Yuming Chord
松任谷由実
2021.10.15.O.A
♪Onair Digest♪
芸術の秋・音楽の秋にちなんだ今日のコードは、「Yuming×KUBOTAの“SOULに恋して”」!
SOULミュージックの奥深い魅力を、今週と来週の2週にわたって、久保田利伸さんとともにわかりやすくひもときながら、その神髄に触れていきます。


■今週のChordは“Yuming×KUBOTAの“SOULに恋して””

m1 You Don't Have to Be a Star
Marilyn McCoo & Billy Davis Jr.




ユーミン:今日は、FunkyでSweetなこの方をお迎えしています!

久保田:お邪魔いたします。久保田利伸です。

ユーミン:3年半ぶり!今回、どうして久保田さんをこの番組にお招きしたかというと、ある理由があるんです。実は私、ここ最近、改めて、R&BとかSOULミュージックってものがあるんだよな・・・と。“はまっている”っていうより、そう“認識した”んですよ。
というのも、映画『サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった時)』を観たり、その後すぐ、アレサ・フランクリンの人生を描いた映画『リスペクト』(11月公開)を試写で観たり。それよりも少し前に、デヴィッド・バーンの(ブロードウェイ・ショーを映画化した)『アメリカン・ユートピア』を観たんですけど、何か共通のものを感じたんですよ。
それで、さっき言った『サマー・オブ・ソウル』で、まず久保田さんを思い浮かべたんだけど。

久保田:そういうメールが来ました。

ユーミン:『サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった時)』は、ウッドストックが開催された1969年の夏、160キロ離れた場所で行われたもうひとつの音楽フェス、「ハーレム・カルチュラル・フェスティバル」にスポットを当てた音楽ドキュメンタリー。
R&BやSOUL界の大スターが出演して、30万人以上を動員したにも関わらず、この映像は50年もの間、地下室に埋もれたままになっていたんですよね。

久保田:この『サマー・オブ・ソウル』の映画監督が友達なんですよ。“クエストラブ”(アミール・“クエストラブ”・トンプソン)と言うヤツなんですが、「ザ・ルーツ」というバンドがあって、そのリーダーなんです。クエストラブ自体は、グラミー賞も取ってるし、他のいろんなナンバーワンヒップホッパーのプロデュースもやるんだけど、僕も15年前に3曲ぐらいプロデュースしてもらってて。
ものすごく真面目・・・真面目というかとにかく音楽オタクで、古いソウルからヒップホップまで全部好きで、あと、人種と世代を飛び越えて何か繋げることをいつも考えている。だからこの映画にもそれがあるんだろうし、日本から来ている僕のこともアメリカに広めようとしてくれたり、手助けしてくれたり。ずっとそういうことばかり考えてるヤツなんですよ。

ユーミン:最初に言ったような、私が色々触れたカルチャーに共通しているのが、“繋げようとしている”こと。その動きが、ここに来て、出版されたりリリースされたりしているなと思っていたんだけど、その、黒人の人の“繋げたい”っていう気持ちは何なんだろう?

久保田:2種類ぐらいあると思うんです。まず、クエストラブみたいに、「とにかく、今生きているヤツらに、ものを考えてほしい」ということ。「こんなに良いことも、お前らの知らないこんなこともあるんだぞ。もうちょっとしっかりしろよ!」ということと、あとは、「真面目じゃなくていいから、カルチャーとしてもうちょっと楽しもう」ということ。黒人の歴史とSOULミュージックが人間にとってどんな風に大事なのかっていうことをずっと体験してきた人たちが、そのままちょっと語りたい、という。そういうことなんじゃないかな。

ユーミン:ここで1曲、“久保田利伸のルーツ”とも言える曲を聴こうと思うんですけど、何にしましょう?

久保田:初めて“SOUL歌い”を練習したお手本曲・・・“SOULこぶし”と言いますか、これを中学生の頃に練習した曲を選びました。

ユーミン:これは、いつ初めて聴いたの?

久保田:ラジオのヒットチャートに上がってきて、“これは!このこぶしを練習しなきゃ!”っていうことで。同時期にスティービー・ワンダーを聴きはじめたりとか、『ソウル・トレイン』を観はじめたりとか、そのタイミングが全部“SOUL”に入ってくるタイミングで。
今日この曲を選んだのは、さっきの映画『サマー・オブ・ソウル』で、この2人(マリリン・マックーとビリー・デイヴィスJr.)がいっぱいインタビューをされてるんですが、彼らはフィフス・ディメンションのボーカルの2人なんですよ。

ユーミン:私もフィフス・ディメンションにはちょっとご縁があるんです。なぜかというと、私は14歳の時にこの業界に足を踏み入れたんだけど、そのきっかけが、日本で公演されていたミュージカルの『ヘアー』なんですよ。その『ヘアー』のテーマ曲が「アクエリアス」で、フィフス・ディメンションだったんです。まさに、去年の12月からはじまった“風の時代”の星座の並びを歌詞にしてたりするんだけど、そういうニューエイジ・カルチャーというものの洗礼を、10代の時に受けた感じなの。

久保田:良い時代から活躍されましたね。

ユーミン:そうね。60年代の後半なんて、“カルチャーのるつぼ”だもんね。ロックにしても。

久保田:この時代、この年齢の僕からしてもわかりますよ。SOULしかわからない僕からしても、あの時代は本当にカルチャーが・・・。

ユーミン:百花繚乱というか。

久保田:そうでしょうね。自由だし、そこの流れから、例えばアメリカだったらヒッピーになっていったり、サイケになっていったりするんですかね。

ユーミン:SOULミュージックに影響を受けた久保田利伸さんですが、それを音楽づくりにどう、落としこんでいったんでしょう?

久保田:僕の場合、それ(SOUL)しかないので。SOULミュージックを聴きはじめた中学1年生の頃の、“音楽ってこんなに気持ちいいんだ”“これカッコいいな”“SOULミュージックって歌うとこんな気持ちいいんだ”っていう気持ちから、“あれ、もしかしたら俺も作れるかもしれない”って、そのまま発展していってるだけなので。
だから、初めて聴いた時の気持ちがなるべく消えないように、自分でオリジナルを作る時も、ただただそこを大事にして、今に至っている・・・という感じですね。

ユーミン:“切り込み隊長”って言ってるんだけど、誰よりも早くN.Y.に移り住んじゃって。「勇気がいったよね」って言いたいところだけど、もう考えないで、そのまま“行きたい!”って思って行ったんだよね?

久保田:もっと考えてたら行ってないですね(笑)。勢いです。でもそれは“思い立った”のではなくて、初めてSOULを聴いた頃から、“ああ、この場所に行きたい”“こういうものを作って歌っている場所に行って俺もやりたい”とずっと思っていたので、それがやっと30代になった頃に具体的に出来たかな、ということですね。

ユーミン:そんな久保田さんが、“楽曲に込めた想いが溢れている”と思える楽曲は、なんですか?

久保田:アメリカで自分が歌った時で、シーンとして(頭に)こびりついている曲です。黒人ばかりのオーディエンスの前で歌ったツアーがあるんですよ。僕ともう2、3人の黒人のアーティストと一緒にやったんですけど、その時に歌って、ちょっとお客さんの心の殻を破けたかなって思えた曲があって、それを選ばせていただきました。


m2 Breaking Through
久保田 利伸(TOSHI)




ユーミン:“武者震い”というか、緊張とも言えない、すごい精神状態になったんじゃない?

久保田:そうですよ。“とうとう来たか、この現場が”って(笑)。緊張は通り越しましたね。これを“幸せ”というか、(緊張より)そちらの方に感じることができた。何よりも、オーディエンスが2曲目から“あ、コイツ、可愛いじゃん”って、受け入れてくれる。あの瞬間がものすごく気持ち良かったですね。

ユーミン:“久保田利伸”って人が可愛いから、それが音楽に出さえすれば、受け入れられるんだね。

久保田:僕が学んだことはそれです。“可愛い”とかってことじゃなくて、「どれだけ音楽が好きか」「どれだけアメリカ産のSOULが好きか」というところが出ると、理屈抜きに受け入れてもらえる。それが歌声に出る場合もあるし・・・。

ユーミン:佇まいに出ることもある。


今日は「YUMING×KUBOTAの“SOULに恋して”」というコードで、久保田利伸さんとともに、SOULミュージックの神髄に触れてきました。
そして、来週も久保田利伸さんをお迎えして、まだまだソウルミュージックの魅力をレクチャーしていただきます!



そして、先月末からすでにスタートしている、『松任谷由実コンサートツアー 深海の街』。
輪廻転生、壮大な魂、まさに「SOUL」の旅に出かけるような、濃厚な内容になっていると思います!
ぜひ、番組公式サイトのメッセージフォームに、コンサートの感想を書いて、送ってくださいね。
それを励みにしながら、全国およそ60公演のすべてに、力を注いでいこうと思います!

なお、チケットの一般発売に関しては、随時、情報をアップデートしています。
今後のツアー日程やチケット購入の方法は、私のオフィシャルホームページをご確認ください。
私の最新情報は、TwitterInstagramなどでもお知らせしていますので、そちらもぜひ、チェックしてみてくださいね。



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