Yuming Chord
松任谷由実
2022.09.02.O.A
♪Onair Digest♪

今週も、Vaundyとともに、これからの音楽について語り合います。
今日のコードは、「The Future of Pops〜YumingとVaundy、POPSの未来を語る(後編)」です。


■今週のChordは“The Future of Pops〜YumingとVaundy、POPSの未来を語る(後編)”

ユーミン:今日は、この方をゲストにお迎えしました!

Vaundy:Vaundyです。今週も、よろしくお願いします。

ユーミン:そんなVaundyとお送りする『Yuming Chord』。今回のコードは、「The Future of Pops〜YumingとVaundy、POPSの未来を語る」です。
未来を語る・・・その前に、今現在の楽曲作りについて聞いてみたいんですが。Vaundy流の曲作りは、“散らばってるピースを面白くはめること”だと聞いたんですけれども。

Vaundy:はい。

ユーミン:そのピースっていうのは、“言葉”であったり“音色”であったり、様々なところに散らばってるわけですよね。

Vaundy:そうですね。先週もお話したんですけど、いろんなことをやる意味というのは、そこにもあると思っていて。
デザインを勉強しているうちに、“線”とか“曲線”とか、そういうものから得られることもあると思っているんです。映画を作ろうと思ったら、映画音楽を聴いたりして、“ここのシーンに合う色と音程と”とか、これまで人間が作り出してきた“当たり前”というものにはまってくる。その中からピースを抜き出して、僕の中のフィルターを通して出すのが現代の物づくりの仕方かなと思っています。
でも、これも変えていかなきゃいけないとは思ってるんです。最新技術とかそういうことじゃなくて、“もっと生々しくて憎々しい人間の何か”がまだ必要なんだろうな、と思っている最中ではあります。

ユーミン:自分の幼少期をふと思い出したんだけどね、小学校1年ぐらいの時かな。『太陽がいっぱい』っていう映画を観たのよ。アラン・ドロン主演で。
ニーノ・ロータっていう人が映画音楽(を担当)なんだけど、その映画音楽がめちゃくちゃ幼心に響いて、ピアノでそれをコピーしたのね。その時に、見たこともない地中海とか、あっちの方の海 の夕暮れのむせかえるような潮風をかいで胸が苦しくなるような・・・もう、涙が出ちゃうの。それはね、変わることがないの。何年経っても。何かを見て、その質感、匂いとか、皮膚感みたいなもので泣きたくなるの。どういう方法でどういう曲を作っても、その、“ある感覚”っていうのは持ち続けてるなぁと思って。
今、「変わっていかなくちゃいけない」っていう、悪い意味じゃなくて、表層的なことを言ってたけれど、多分、Vaundyの“刹那ポイント”とかがあると思うんだよね。

Vaundy:確かに、僕は、必要なものとして、一番人間の心を動かすのは切ないメロディと言葉だなとは思っています。“その情景に反射して身体が反応する”というか、そういうものも想像させる力が音楽にあれば、聴いている人たちから“感覚”が出てくる。
なので僕は、曲を作っている時も“映像を想像している”というか、「このシーンで車に乗って運転してる時に流れる音楽」とか情景があったり、全く知らない2人の話を頭で妄想して、それに主題歌を勝手につける、みたいなイメージで曲を書いてるので。
何か、そこに近しいのかもしれないですね。“世界観に連れて行く”というか。そういう力を持つのは、作る時から情景をこっち側が考えて作らないといけないというのは、確かにありますよね。

ユーミン:先週も言ったんだけど、まず最初の聴き手は自分だもんね。

Vaundy:そうなんですよね。自分が楽しいとか自分が感動する、聴いていて気持ちいいと思わない物は出さない方がいいし、正直、出しちゃいけないと思ってはいます。

ユーミン:“みなさん”というよりも“個”に入っていく方が急に一般性を帯びるなって、経験上も思います。

Vaundy:やっぱりそうなんですね。“みんな”ってやると薄れる。だけど、自分の中のめちゃめちゃパーソナルな闇みたいなのが一番、「あ、分かる!」みたいな。「全然知らない、そんな経験したことないけど、分かる」みたいな。そこはすごく不思議だなと思っていて。
僕、1曲だけ「僕は今日も」っていう、結構パーソナルな曲を書いたことがあったんですけど、今でもその曲は「めちゃめちゃ分かる」「共感できる」って人が多くて。ただ、僕の中では、普通に生きてたらそんなに味わうような言葉とかではないと思っているので、なんか、すごく不思議だなと思いますね。
(今聴くと)めちゃめちゃ声も若い感じがする(笑)。

ユーミン:自分だけが分かるかも。あと、自分の中の青くさい部分で恥ずかしながら作ったっていう。

Vaundy:“(個を)出し過ぎるとこうなるんだな”っていうのは、この曲で思いました。

ユーミン:でもね、個を出しつつも・・・、ヘッドフォンでジーっと聴いてるとね、Mixや何かも、映画のようにレイヤーにしたりとか、奥行き出したりとか、心情を総合的に出してるなと思って。

Vaundy:そうですね。

ユーミン:それがマルチにやることの強みだね。

Vaundy:(笑)。この曲は、僕の先生に編曲を手伝ってもらってて。その先生もクラシックからジャズから何でもやる人で、その人も結構、理論的に組み上げてくれたので、だから“僕の個で歌った部分”というか、僕の中にあるちっちゃい密になったもの、みたいなものがちゃんと広がって聴こえるようになったのかなと思います。

ユーミン:なるほど。それでは、私が選んだ「踊り子」を聴いていただこうと思うんですけれど。これは、とりわけキャッチーでした。少し解説を。

Vaundy:この曲は、僕からポン!って出てきた曲で、映像を意識して、単調にループに対してメロディを作って行こう、という。多分、理由とかも後付けしたんですけど。自分の“気持ちいい”がちゃんと全部入ってる曲かなと思いますね。


m2 踊り子
Vaundy

ユーミン:今日はVaundyをゲストにお迎えして、「The Future of Pops」というコードでお送りしています。Vaundy世代の人たちに、今、レコードが注目されているんだけど、聴くことはあります?

Vaundy:聴きますね。むしろ、パッケージを買う時は、僕はレコードを買ってますね。それこそ、先日発売された山下達郎さんの(アルバム)、CDよりも先にレコードに手がいったというか。ギリギリ買えたんですけど、その後すぐに売り切れになっちゃったみたいで。それ以外はサブスクで量をインプットすることが多いんで。

ユーミン:サブスクはどういう状態で聴いていますか?ヘッドフォン?

Vaundy:いろいろな状況で聴きますけど、基本的にヘッドフォン、イヤフォン。家で余裕がある時とか、勉強しながら聴く時とかは、家のスピーカーで曲を作る時と同じ環境で聴いたりしてます。

ユーミン:ところで、さっきちょっと触れましたけど、Vaundyが目指す未来ってどんなものでしょうかね。

Vaundy:最近、人物でちゃんと名前をあげられるようになったんですけど、ここ2年ぐらいはフワっと「こんな感じ」って言ってたんですけど、ダ・ヴィンチのような探求心が合って、デヴィッド・ボウイみたいなカリスマ性がありつつ、ジャック・ホワイトみたいな鋭利さが欲しい、みたいな。でも、そこに映画を作ったりとか・・・アニメとかも日本の未来の1つだし、“ここが頂点じゃない”ってすごく思うんですよね。日本は80年代の音楽も映画も評価されてるんですけど、その先に、“令和の時代”なのか分からないですけど、あると思ってるので、そこの先陣を切って僕が作りたいなっていうぐらいには思ってますね(笑)。映画もそうですし。

ユーミン:いい野望です。

Vaundy:めちゃめちゃ野望ですけど(笑)。

ユーミン:実現可能な感じが、ひしひしとしますよ。

Vaundy:ありがとうございます。

ユーミン:オープニングで「50年後、何してる?」って話をしたけど、そこでも「映画監督をやっていたい」って。これからの活躍が本当に楽しみなVaundyですけれど、ここで私の楽曲から気になる1曲を選んでもらってお送りしようと思ってるんですが。

Vaundy:この曲は、僕がユーミンに出会った曲ですね。僕は小さい時からジブリが本当に好きで、DVDでずっと観てましたね。「やさしさに包まれたなら」。

ユーミン:ジブリ、ありがとう!


m3 やさしさに包まれたなら
荒井由実(松任谷由実)

ユーミン:いい加減にアルペジオで作ったんだけどね、最初。このバージョンじゃないんだけど。

Vaundy:僕も調べて、失礼な話、初めて知って。(映画のテーマソングに使われたのは)アルバム・バージョンだったんだ。

ユーミン:そうね。

Vaundy:それがジブリのエンディングで使われて。相当強靭なメロディだったって、僕は思っていて。

ユーミン:ああ、そういう意味。そうかもしれないね。

Vaundy:圧倒的に、僕の中で、あの映画のイメージ。『魔女の宅急便』のイメージが強いので、これを聴いたらキキ達が出てくるぐらい、好きな曲で。

ユーミン:最初、書き下ろしをご依頼いただいたんだけど、(ジブリの映画では)『風の谷のナウシカ』とかが感動しすぎてて。「いやあ、私は、これ、無理です」って言って締め切りを引き延ばしてる時に「じゃあ、これ使ってもいいですか?」って言われて「どうぞ、どうぞ」って感じだったの。

Vaundy:えー!僕もジブリやりたい(笑)。本当に、それこそアニメの話もしましたけど、あそこから僕は始まってて。その後、『AKIRA』だったりとか、ああいうアニメ映画を後から知るようになったんですけど、やっぱりジブリ始まりだったので、「大人になったらジブリの映画をやる!」みたいなのが夢の1つではあって。実際、こうやってお話できるのも、「俺、めちゃめちゃすげーな」とは思いますね。

ユーミン:ほんと?そんな「やさしさに包まれたなら」を聴いていただきましたけれど、あっという間の・・・。

Vaundy:あっという間ですね。

ユーミン:50年続けてきたからこそ、新しい才能に出会えたんですよ、私は。

Vaundy:ありがとうございます。

ユーミン:続けてくるってことはいいことだな。あの時、未来だと思っていたものに会える。

Vaundy:ああ、なるほど!そういう感覚なんですね。僕も50年頑張ります。

ユーミン:はい。口幅ったいですけどね、過去の自分が今を支えてくれてるし。だからきっと、今の自分が未来の自分を支えるなと思いつつ、進んできているので。その都度その都度、一生懸命やって、ますます開花していってください。

Vaundy:頑張ります。なんか、その1ページに僕がなれたのがすごく嬉しいです。ありがとうございます。

ユーミン:こちらこそ。
9月8日、9日に初の日本武道館2daysを行うVaundyです。チケットはSold Outなんだけれど、配信もありますので、ぜひチェックしてください!
ゲストはVaundyでした。どうもありがとうございました。

Vaundy:ありがとうございました。


今日は「The Future of Pops〜YumingとVaundy、POPSの未来を語る」というコードで、Vaundyとともに、これからの音楽について、深く語り合いました。

私もずっと続けてきたからこそ、彼みたいな才能にこうして会えたんだなという感慨深さと、自分自身も、ますますやっていこうという勇気をいただけました。音楽の聴かれ方・作り方は時代と共に変わっていくかもしれないけど、創作にかける気持ちとかアティテュードはぶれることなく、音楽と真摯に向き合っていきたい。ほんとに、そう思います。

そんな決意を胸に、これまでと同じように走り続ける私!
デビュー50周年のメモリアルイヤーは、ここからもっと加速していきます。
10月4日には民放ラジオ99局のリスナーから届いたリクエスト曲を集めた3枚組ベストアルバム『ユーミン万歳!』をリリース。
さらに、来年5月からは、50周年を記念したアリーナツアー、全50本!
その他まだまだ、あっ!と驚く企画をお届けしていきますので、お楽しみに。

最新情報・近況は、松任谷由実公式サイトツイッターインスタグラムなどをチェックしてくださいね。



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