Yuming Chord
松任谷由実
2021.05.14.O.A
♪Onair Digest♪
あのときと同じ状況におちいっている今こそ、あの日々をもう一度。
今日のコードは「あなたに帰る場所」です。


■今週のChordは“あなたに帰る場所”

m1 Take me home
松任谷 由実

お送りしているのは、アルバム『KATHMANDU』から「Take me home」でした。

なかなか出口が見えてこない日々が続いていますが、いかがお過ごしでしょうか?
1年前の今頃のことを思い出していると、最初の緊急事態宣言が延長を重ねて、私自身、気持ちが落ち込んで、創作活動にも影響を及ぼしてしまったんですが、その後、「今のこの状況を記録しておかなければ!」と、自分を奮い立たせて、アルバム『深海の街』の制作に気持ちを向けていった、あの頃のことをしみじみ思い出します。
当時、モチベーションを高めていくために有効だったのが、“原点に戻ってみる”ということ。
あのときと同じ状況におちいっている今こそ、あの日々をもう一度。そこで、今日のコードは「あなたに帰る場所」です。

今、こんな時代だからこそ、「自分に帰る」。
どこにも出かけられないのなら、自分自身を深く掘り下げる心の旅に出たり、なんとなく気持ちがふさいでやる気が起きないのなら、自分の好きなこと、自分らしさを再確認できること、自分がうれしくなることから、やってみたり。そんなわけで、私が返る場所・・・手っ取り早く自分に帰れるのは映画です。

帰りたい、というキーワードで思い出したのが、『グラン・ブルー』。
私の中には、いつか、「海へ帰る」っていう気持ちがあるのかな。
リュック・ベッソン監督で1988年にフランス・イタリア合作でつくられたこの作品。
素潜りで世界記録に挑む2人のダイバー、ジャックとエンゾの友情と、ジャックを愛してしまった女性の葛藤を描いた物語です。彼のモデルは、海とイルカに魅せられた実在の天才ダイバー、ジャック・マイヨールですね。
「水中からあがってくる理由が見つからない」
物語の中でそう語るジャック。まさに「海へ帰る」という感覚だったんですよね。

何度も観たくなる映画、ということでいえば『ゴッドファーザー』(1972年公開)だったり、そして、クロード・ルルーシュ監督の名作、『男と女』だったり。
『男と女』はアヌーク・エーメとジャン=ルイ・トランティニャンが主演した、1966年のフランス映画。スタントマンの夫と死別した脚本家アンヌと、妻に自殺されたカーレーサーのジャン・ルイによる、大人の恋愛物語です。フランシス・レイの音楽と美しい映像も魅力。
フランスのパリやドーヴィルが舞台になっていますが、私が自分に帰る場所、といえば「パリ」もそうかも。

ではここで、これを聴くと自分を取り戻せる、自分に帰れる1曲をお送りしますね。
ミュージシャンとしてではなく、リスナーとしてなら、Stingの曲。中でも、80年代の怒涛の時代に聴いていたアルバム、『・・・Nothing Like the Sun』(1987)が、私の帰る場所です。そのアルバムの中からお送りするのは、「Fragile」。


m2 Flagile
Sting

お送りしたのはStingで「Flagile」でした。

今日のコードは「あなたに帰る場所」。
このコードで思い出した映画がもうひとつ。『潜水服は蝶の夢を見る』。
原作を書いたのは、ファッション雑誌『ELLE』の編集長、ジャン=ドミニック・ボービー氏です。名編集長として名前をはせていた彼が、ある日突然、脳血管発作に見舞われて、突然、身体の自由を奪われてしまいます。
そんな彼が、唯一動かすことができる左目の瞬きで、この本を執筆。
20万回の瞬きでつづった手記は大きな反響を呼び、2007年に映画化されて翌年、公開されて大きな話題になりました。

身体の自由を奪われたこの状態は「ロックト イン シンドローム」と呼ばれるもので、日本語にすれば「閉じ込め症候群」。今、私たちが置かれている状況もまさにこんな感じ。
もちろん、主人公のジャン・ドゥとは比べようもありませんが、私たちは今、身体的制限を受けて、ロックされた世界で生きているようなもの。だから、今、この映画を観ることで気づくことがたくさんあると思います。

ジャン・ドゥは絶望の日々を経て、不自由な自分を憐れむのをやめた彼は、気づきます。
「想像力と記憶で 僕は潜水服から抜け出せる」
「想像力で僕は時や場所を超える。波に身をゆだね、愛する女と共に過ごす。幼い夢をかなえ、大人の憧れを実現し、なりたかった自分になれる」
これ、人間がもつ最高の力ですよね。そして、絶望的な孤独に打ち克つ方法!『潜水服は蝶の夢を見る』今こそぜひ、観てみてください!

今日のコードは「あなたに帰る場所」。
もちろん、どの時代も自分自身なんですが、ふと、思い出すのは80年代の少し手前の頃のこと。
1979年にアルバム『悲しいほどお天気』をリリースしたあとに80年代に突入。その後、『時のないホテル』(1980)、『SURF & SNOW』(1980)『水の中のASIAへ』『昨晩お会いしましょう』(1981)『PEARL PIERCE』(1982)のリリースへ。
そのあたりのことを、ときどき想うことがあります。
そして、あれから40年。私は、あの頃と同じ、いや、それ以上に、創作への情熱を抱きつつ、変わらず曲を書き続けています。
ではここで、今日のコード「あなたに帰る場所」から、私の曲を。


m3 経る時
松任谷 由実

お送りしたのは、アルバム『REINCARNATION』に収録された1曲、「経る時」でした。

今日は、「あなたに帰る場所」というコードでお話ししてきました。
文字通り、私が帰る場所・・・、自宅で、再びステージに立てる日を想っています。どんなことがあっても希望を忘れずに、この状況を乗り越えていきましょうね。

最近の私は、秋からスタートする予定の『深海の街』ツアーの準備に入ろうとしています。
エンターテインメントの火を絶やすことのないよう、どういった形でツアーをやるのか、それとも・・・?と、悩むところですが、この試行錯誤の毎日は、きっと無駄にはならないと思っています。
あなたもぜひ、今、自分らしくあるためにできること、コツコツと続けてくださいね。

そのほか、私の最新情報や近況は、私の公式ホームページツイッターインスタグラムなどでお知らせしています。
ぜひ、チェックしてみてください!



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