Yuming Chord
松任谷由実
2019.11.15.O.A
♪Onair Digest♪
野山も街も色づく季節は、私たちも負けずに、おしゃれしたくなりますよね。
ちなみに、特別におしゃれをするとき、あなたは何か参考にするモノ、ありますか?
例えば、お気に入りのインスタグラマーやインフルエンサー・・・・・・人気のファッションアイコンが微笑む雑誌、または、絶大な信頼を寄せる身近なお手本・・・。
私の場合は、映画がそのひとつ。
そこで、今日のコードは「おしゃれ☆Road Show」。


■今週のChordは“おしゃれ☆Road Show”

m1 ひとつの恋が終わるとき
松任谷由実

秋の夜長は、ホームシアターを楽しむのにもぴったりですよね。
実は、私は秋に限らず丸8年というもの、ある時はホームシアターで、ある時は試写会で、とにかくたくさんの映画を観る機会がありました。
ご存知の方もいらっしゃると思うんですが、集英社の女性誌『eclat(エクラ)』に連載中の私のコーナー、「おしゃれ☆Road Show」。

この連載が、ほかの映画レビューと違うところは“ファッションの視点”。
映画の楽しみ方って色々あると思うんだけど、仕事柄というのもあるのか、コスチュームデザインにも目がいくんですよね。
ちなみに、観る映画は新旧もジャンルも様々で、セレクトはおもに『eclat』のこの連載の担当の方がしてくれるんですが、ふだん、見過ごしちゃうだろうな、っていう作品にも出会えて、刺激になったり、栄養になりましたね〜。

古いものはDVD化されたものをお借りしたりするわけなんだけど、デジタルリマスタリングされたりしたもので、新たな発見をしたり、ってこともありましたね。
あとは、試写会なんかで、公開前の作品を観せていただくこともあるんですけど、あんまり気に入って、もう一回個人的にスクリーンで観た作品もありましたし、プロモーション隊長みたいに、人に勧めまくった作品もあったかな・・・。

そんな、贅沢な時間を使ってお送りしてきた月刊誌『eclat』の連載、「おしゃれ☆Road Show」から、今日は、厳選した3本を、「Yuming Chord」でもご紹介しようと思います。
まずは・・・、そんな映画の楽しみ方もあるの!?と思ってもらえるように、不朽の名作から1本、『炎のランナー』です。

英国出身のヒュー・ハドソン監督作品、1981年の公開でした。アカデミー賞では、作品・脚本・衣装デザイン・音楽賞を受賞しました。
一番有名なのは、映画のオープニングでかかるヴァンゲリスのタイトル曲かもしれません。
オリンピックでメダルを獲得することを夢見る陸上競技選手たちの物語で、実在の人物に脚色を加えつつ、人種問題や宗教問題をも描いた物語です。

で!「おしゃれ☆Road Show」ということで私が注目したのが、ミレーナ・カノネロが担当したコスチューム。
彼女は、イタリア・トリノ出身の映画衣装デザイナーで、アカデミーの衣裳デザイン賞に何度もノミネートされている実力派なんですけど、他には『時計じかけのオレンジ』や『コットン・クラブ』、『マリー・アントワネット』などなど、衣裳のビジュアルが映画の印象を左右している作品をたくさん手掛けています。
時代背景を徹底的に研究して作る世界観がホントに素晴らしいデザイナーなんです。

登場するランナーたちの出会いは英国の名門、ケンブリッジ大学。そこで、良家の男子学生たちがまとう服のホンモノ感が、素晴らしくリアル!
もう、ほれぼれするくらいにカッコイイんです。若い男子に真似してもらいたい!
チルデンセーター、スクールジャケット、ワイシャツにストライプのタイ・・・。
あとは、大学内だと、先輩たちはちょっと変則的なセーターをラフに着てみたり、マフラーも無造作に巻いているのに対して、新入生たちの「カッチリ感」がカワイイ。
セーターをしっかり着て、マフラーもちょっとダサい感じで、それだけで見分けがつく!
あとはやっぱり、社会情勢とか、英国ならではの階級社会での違いとかが、しっかり伝わってくるのがスゴイ。服って、記号でもあるんですよね。

『炎のランナー』は、“トラッドを着こなすために見るべき映画”!
ほんとに、トラッドを着こなしてみたい男子は必見だと思うし、アイテムは違っても女性も見ておくと、ためになると思います。
「トラッド」の着こなしって、バックボーンをちゃんと押さえて着ないと、ただの地味な装いで終わっちゃう。冴えないオジサン、オバサン的な?
私も実は、トラッドをボディコンと共に着こなしていました。


m2 Chariots of Fire
Vangelis

集英社から発売している女性月刊誌『eclat(エクラ)』に連載中の私のコーナー、「おしゃれ☆Road Show」と勝手にコラボ!
ファッションの視点から見て、ふだんのおしゃれの参考にしたい作品をピックアップしてご紹介しています。

続いておすすめしたいのが、特に“何を着たらいいのかわからない!”と、クローゼットの前で悩んでしまう女性たちに、「あなたは、大丈夫?」と問いかけているような1本、『ブルージャスミン』です。

ウディ・アレン監督、ケイト・ブランシェット主演による2013年の作品ですが、ケイトが見事に、「着るべき服を見つけられない、わからない女」を演じています。
実業家の夫とニューヨークでセレブリティライフを送っていたヒロイン、ジャスミン。
しかし、夫が詐欺罪で逮捕されて、何もかもを失ってしまいます。彼女が身を寄せたのは、シングルマザーの異母姉妹、ジンジャーの家。不慣れなサンフランシスコの街で、精神のバランスを崩していくジャスミン・・・果たして彼女は、再びセレブに返り咲けるのか?・・・そんな物語です。

セレブ時代のジャスミンは、ブランドものばかりを身に着けて颯爽としています。でも、どんなにハイエンドで素敵なアイテムも、自分の精神状態が悪くなっていって、自分が今、何をしたらいいのか、何をしたいのか、というのがわからなくなると、とたんに、妙にチグハグな感じに見えてくるんですよね。
ブランドものの服は、彼女にとってのアイデンティティだったんですけど、すべてをなくした後は、同じものを着ていても、なんだか下品になっていくんですよね。
精神的に不安定なジャスミンは、ひとりごとを言ったり叫んだりするようになる。
例えば、申し分のない条件の夫と出会って、大学をリタイヤしてまで結婚した彼女は、「何がしたいかわからなかったの!本当は仕事がしたかったのに!」とか、「ここはどこ?私はここで何してるの?」って叫んでるんですよね。
つまり彼女は、自分の魂の本当の居場所がわからなかった・・・そうなると、“自分が今ここで、何を着て生きるべきか”っていうのもわからなくなる。

でも、一方でファッションって勇気を与えてくれるモノでもあるので、悩んだり迷ったりしたときこそ、好きな服を着て新しい自分に出会う、そんな、ツールにもなるんですよね。
『ブルージャスミン』のジャスミンを演じるケイト・ブランシェット。
セレブ時代を演じるケイトが着るアイテムは、洗練された上質なモノばかり。その姿を見るだけでも、楽しめるかもしれません。

そして!『eclat』の連載で紹介した、最高におしゃれなヒロインが登場する映画が・・・観たことがある人は意外!?と驚くかもしれない1本、『ゲッタウェイ』です。

アメリカでは1972年に、日本では73年に公開された映画で、監督はサム・ペキンパー。スティーブ・マックイーン演じる男と、アリ・マッグロー演じるその妻のアウトロー逃亡劇。
バイオレンス映画の巨匠、ペキンパーの作品だけに、登場人物の誰もが敵をあざむきながらの壮絶アクションを繰り広げているハードボイルドな1本、私が初めて見たのは18歳のときでした。
注目すべきは、ヒロインを演じたアリ・マッグローです! 私が勝手に名付けた「70年代3大女優」のひとり。
ハリウッド女優は金髪ドレスでグラマラス的像を鮮やかにくつがえす! しかも表情が知的!

キーワードは「リアル」。この映画でアリが着ている服は、オフホワイトのやわらかな素材のブラウスにベージュのタイトスカート、スモーキーなピンクのシャツの上にはおったキャメル色のジャケット、オフホワイトのベルト付きジャケットの下にフレアスカート・・・などなど、それを無造作に、粋に着こなしていて、しびれます!

ちなみにアリ・マッグローはモデルから女優になったファッションアイコン。スコッテッシュとハンガリアンの血を引く個性的なルックスを武器に、「ハーパース・バザー」を始めとする、一流ファッション誌のカバーや特集ページを飾っていたといいます。
ファッション誌で働いていた経験もあるそうで、とにかく本人のおしゃれセンスがバツグンだったんですよね。
アメリカ東部のプレップスクール女子風から、バンダナを大胆に頭に巻き付けたボヘミアン調のスタイルまで、70年代当時のファッションシーンに強烈なインパクトを与えていたんですよね。
「ゲッタウェイ」に出てくる着こなしは、今の流行、ドンピシャですよね。
男前なんだけどセクシーな着こなし、ブラウスの微妙な胸のあき具合、アーシーな色使いなどなど、きっと真似したくなると思います。
『ゲッタウェイ』、また観たくなっちゃったな〜、大きなスクリーンに映し出されるファッションって、ホントに、印象深く残りますよね!


m3 Get Away
Quincy Jones

集英社の月刊誌『eclat』連載中のコーナー、よかったらぜひ、読んでみてください!
現在発売中の1月号には、今日ピックアップした作品も掲載されています。

そして、私も負けじとステージで、さまざまなコスチュームに挑戦してきました!
インスタグラムでは、これまで作ったミュージックビデオも公開しています。そちらもぜひ、観てみてくださいね。
さらに! これまでお送りしてきたライブのベスト盤ともいうべき作品も発売中です。
『松任谷由実 LIVE Blu-ray / DVD「TIME MACHINE TOUR Traveling through 45years」』、私のキャリア45年間のステージの名場面がよみがえる、コンサートツアーのベスト版です!
バブル時代の肩パッドのスーツからカウガールスタイルまで、コスチュームも楽しめますよ〜。
ここでしか見ることの出来ない特典映像も満載ですので、ぜひ、ご覧になってみてください。

そのほか今後の予定や最新情報は、私のオフィシャルホームページTwitterInstagramにも近況をアップしているので、そちらもあわせて、チェックしてくださいね。




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