Yuming Chord
松任谷由実
2020.11.27.O.A
いよいよ､来週の火曜日､12月1日に39枚目のｵﾘｼﾞﾅﾙｱﾙﾊﾞﾑ『深海の街』がﾘﾘｰｽされます｡
今日のｺｰﾄﾞは｢深海の街で｣です｡
■今週のChordは“深海の街で”
深海の街
松任谷 由実
お送りしているのは､いよいよ､来週の火曜日､12月1日にﾘﾘｰｽされる39枚目のｵﾘｼﾞﾅﾙｱﾙﾊﾞﾑ『深海の街』にも収録されているﾀｲﾄﾙｿﾝｸﾞ｢深海の街｣です｡
こんな世界になってしまうとは思ってもみなかった2019年､去年の9月に配信ﾘﾘｰｽされた曲で､ﾜｰﾙﾄﾞﾋﾞｼﾞﾈｽｻﾃﾗｲﾄのｴﾝﾃﾞｨﾝｸﾞﾃｰﾏとして作ったのが｢深海の街｣です｡なのに､こんなにも今の空気に沿うような1曲になってしまうとは･･･｡
そんなわけで､今回発売されるｱﾙﾊﾞﾑのﾀｲﾄﾙにもなったわけなんですけど､とにかくこれまでの長いｷｬﾘｱの中で経験した事の無かった環境の中での創作活動でした｡色々､迷いや悩みもあったけど､やっぱり｢今年中にﾘﾘｰｽしなければ！｣という強い意志の元に完成させました｡
今日は､『深海の街』を作るにあたってｻｳﾝﾄﾞ面で一緒に仕事をしてきたお二人に､ちょっと客観的な目でこのｱﾙﾊﾞﾑについて語っていただきます｡
まずは､この方から･･･｡
Goh：由実さん､こんにちは！ｴﾝｼﾞﾆｱのGoh Hotodaです｡
ﾕｰﾐﾝ：Gohさんは､ご存じ､NOKKOのご主人なんですけれど､熱海にﾎｰﾑｽﾀｼﾞｵを構えてらして､時々そちらにﾘｽﾆﾝｸﾞに伺ったりもします｡今回のｱﾙﾊﾞﾑでは無いんですけれど｡では､そんなGohさんに､ｱﾙﾊﾞﾑ『深海の街』でどんなお仕事をしてくださったのか､お話していただきました｡
Goh：僕､Goh Hotodaはですね､ﾚｺｰﾃﾞｨﾝｸﾞ､そしてﾐｯｸｽ､ﾏｽﾀﾘﾝｸﾞという､通常では､この一連の作業を同じ人がするって事はなかなか無いんですけれども､今回は松任谷（正隆）さんと由実さんに信頼を置いていただいて､この全工程をする事になりました｡
今回のｱﾙﾊﾞﾑの制作過程で特徴的だと言えるのは､一番最初に松任谷さんが作られてきた基盤というかﾍﾞｰｼｯｸがあるんですけど､その印象を最後の最後まで変えないように続けていくという事が､自分にとってのﾃｰﾏでありました｡
ｻｳﾝﾄﾞももちろんですけど､僕が一番大事にしたのが､由実さんの“言葉の世界”です｡言葉って言うと簡単に流れてしまうんですけど､由実さんの詞は独特で､物凄く説得力があるんですよね｡その中には景色もあったり､感情･湿度･温度さえも感じるような｡それを､歌詞･ﾒﾛﾃﾞｨｰを支えるような松任谷さんのｱﾚﾝｼﾞが､さらに助長して抑揚をつけていくっていう世界がﾕｰﾐﾝｻｳﾝﾄﾞだと僕は思うんです｡
ﾕｰﾐﾝ：ｺﾒﾝﾄのしようがないぐらい､完璧に解説してくださいました｡でも､そこには本当に愛があるんですよね｡
ずっと続けてらしたGohさんの経験値の高さからくる作品に対する愛を物凄く感じました｡
Goh：仕事という観点からいうと､我々ﾐｷｼﾝｸﾞｴﾝｼﾞﾆｱとかﾏｽﾀﾘﾝｸﾞｴﾝｼﾞﾆｱっていうのは､曲を何千では済まないぐらい聴くんですけど､一般の方､このｱﾙﾊﾞﾑを楽しみにしてる方たちは初めて聴くわけですよね｡初めて聴くときに､全ての印象を届けるっていう仕事っていうのは､物凄く大変な仕事でありまして｡
特に今回はｺﾛﾅ禍ですから､なかなか最終的な確認も､松任谷さんと一緒にｽﾀｼﾞｵで｢この音ちょっと大きくしよう！あぁしよう！｣っていうことがなかなか出来ないという事もありまして･･･｡今回の試みはｲﾝﾀｰﾈｯﾄを通して自分のｽﾀｼﾞｵと松任谷さんのｽﾀｼﾞｵをﾘｱﾙﾀｲﾑで繋いで､お互いの顔を見ながら｢ここはこうした方がいいんじゃない｣とか｢もうちょっと上げてみて！下げてみて！｣とかいうやりとりをしながら､ｱﾙﾊﾞﾑのﾐｯｸｽ作業をしました｡これは､これからもだんだんｽﾀﾝﾀﾞｰﾄになっていくのかなって､僕は未来を感じましたね｡松任谷さん自身も仰ってました｡｢新しい未来を感じるんじゃないか｣って｡
ﾕｰﾐﾝ：Gohさん､本当にありがとうございました｡かなり､最終の段階で聴かせてもらって､｢散りてなお｣という曲だけ､私の希望で何回かやり直してもらったかな｡その他は､ｴｯｼﾞなｹﾐｶﾙなところとｵｰｶﾞﾆｯｸなところが素晴らしくﾊﾞﾗﾝｽよく映像を運んできてくれて､より豊かに聴かせてくださって､心から感謝してます｡
ｺﾒﾝﾄで仰ってたように､これからのﾐｯｸｽのｽﾀｲﾙ､ﾚｺｰﾃﾞｨﾝｸﾞのｽﾀｲﾙがｺﾛﾅによって回路が開いたところがあるっていうのを､私も傍で見ていて凄く感じました｡
ではここで､最新ｱﾙﾊﾞﾑ『深海の街』から､私自身ほんとに大満足の1曲を｡
ﾉｰﾄﾙﾀﾞﾑ
松任谷 由実
ﾕｰﾐﾝ：｢ﾉｰﾄﾙﾀﾞﾑ｣は､曲自体は割合早い段階で作ってたんです｡詞はｱﾙﾊﾞﾑが完成する割と最後ぐらいに作って･･･｡それまでに､Gohさんの仕事の粗削りな部分とかは見えてましたから､それに詞を作っていったんですけど､ｻｳﾝﾄﾞから凄く見える風景っていうのがあって､それをﾉｰﾄﾙﾀﾞﾑの悲劇の世界に落とし込みました｡自分では､“悲劇なんだけど物凄くﾎﾟｼﾞﾃｨﾌﾞな､行き止まりと分かっていても突き進むｴﾈﾙｷﾞｰを感じてもらえるんじゃないか”と思って､このｱﾙﾊﾞﾑに流れているﾊﾟﾜｰをすごく表している1曲になったんじゃないかなと思います｡
では､今回のｱﾙﾊﾞﾑについて語って下さるもう一人のｺﾒﾝﾄｹﾞｽﾄは､この方です｡
鳥山：ﾕｰﾐﾝｺｰﾄﾞをお聴きの皆さん､そして由実さん､こんにちは！
ｷﾞﾀﾘｽﾄの鳥山雄司です｡今年の夏は無観客でしたが､僕の還暦ﾗｲﾌﾞに出演していただいて本当にありがとうございました｡
ﾕｰﾐﾝ：鳥山雄司さん｡“鳥ちゃん”と呼んでるんですけれど･･･｡もう巨匠ですが､23ぐらいの時に初めて一緒にﾊﾟﾌｫｰﾏﾝｽをした時の印象が強烈で､ずっと､そのままの声のような気がして､挨拶聴くだけで懐かしいです｡
では､そんな鳥山さんにｱﾙﾊﾞﾑ『深海の街』のﾚｺｰﾃﾞｨﾝｸﾞについて語っていただきました｡
鳥山：今回は､ｷﾞﾀｰﾊﾟｰﾄのある曲は全曲参加させてもらったということで､長期間に渡ってじっくりと制作に関わらせてもらった感じがあります｡毎度そうなんですが､松任谷さんから｢ｱﾚﾝｼﾞはこんな感じにしたい｣というﾃﾞﾓがきて､それを膨らませていくんだけど､今回はﾋﾟﾝとくるものが凄く多かったです｡ほんとにね､譜面がいらなかった曲もありました｡
ｴﾋﾟｿｰﾄﾞとしては､どの曲のﾚｺｰﾃﾞｨﾝｸﾞだったか覚えてないんだけど､2019年の夏､｢花火大会に行くから早く仕上げてね｣って言われて､焦って弾いた覚えがあります｡無事に出来たけど､色々ありますわね｡
出来上がりを聴かせてもらって思ったのは､毎回そうなんですけど､“それぞれの曲がﾁｬｰﾐﾝｸﾞでｲｷｲｷ”としています｡聴く人を必ず好きなどこかに誘ってくれるｱﾙﾊﾞﾑです｡それと､“若い世代のｼﾃｨﾎﾟｯﾌﾟﾏﾆｱ必聴盤”になるんじゃないかな｡
最後に､このｱﾙﾊﾞﾑの中の｢あなたと 私と｣という曲のｷﾞﾀｰﾊﾟｰﾄは､僕じゃないと絶対に弾けませんから演奏するときは必ず呼んでくださいね｡
ﾕｰﾐﾝ：ﾕｰﾐﾝ:いや~､鳥ちゃんらしい､いい意味で謙虚さのない｡ｷﾞﾀﾘｽﾄってﾂｯｺﾐｷｬﾗなんですよね｡｢我が､我が､我が･･･｣って感じの､それが良いﾌﾟﾚｲをさせる｡ﾃｸﾆｯｸがないと､そこで終わってしまうんですけど､ほんっとにｽｷﾙﾌﾙですから｡何をやらせても120点くれる人です｡｢あなたと 私と｣について言っていましたが､確かに何でも出来る人の中でも､特にこれは個性が出ているかもしれませんね｡強い味方がいて､とっても幸せです｡
では､今のお話に出てきたこの曲を､鳥ちゃんのｷﾞﾀｰ含めてじっくり聴いてみてください｡
あなたと 私と
松任谷 由実
ﾕｰﾐﾝ：この曲は､自分では“近い未来の預言の歌”みたいな気がしてるんですよ｡どういう形で終息するか分からないにしろ､“新しい世界は必ずやってくる”と思うんですね｡その時に､くぐり抜けて来た闇を振り返って､｢あ~､過ぎたん
だ｣って深呼吸するような歌｡それには､鳥山さんにしか弾けないというｷﾞﾀｰの澄んだ音色がとても必要だったんだなと､今､思います｡鳥ちゃんのｷﾞﾀｰは音がﾎﾝﾄに澄んでるんですね｡なので今言ったような､澄んだ空気を深呼吸するような､晴れてそういう時がやってくる感じがして嬉しくなりました｡
今日は｢深海の街で｣というｺｰﾄﾞで､12月1日にﾘﾘｰｽされる39枚目のｱﾙﾊﾞﾑ『深海の街』の聴きどころを､ｴﾝｼﾞﾆｱのGoh Hotodaさん､ｷﾞﾀﾘｽﾄの鳥山雄司さんに､語っていただきました｡
きっと､聴いてくださる方も､“すごく立体的にこのｱﾙﾊﾞﾑのことを把握してもらえたんじゃないかな”と思います｡私自身もそうです｡
さあ､いよいよ､ﾘﾘｰｽ直前となったｱﾙﾊﾞﾑ『深海の街』！
只今､ご予約受付中です｡初回限定盤は特殊ｼﾞｬｹｯﾄ仕様です｡そして､Blu-rayが付いています｡
こちらには､｢ﾄﾞｷｭﾒﾝﾄof深海の街｣ほか､特典映像満載！
これ､ちょっと説明すると､自宅録音でしたから､自宅の様子､そこでどういう事を感じてたかというのをﾄﾞｷｭﾒﾝﾀﾘｰﾀｯﾁで映像化されています｡
ぜひぜひ､ご予約くださいね｡
また､【豪華完全限定盤 ｸﾘｽﾏｽｽﾍﾟｼｬﾙBOX】もあります｡
CDと､Blu-rayと､ｱﾅﾛｸﾞﾚｺｰﾄﾞ､そしてArt Book付きという､ご褒美仕様です｡
そして､ｱﾙﾊﾞﾑﾘﾘｰｽ近辺､ということで､様々なところへ精力的にﾌﾟﾛﾓｰｼｮﾝに出かけております｡
ﾗｼﾞｵでﾃﾚﾋﾞの宣伝をするのは恐縮なんですが､今夜は､TBS系『中居正広の金曜日のｽﾏｲﾙたちへ』に出演します！
さらに､明日土曜日は『ﾐｭｰｼﾞｯｸﾌｪｱ』､それから『出川･爆笑田中･岡村のｽﾓｰﾙ3』にも出演します｡
そして11月30日､来週月曜日は『CDTVﾗｲﾌﾞ！ﾗｲﾌﾞ！』に初めて出演します｡
それから､来週水曜､12月2日には､『FNS歌謡祭』｡ここでは､嵐のみなさんとｺﾗﾎﾞする予定です｡よかったら､ﾁｪｯｸしてみてくださいね｡
そのほか､詳しい情報や近況は､私のｵﾌｨｼｬﾙｻｲﾄや､TwitterやFacebook､Instagramなどをご覧ください｡
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