Yuming Chord
松任谷由実
2021.11.05.O.A
♪Onair Digest♪

今回のステージを彩る色やツアーパンフの色は、人類の祖先・命が生まれた海の色、そして、人生をかけた冒険を経て見上げた空の色。
今日のコードは「Purple」です。


■今週のChordは“Purple”

m1 My Universe(SUGA's remix)
Coldplay X BTS

お送りしているのは、コールドプレイとBTSのコラボソングから「マイ・ユニヴァース」。
BTSのメンバー、SUGAがリミックスを手掛けています!

この配信ジャケットはまさに「紫色」。ミュージックビデオも紫が印象的です。
ちなみにBTSにとっても紫は大切なカラーのひとつとなっています。

そんな1曲でスタートした、『Yuming Chord』。
11月がはじまって、いよいよ、朝晩の冷え込みが本格的になってきました。
今度の日曜日は「立冬」ですから、秋も終わろうとしています。
そんな中、『松任谷由実コンサーツアー 深海の街』もここまで無事、とどこおりなく進んでいます。

今回のステージを彩る色やツアーパンフの色は、人類の祖先・命が生まれた海の色、そして、人生をかけた冒険を経て見上げた空の色。
それはとどまることなく移ろっていきますが、かつて、私たちの記憶の奥深くを染めた色。
そこで、今日のコードは「Purple」です。

今回のツアーパンフは(も?)、ちょっと凝った作りになっているんですが、表紙は、まさにパープルの濃淡で描かれた航海用の地図をイメージしたようになっていて、その真ん中に、ちょっとわくわくするような仕掛けがあったりもするんですが、ステージを染める照明の色も、パープルが印象的かもしれません。

今日のコード「Purple」、紫色は、古今東西、「高貴な色」として認識されている色ですよね。
日本の場合は、仏教伝来とともに、中国の隋・唐の衣服に関する制度も伝わって、いわゆる「冠位十二階」では、紫色が最高の位として位置づけされました。
「天上の色」として憧れられ、あがめられるのが紫色です。
でも、「紫色」とひと口に言っても、微妙にニュアンスの違う色がたくさんあります。

特に日本の色の和名は本当にたくさん!
淡い青みのある「藤色」、濃い青みのある「菖蒲色(あやめ色)」、赤みのある「杜若(かきつばた)色」、グレーがかった明るみのある「葵色」。
そして秋に見かける紫なら秋の七草「桔梗色」に「すみれ色」、「竜胆(りんどう)色」などなど、紫が「花の色」とも呼ばれるゆえんです。

ところで、『枕草子』の「めでたきもの」には、「すべて何も何も、紫なるものは、めでたくこそあれ」と、書かれています。「めでたき」とは、素晴らしい、という意味の古語。
清少納言は、花も、衣服も、うたなどが記される紙も、紫が最高!と、1000年前から絶賛しています。

ではここで、今日のコード「Purple」にちなんだ1曲を。
1984年のプリンスの名盤、映画「パープル・レイン」のサウンドトラックとして制作されたアルバム『パープル・レイン』から。


m2 When Doves Cry
Prince

お送りしたのは、プリンスで「When Doves Cry」でした。
『Yuming Chord』、今日のコードは「Purple」。
色の中でも、別格の「紫」。宮廷において、色の序列は時代によって多少の変化はありますが、天皇や皇太子の色は別として、臣下の最高位の色は必ず紫でした。
ちなみに、私、松任谷由実は、2013年に「紫綬褒章」をいただきまして・・・。

記章とメダルのリボンは紫色でした。
恐れ多いものをいただいてしまった私ですが、これを励みに、音楽をつくり続けよう、と心に誓ったものです。

中国の帝の宮殿・故宮は「紫禁城」。
日本でも天皇の御座所、いらっしゃる場所は「紫宸殿(ししんでん)」。
どちらも紫、という字が使われています。
でも、庶民たちもあのかっこいい紫を使いたい!と願い続け、おしゃれな江戸の町人たちは、贅沢を禁じ、紫を使うのを禁じられていたにも関わらず、知恵をつかって紫色を作り出します。
それが、京都・桔梗屋が茜で作った「甚三紅(じんざもみ)」や、蘇芳や茜で作った「似紫(にせむらさき)」など。
当時のファッションリーダーだった歌舞伎役者が使った江戸っ子好みの紫も、「江戸紫」として人気が出ました。

そうやって解放されてきた紫・・・今やあちらこちらで使われるようになります。
この(TOKYO FMのある)半蔵門駅がある東京メトロは「半蔵門線」。車体には紫色が入っています。明治時代からは女学生たちが「海老茶袴」と呼ばれる紫色の袴を着用。風呂敷も紫色、多いですよね。

ちょっと話はそれますが、紫色のおいしいものも、たくさんありますよね!
ポリフェノールの一種であるアントシアニンは、天然の色素のひとつ。
抗酸化力があって、目の疲れをケアするといわれる栄養素です。
野菜なら茄子、紫キャベツ、紫玉ねぎ、紫芋など、フルーツならブルーベリー、カシスなど。
私、この中だったらブルーシールの紫芋ソフトクリームが大好き!

そんなわけで、今日のコードは「Purple」。
なぜ、紫色が高貴な色として扱われてきたのか、というと、かつて入手が困難だったから。
今は、さまざまな方法で紫色を作ることができますが、かつて紫は、山や草原に自生する「紫草(ムラサキグサ)」の根っこを染料として、ツバキの灰を媒染として使ってつくられていました。
手間がかかる作業だったため、紫は高級な色とされたんですよね。

一方、西洋の「Purple」は、海にすむ「ムーレックス」という巻貝が分泌する色素を使って作られます。
海に潜って貝をとり、それを割って中身をとりだし、取り出した軟体動物をしばらく水につけ、その後、小さな腺から汁を抽出するという、手間のかかる工程が必要でした。
大量に貝を使い、細かい調整を経て、ようやく「紫」が誕生したんだそうです。
西洋で最初に作られた「紫」の色の由来は、海の生き物だったんですね。
まさに、ここで「深海の街」とつながった気がします。

では、今日のコード「Purple」にちなんだ私の曲を。


m3 深海の街
松任谷 由実

お送りしたのは、最新アルバム『深海の街』から、「深海の街」でした。

今日は、「Purple」というコードでお話ししてきました。
今回のコンサートツアー『深海の街』は、パープルやブルーに染まった海の底や空、いつか見た美しい場所を旅するような、そんなステージをお届けしています。
来年、2022年の夏まで続きますが、みなさんとお会いできるのを楽しみにしています。

そして、お知らせをひとつ。
冬の定番「SURF & SNOW in Naeba」の、2022年・Vol.42の開催が決定しました!
新潟県・苗場プリンスホテルのブリザーディウムにて、2022年2月7日(月)から21日(月)までの全8公演の予定です。
新型コロナウイルス感染症拡大予防ガイドラインに沿っての実施となりますが、チケットの一般発売は11月12日(金)11:00から14日(日)の23:59までとなっています。
どうぞ、お見逃しなく。

また、現在開催中の『松任谷由実コンサートツアー 深海の街』でも、万全の感染対策を講じています。
チケットの一般発売に関しては、状況を見ながら、随時、情報をアップデートしていきますので、今後のツアーの日程も含めて、私の公式ホームページで確認をお願いします。

そのほか、私の最新情報や近況は、私の公式ホームページツイッターインスタグラムなどでお知らせしています。
ぜひ、チェックしてみてくださいね。



過去のO.Aはコチラ!
♪menu♪
番組TOPページ
番組へお便りはコチラ!
Message to Yuming
Yumin最新情報!
Information
TOKYOFM TOPページ

▲ページ上部へ
(c) TOKYO FM