Yuming Chord
松任谷由実
2019.10.25.O.A
♪Onair Digest♪
秋も深まってきて、ちょっと、もの想いにふけってみたくなる時期です。
でも、日常はどうにもあわただしくて、そんな余裕はなかなかない。
家庭や職場で、私たちはその場で求められる役割を果たして暮らしていますよね。
そのふたつは生きていく上で大切な場所ですが、もうひとつ、私たちに必要な場所がある。
自分が何者であるのかを忘れて、ちょっとだけはみだしてみるひととき。
そこでのあなたは屈託なく笑えたり、自由にふるまうことを楽しめます。
そこで、今日のコードは「寄り道」です。


■今週のChordは“寄り道”

m1 Break Out
Swing Out Sister

暦の上では晩秋、今は「霜が降る」と書いて「霜降」の季節
秋も深まって、山里などでは、初霜がおり始める頃になりました。
みなさんの住んでいる町はいかがですか?
今年の秋は、台風が猛威をふるっているので、ゆっくり秋の風景を味わえなかったりもしますが、本来ならこの時期は、ふらりと寄り道したくなるもの。

私は、「回り道にこそ宝物が落ちているよ」ってよく言うんですよね。
目的に向かって猪突猛進!もいいけれど、そう、うまくはいかないこともある。
でも、その回り道で出会いがあったり気づきがあったりするものです。

例えば・・・スーパーに行くと、ガラッと模様替えしていること、ありません?
いつもの場所に買いたいものがない!ってことになったりして。
もう、それだけで“回り道”。時間もかかるし、大変なんだけど、新しい商品に出会えますよね。

あとは、あえて回り道を選んでいつもと違う道を歩いてみたりすると、新たな五感の回路が開いていきますよね。
「寄り道」といえば、思わぬ空き時間ができたときもそんな感じ。
「迷い道」も、思わぬ「寄り道」になりますよね。今はカーナビやスマホがあるから迷子にはならないのかな。

寄り道、回り道、迷い道。どれもが人生の彩りだし、思いがけない豊かさに通じるかもしれないですね。


m2 Stop By
Rhasaan Patterson

積極的な寄り道は、ストレスを解消してくれたり、好奇心を満たしてくれたりもします。
「Third place」っていう言葉、ご存知でしょうか?
私たち大人にとって、暮らしの基盤ともいうべき第一の場所、First placeは「家庭・自宅」。
生活のための糧を得る場所、Second placeが「職場」。
ここは、自宅以外で長い時間を過ごす場所でもあるので、学生だったら「学校」になりますよね。
そして、そのどちらでもない、またはその中間にある第三の場所がThird placeです。
英語で言うと「The Great Good Place」。
これは、アメリカの社会学者、レイ・オルデンバーグが1989年に出版した本のタイトルなんですが、日本語では「とびきり居心地の良い場所」と訳されています。
“Third place”の条件としては、肩書きや社会的地位は関係なく、誰もが「個人」で出入りできること。全員が等しくくつろげていて、会話がはずむこと。そして、気軽い歩いて行けること。

これを提唱したオルデンバーグは、自由に集まって無駄話をして笑ったり、熱い議論をかわしたりする場が、20世紀に入ってから消滅しつつあるのではないか?・・・・・・そんな危機感を抱いたといいます。
特に、アメリカは自動車に依存した都市社会。
家庭と職場を往復するだけの状態で人々がストレスを抱えるようになったため、地域の人たちが日常的に集まれる「Third place」の大切さを説いたんだそうです。
確かに、車じゃ“ちょっと一杯”ひっかけて帰るってことができないですもんね。
ちなみに、この本で例としてあがっている「Third place」といえば、パリやウィーンのカフェやロンドンのパブ、そのほか書店やヘアサロンなどなど。

私にとって、ここが「Third place」と思える場所は・・・・・・買い物の合間にふらっと立ち寄るのが、デパ地下の片隅にある、名店のイートインスペース的な場所。誰かと会話することはないですけど、ざわざわしているデパ地下の中で、ひっそり、静かに気分転換できます。
あとは、「ハングアウト」という言葉も出てくるんですけど、これは「たまり場」のこと。

“素の自分”のまま出かけてくつろげる場所で、利害関係のない人たちと会話して、笑いあえる。
そんな寄り道スポットをめざすのが「スターバックス」。
日本のホームページには、“お客様のサードプレイスとしてより豊かで潤いのある時間を提供”そんな言葉が出てきます。
スタバで知らない人同士が会話している風景はあまり見ないですけど、お酒を飲まない人の「寄り道」スポットとしては、アリですよね。
蔦屋書店をはじめ、カフェを併設した書店もそのひとつかな。最近はベーカリーを併設したおしゃれな「コインランドリー」が増えてきて、洗濯モノが出来上がるのを待ちながらゆっくりくつろぐ「Third place」になっているそうですよ。
あとは、スポーツジムとかサウナなんかも、そうかもしれないですね。

日常生活を抜け出す「寄り道」や「回り道」、そして「Third place」。
自分でも気づかなかった自分に出会えるかもしれません。


m3 ノーサイド
松任谷 由実

もしかしたらラジオっていうメディアも、「寄り道」的な存在じゃないかな・・・そんな気がしてきました。
特に、打ち合わせの時間は、かなり“素”の私。
新しく仕入れたうんちくバナシから、最近見た映画や音楽の話まで、“Yuming”を忘れてまったりする。でも、聞く人もきっと、寄り道するみたいに、耳を傾けているんじゃないでしょうか。

そして、音楽がそもそも、「Third place」的存在。
現在、39枚目となるオリジナルアルバムを制作中の私です! すでに、最新曲「深海の街」は、ただいま配信リリース中。
さらに、荒井由実時代含む、松任谷由実楽曲のすべてをハイレゾ配信、また、インスタグラムのページではこれまで作ったミュージックビデオも公開しています。
ぜひ、聴いて、見てください。

そして!『松任谷由実 LIVE Blu-ray /DVD「TIME MACHINE TOUR Traveling through 45years」』、こちらがいよいよ、来月、11月6日に発売します。
私のキャリア45年間のステージの名場面を全く新しく作り替えた、コンサートツアーのベスト版! ここでしか見ることの出来ない特典映像も満載です。
こちらはただいま、ご予約受付中となっています!

そのほか今後の予定や最新情報は、私のオフィシャルホームページTwitterInstagramにも近況をアップしているので、そちらもあわせて、チェックしてくださいね。




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