｰﾄﾞ､心おどる旅の支度を始める頃かも知れません｡
野生を呼び覚まして､人間らしさを取り戻す｡大自然にいだかれて､謙虚な気持ちになる｡
探し求めていた答えが､ふと､見つかる･･･､そんな瞬間を夢みて人は､旅に出ます｡
行き先はもちろん､こちらです｡
今日のｺｰﾄﾞは｢楽園｣｡

■今週のChordは“楽園”

New Africa
Youssou N'Dour
今が一番！100％そう言い切れる人は､なかなかいないですよね｡
程度の差はあれ､誰だって現実社会では悩みや苦しみを抱えているものですし､より豊かに､より便利に､より快適に･･･という願いが文明社会を築いてきたのは､間違いない｡
つまり､人は誰もが､それぞれの楽園を求めて生きている､ってことになるんですよね｡
私が｢楽園｣と聞いてまっさきに思い出すのは､はるか昔､交通網や手段が発達する以前､有史以前の人間たちが抱いてきた幻想とか､理想の世界に存在していた｢楽園｣です｡
たとえば､海の底に沈んでしまったといわれる｢ｱﾄﾗﾝﾃｨｽ大陸｣や｢ﾑｰ大陸｣｡
そこには理想的な王国があって高度な文明が発達していて､人々が幸せに暮らしていた､といわれています｡

ｷﾞﾘｼｬのﾍﾟﾛﾎﾟﾈｿｽ半島中央部に位置する楽園は｢ｱﾙｶﾃﾞｨｱ｣｡
南米ｺﾛﾝﾋﾞｱ､奥深くに存在したのは｢ｴﾙ･ﾄﾞﾗｰﾄﾞ｣｡
これはｽﾍﾟｲﾝ語で“金箔で覆われた男”という意味の言葉で､それが転じて“黄金のある場所”“黄金の国”という伝説の場所を表すようになりました｡
ﾋﾏﾗﾔ山脈の近く､ﾁﾍﾞｯﾄの奥地にあった目に見えない理想郷は｢ｼｬﾝﾊﾞﾗ｣｡
ﾓﾝｺﾞﾙ帝国のｸﾋﾞﾗｲ･ﾊｰﾝが夏を過ごしたといわれる場所｢ｻﾞﾅﾄﾞｩ｣や､中国なら｢桃源郷｣､日本だったら沖縄の｢ﾆﾗｲ･ｶﾅｲ｣など､世界中の楽園を意味する言葉を口にするだけで､なんだかﾛﾏﾝを感じますよね｡

｢宇宙図書館｣ﾂｱｰでも披露している｢ｱｳﾞｧﾛﾝ｣も､｢ｱｳﾞｧﾛﾝ島｣というｲｷﾞﾘｽ伝説の英雄､ｱｰｻｰ王終焉の地です｡美しい林檎を実らせる楽園､西方の海のどこかに浮かぶ島､とされていたとか｡
でも､行ってしまうと帰れないところ､でもあったそうです｡

ｲｷﾞﾘｽの小説家ｼﾞｪｰﾑｽ＝ﾋﾙﾄﾝは誰もが平等に暮らせる理想郷を｢ｼｬﾝｸﾞﾘﾗ｣と小説に記しましたし､ﾄﾏｽ･ﾓｱは現実には存在しない理想郷を｢ﾕｰﾄﾋﾟｱ｣と名づけました｡楽園の地は理想を思い描く脳の数だけある､ってことでしょうか｡

Paradise
Coldplay

Happy Ever After
Julia Foehdam
幻想が生み出した｢楽園｣へは､想像の翼を広げて出かけるとして､この世にも｢楽園｣と呼べる場所はたくさん､ありますよね｡｢楽園｣に何を望むかによって､それはきっと､人それぞれ違う場所だと思います｡
｢楽園｣の存在を実感したのは､ﾊﾟﾘ･ﾀﾞｶｰﾙ･ﾗﾘｰに参加したとき｡
私が参加した頃のｺｰｽはﾊﾟﾘをｽﾀｰﾄしてｽﾍﾟｲﾝのﾊﾞﾙｾﾛﾅを経由､ｱﾌﾘｶ大陸に渡ってｾﾈｶﾞﾙの首都･ﾀﾞｶｰﾙまで､およそ12000ｷﾛを走るｺｰｽ｡
かつては半分くらいがﾘﾀｲｱすることもあった過酷なﾚｰｽで､｢全ての完走者が勝者である｣といわれていたことも･･･｡

楽園に行くのが待ちきれない！というあなたは､日々､楽園的ｺｰﾃﾞｨﾈｰﾄを楽しむのもおすすめ｡気分もあがって､なかなかいいですよ｡
今年の夏は猛烈に暑いし､ぴったりです！
現在｢宇宙図書館｣ｺﾝｻｰﾄﾂｱｰ中の私｡旅支度のときには､なんとなくﾃｰﾏを決めて､ｺｰﾃﾞｨﾈｰﾄﾒﾓを作るんですが･･･｢ｱﾆﾏﾙ｣＠大阪､｢ｱﾌﾘｶﾝﾌｧｯｼｮﾝ｣＠博多･･････などなど｡

AVALON
松任谷由実
宗教の多くは｢楽園思想｣というのをもっています｡
そのﾍﾞｰｽにある考え方が､
｢現世でよい行いを積み重ねたり､あるいは苦しみを受けたりしたら､未来世では苦しみのない楽園となる｣

というもの｡つまり､苦しい現世をなんとか生きていくためのﾓﾁﾍﾞｰｼｮﾝとして楽園が存在する･･･､というわけなんですね｡納得です｡つまりは､自分なりにﾘｰﾁできる楽園を見つければいい､ってことですよね！音楽でも､本でも､ｶﾌｪでも何でもOK｡自分だけの楽園､探しましょう！

そして､ただいま｢宇宙図書館｣ｺﾝｻｰﾄﾂｱｰ､真っ最中です！
ｽﾃｰｼﾞに立つ瞬間も､もしかしたら私の究極の楽園かも･･････｡
いよいよ残すところあと12公演､みなさんの心にも楽園が広がるよう､心をこめて歌いたいと思います！

そして､秋が深まる頃には新たなｽﾃｰｼﾞの幕があがります！
『Yuming×帝劇 Vol.3 朝陽の中で微笑んで』が､11月27日よりｽﾀｰﾄ｡出演は寺脇康文さん､宮澤佐江さんほか､豪華ｷｬｽﾄにてお送りします｡
もちろん､私が物語のご案内役としてｽﾃｰｼﾞでﾊﾟﾌｫｰﾏﾝｽしますので､そちらもお楽しみに｡詳細は私のｵﾌｨｼｬﾙｻｲﾄや､この番組でも追々ご紹介していきます｡
また､今後のﾂｱｰｽｹｼﾞｭｰﾙやﾁｹｯﾄ発売の詳細は､私のｵﾌｨｼｬﾙTwitterやFacebokをﾁｪｯｸして下さいね｡

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