Yuming Chord
松任谷由実
2022.12.02.O.A
♪Onair Digest♪

今年、最も話題にのぼったのは、円安や物価高。そんな今こそ、現実をしっかり見つめて、未来を賢く予測することが大事です!
今日のコードは「愛と結婚と経済と〜WBSキャスター・滝田洋一さんを迎えて」です。


■今週のChordは“愛と結婚と経済と〜WBSキャスター・滝田洋一さんを迎えて”

ユーミン:いよいよ12月に突入して、今年1年をふりかえってみたくなる時期ですが、やはり、今年、最も話題にのぼったのは、円安や物価高。
そんな今こそ、現実をしっかり見つめて、未来を賢く予測することが大事です!
そこで、今週から2週にわたってお迎えするゲストは・・・この方です。

滝田:テレビ東京の「ワールドビジネスサテライト」で解説キャスターをやっています、滝田洋一といいます。
以前、「ワールドビジネスサテライト」にユーミンに出ていただいたのですが、当時(2019年)は番組のエンディング曲が「深海の街」という曲で、非常に楽しくお話をさせていただきました。
今日はユーミンのラジオ番組にお招きいただいて、“なんという光栄!”という感じであります(笑)。

ユーミン:ありがとうございます。楽しみにしてました。

滝田:こちらこそありがとうございます。

ユーミン:ともあれ、混迷を極める日本経済のもとで、愛や結婚や、エンタメ業界などなど、私たちが暮らしに求める「明るさ、豊かさ、潤い」は、今後、どうなっていくのか・・・!?そのあたりを、滝田さんの解説とともに、分析していければなと思っています。
早速なんですけれども、2022年を振り返って、この1年の経済界における動きやリアルな現状を、わかりやすく教えてください。

滝田:今年は干支でいうと「寅年」、英語では「タイガー」じゃないですか。そこで英語の「TIGER」の文字になぞらえてポイントを解説したいと思います。

まずは「T」ですが、“タイトニング”。要するにギュッと締めることですね。アメリカはこれまでお金をジャブジャブと流していたんですけれども、金融を引き締めるということで、世の中のお金の流れを絞ったんですよね。そうすると円安・ドル高になってしまいました。日本中が大騒ぎしているのが「T」だと思うんです。

では、なぜアメリカが流していたお金を絞ったかと言うと、これが「I」なんですね。「I」は、愛情の“愛”ではなく“インフレーション”なんです。この「I」は、来年も世界や日本に影響は残りますよね。

次に「G」なんですが、これは“ジオポリティカル・リスク”と言って、簡単に言いますと「世の中、戦争になるんじゃないのか?」というのがジオポリティカル・リスクです。今年の2月にロシアがウクライナに攻めていったじゃないですか。それによって世界経済や国際政治が動いて、日本にも影響が出てくる。

あと、そこに密接に絡むんですれども、“エナジー(エネルギー)”の「E」ですね。
最後に、この番組のリスナーの方にも関係してくるんですが、「R」で“リベンジ消費”です。

これが今年のテーマになったと思うんです。
これは今年考えたのではなく、去年の今頃に考えていまして、テレビ東京の「ワールドビジネスサテライト」の中でも「来年はこうなります」と発言したわけですね。外れていたら、今頃は丸坊主になってここに来ていたかも知れません(笑)。

ユーミン:そのお姿も見てみたかったです(笑)。

滝田:それは困りますよ(笑)。

ユーミン:ちなみに来年を「卯年」のラビット「RABBIT」でお願いします。

滝田:まずは「R」ですよね。アメリカが金融を引き締めているわけですから、景気は悪くなるわけですよね。“リセッション”と言います。だから来年は多少景気が悪くなると考えていた方が良いと思うんですね。

それから「A」は“アセットインフレーション”で、いわゆる資産バブルのことです。株など値段が上がりすぎているものを来年にかけてどのくらい調整するのか、というのが注目点ですよね。

この辺は少しマクロ経済みたいな話になりますけれども、「RABBIT」の「B」2つを言いますと、コロナでだいぶ参ってしまっていますから“日常生活に帰りたい”ということで“バック・トゥ・ノーマル”が1つ。

もう1つは、世の中格差が広がっていると言うじゃないですか。だから経済の“ボトム・アップ”で底上げをしないといけない、というのが来年のテーマです。
この2つの「B」は、リスナーの方に密接に絡むお話しだと思います。

「I」は“インド”ですね。来年はインドに注目したいと思います。
最後に「T」ですが、台湾が平和でいられるかがポイントですね。
この辺が来年の注目点だと思います。

ユーミン:来年末に「滝田さんが仰っていたことはそうだったんだ」ってことになります。

滝田:いや、もう冷や汗が出てきてハンカチで顔を拭いているところです。

ユーミン:さて、ライブやコンサートツアーなど、エンターテインメント関連の再始動があったんですけれども、私も昨年の秋から、あらゆる限りの感染対策を講じて「深海の街」ツアーをスタートして、今年の7月まで、28か所・63公演を無事完走しました。滝田さんもいらしてくださったんですけど。

滝田:“やっぱりユーミンのコンサートやツアーはすごいな”と思ったのが、“近未来”というのか、メカニックな宇宙イメージや深海のイメージと、ちょっとノスタルジックなイメージを本当にうまくストーリー性に乗せていることですよね。
落とし込んでいくあの作りというのは、コロナで行動制限があった後だけに、胸に染み入るものがありましたね。

ユーミン:ありがとうございます。

滝田:これもユーミンが「ワールドビジネスサテライト」に来た時にも話題になったと思いますが、高度成長期からバブルの時代は「これが欲しい」というのは「モノ(物)」だったと思うんですけども、バブルが崩壊した後のユーミンは「コト(事)」というのか、「その場に属する雰囲気」と言ったら良いのかな。
そちらの方にツアーやコンサートの軸足を移されたじゃないですか。僕はそこが非常に印象深いと思ったところなんですけども、(世の中の)方向は完全にそっちの方向に向かっていますよね。
みんな、すごく心に寄り添う方に、消費というのか、生活の軸足を移しつつあるという、そんな感じがします。


m2 深海の街
松任谷 由実

ユーミン:「ワールドビジネスサテライト」のエンディングテーマとして書き下ろした1曲、アルバム『深海の街』から、「深海の街」をお送りしています!
今日の「Yuming Chord」は、「愛と結婚と経済と」というコードで、日本経済新聞特任編集委員で、「ワールドビジネスサテライト」のキャスターもつとめる、滝田洋一さんをお迎えしてお送りしています。
かつて、ニッポン経済を先取りしつつ時代を動かしていた、そんな風に言われることもある、わたくし松任谷由実ですが、滝田さんは、バブルの頃ってどうされていましたか?

滝田:僕は、バブルの最盛期、1987年から90年の間は日本にいなくて、スイスのチューリッヒで新聞社の特派員をやっていたんです。
リアルタイムでは知らなくても、日本に戻って来てからいろんな映像で見た(当時の)日本って、「ものすごく沸き立つような時代だったんだな」と、一言で言えばそういう感じですね。

ユーミン:滝田さんがチューリッヒから戻られて色々ご覧になった映像、楽曲の中で、印象的だったのは何でしょう?

滝田:当時のウキウキした時代にぴったりのユーミンの曲で、原田知世さんが主演していた映画『私をスキーに連れてって』の楽曲(「サーフ天国、スキー天国」、「恋人がサンタクロース」、「ロッヂで待つクリスマス」、「A HAPPY NEW YEAR」、「BLIZZARD」)なんかは、非常に懐かしさこみ上げるような、良い感じの曲だったと思います。
あと、経済との関係ということでは、国鉄とNTTが民営化されたというのが、すごく大きくて。これはユーミンの楽曲ではないんだけど、JR東海のクリスマス・エクスプレスのコマーシャル。
あれがバブル期を代表するような雰囲気を表していたんじゃないかなという感じがしますね。

ユーミン:ところで、音楽やエンターテインメントは経済を動かしたりする力があると思うんですけれど、滝田さんはどういう風にお考えになりますか?

滝田:「ある」どころか「大あり」だと思うんですよね。その国というのか、その社会を代表するもの、物語るものって、音楽やエンタメだと思うんです。
典型的な例は、アメリカのハリウッド映画だと思うんです。あと、ブロードウェイのミュージカルですよね。あとは、例えばジャズでもいいんですが、その辺りの物ごとって、アメリカは生活に溶け込んでるわけじゃないですか。それでどれだけ得してるかわからないですよね。
では日本は何なのかというと、やはりアニメの世界だと思うんです。アニメ映画の『鬼滅の刃』が東南アジアでもものすごくブレイクしてますよね。こんな憧れの対象になるような、例えばアニメがあって、それと日本製品。メイド・イン・ジャパンの製品が上手くコラボできるような、「モノ」と「コト」を一緒にするようなところが、音楽やエンタメの力ではないかなと思うんですよね。

ユーミン:おかげさまで『ユーミン万歳!〜松任谷由実50周年記念ベストアルバム〜』が大ヒットしている裏には音質を大幅にアップデートしたということもありまして、ぜひ、聴き比べていただきたいと思います。
滝田さんからリクエストいただいたんですが、「中央フリーウェイ2022ミックス」。この曲も大幅にアップデートされています。


m3 中央フリーウェイ(2022MIX)
荒井 由実

『Yuming Chord』、お送りしたのはアルバム『ユーミン万歳!』から、「中央フリーウェイ」2022MIX でした。

今日は、テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」、通称WBSのキャスターで、日本経済新聞社の特任編集委員の滝田洋一さんをお迎えしました。
2022年・今年のニッポン経済を総括しつつ、“松任谷由実presentsエモ消費”の歴史にそってお話を伺いましたが、硬軟とりまぜつつのわかりやすい解説、滝田さん、さすがです!
バブリーな時代はスイス駐在中だったというのも、なんだか納得。

そんな滝田さんには、来週もまたお越しいただいて、「愛と結婚と経済」の関係をさらに深堀しますので、どうぞお楽しみに。

さて、いよいよ来週木曜、12月8日からスタートする、大・展覧会、「YUMING MUSEUM」。
六本木ヒルズ森タワーのシティビューで開催されますが、ちょっとおトクな前売り券もまだ、発売中ですので、くわしくは「YUMING MUSEUM」公式サイトをチェックしてくださいね。

そのほか、私の最新情報や近況は、私の公式ホームページツイッターインスタグラムなどでお知らせしています。
ぜひ、チェックしてみてくださいね。



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