Yuming Chord
松任谷由実
2023.06.30.O.A
♪Onair Digest♪

空気中の微生物の働きでおいしくなったり、保存期間も長くなったり、何より、身体にもいい。今日は、そんな魔法のような食べ物のお話。
今日のコードは「発酵パワー!」です。


■今週のChordは“発酵パワー!”

m1 Pancakes & Butter
Jason Mraz

ジェイソン・ムラーズのニューアルバムから。
とてもラグジュアリーなサウンドが心地いい1曲です。
お送りしたのは、ジェイソン・ムラーズで「Pancakes & Butter」。

そんな1曲でスタートした、「Yuming Chord」。
日本列島を梅雨前線が移動中ですが、晴れると急激に気温が上がる日もあって、体調管理とともに、この時期は食べものの管理もけっこう、大変!

カレーやお味噌汁の鍋や、常温で置きっぱなしにしていた食べ物の表面に、気づくとカビ!?
そんな悲劇も起こりがちです。
でも、そんな気候だからこそ生まれた食文化が、世界のあちこちに存在します。

空気中の微生物の働きでおいしくなったり、保存期間も長くなったり、何より、身体にもいい。
今日は、そんな魔法のような食べ物のお話。
コードは「発酵パワー!」です。

炭水化物やタンパク質などの有機化合物が、カビや酵母、細菌といった微生物の働きによって分解される過程が「発酵」。同じ働きですが、人間にとって有益な活動が「発酵」で、食中毒などをひきおこす有害な活動は「腐敗」、と線引きされています。
命をかえりみず、最初に発酵したものを食べてみた先人の勇気、そして、身体にいいという研究結果を導き出した先人の知恵を、心から讃えたいものです!

一説によると、世界には1000種類を超える発酵食品があるといわれていて、どれもが、その土地の食材と気候風土のマッチングから生まれたもの。
中でも日本は発酵がすすみやすい高温多湿気候ということで、「発酵食品大国」と言われているそうで、醤油、味噌、みりん、お酢、漬物、塩麹、納豆など、あげればキリがありません。

中でも、私が便利だな〜と思ってよく使うのが、塩麹。

鶏むね肉を塩麹につけてスチーム。
塩麹は食材をやわらかくして、やさしい塩気と甘みを加える調味料。
だから、たれのアレンジが色々楽しめます!

塩麹は食材をやわらかくする酵素のほか、エネルギー代謝を助けるビタミンBがたっぷり含まれていて、疲労回復に効きますし、美肌効果も期待できるとか。

麹菌は、稲藁に多く付着していたため、稲作文化が育まれてきた日本の「国菌」、つまり、「国の菌」に認定されているそうです。
ちなみに醤油・味噌・お酢、日本酒や焼酎なども麹菌がベースで作られています。

味噌汁もよく作ります。使うのは、ポピュラーな「米味噌」が多いかな。
クセがなくて、どんな具材にもあいます。

そういえば、自家製味噌を作っていた知人がいて・・・味噌も、地域によって全く違いますよね。

アンチエイジング、腸内環境の改善、コレステロールの抑制、血圧の調整などが期待できる、と、お医者さんいらずの食材です!

そのほか、お酢は血液サラサラ効果、血圧改善効果が期待できます。
疲労回復、腸活サポート、そして今の時期に心強い殺菌効果も!

醤油の黒い色は、アンチエイジング作用あり。
原料となっているもろみ(大豆、小麦、麹菌で作る)は植物由来の乳酸菌を含んでいて、腸内環境を整えてくれるそうです。

そこで、「女子栄養大学の誰も教えてくれない発酵食のすべて」というエクスナレッジのムック本を参考に、発酵食の“おいしさ”の秘密に迫ってみると・・・。

それは、菌の働きが「うまみ成分を増やすから」。
酵素の力で分解された食材に含まれたでんぷん、タンパク質が、ブドウ糖やアミノ酸に分解されますが、これが「うまみ成分」のモトになるんですね。

さらに!発酵食は毎日少しずつ、毎食食べるのがおすすめ。
続けること、が大事ですね。

ちなみに、味わいだけでなく、見た目の彩りや香りを楽しみながら、「おいしそう!」と思って食べると、唾液の分泌がよくなって、消化酵素の分泌も促すそうです。
幸せを感じながら食べることが健康への近道!これ、納得ですよね。

では、「発酵パワー!」というコードにちなんだ1曲を。


m2 Red Red Wine
UB40

ワインも発酵飲料の代表ですね。
オリジナルはニール・ダイアモンド。
このバージョンは、1983年にヒットしました。
お送りしたのは、UB40で「Red Red Wine」でした。

「Yuming Chord」。今日は「発酵パワー!」というコードでお送りしています。
収穫したり、捕獲したりしたものを保存する間、条件が整うと微生物が働いて出来上がる発酵食品。
偶然発見された産物に人の手が加わって、食べやすく洗練され、完成されてきました。
紀元前から、中国では米や果実から醸造酒が造られたり、中央アジアの遊牧民がヤギの乳から発酵乳を発見したり、メソポタミアのシュメール人がビールを、古代エジプトではワインや発酵パンを、と、発酵食は世界中で愛されています。

例えば魚を原料にした発酵調味料、「魚醤」は料理のアクセントになります。
タイの「ナンプラー」や、ベトナムの「ニョクマム」、日本なら秋田の「しょっつる」や、石川県能登地方の「いしる」などなど。

私が好きな海外の発酵食といえば、パンも発酵食品ですが、私が好きなのはドイツパン!
発酵漬物のキムチ、お酒なら赤ワイン。

そして、賛否両論別れるのが、「臭う発酵食品」たち。
発酵や食関連の本をてがけるferment booksと、「ゆる菌活」でおなじみの麹料理研究家・おのみささんの本、「発酵はおいしい!イラストで読む世界の発酵食品」では、くさい発酵食品を紹介しています。

ダントツ1位のくささは「シュールストレミング」。スウェーデンの発酵ニシンの缶詰ですが、通常の缶詰で行う加熱処理をしないので、密封後も発酵が続いて、強烈な臭気を放つといわれています。
缶をあけるのは必ず屋外で、雨合羽などを着て、風下に人がいないか確認して、と言われています。

そして、韓国の郷土料理「ホンオフェ」。
エイを丸ごと紙で包んで甕の中に何匹もつめて、10日ほど発酵。
アンモニア臭が強烈だとか。マッコリとあうそうです。

さらに、カナディアン・イヌイットの「キビヤック」。
内臓を取り去ったアザラシのお腹に海燕を何羽も入れて、2〜3年発酵。
発酵した海燕の体液を吸うそうです。かなりシュール。

そして、日本代表はやっぱり「くさや」。アジやトビウオの魚をひらいて「くさや液」に漬け、天日干しした、伊豆諸島・新島の特産干物です。
焼いてほぐして食べると、強烈な臭気とうらはらに複雑で繊細なやさしい旨味が口の中で広がるそうです。

通好みにはたまらない発酵食品から、毎日の食卓にのぼるお味噌汁や納豆、ヨーグルトなどおなじみのものまで、どれもみな、健康食!発酵パワーの力を借りて、梅雨や猛暑を、のりきりましょう。

では、今日のコード「発酵パワー!」にちなんだ、私の曲を。


m3 July
松任谷 由実

お送りしたのは、1993年11月リリースのアルバム『U-miz』から、「July」でした。

今日は、「発酵パワー!」というコードでお話してきました。
「発酵」は「腐敗」と紙一重。人類の食物に対する好奇心が、日々の暮らしを豊かにしてきました。
その精神は、まさに「The Journey」!・・・やっぱり、旅は続けないとね。

そんなわけで、私も、週末ごとに旅に出ています。
デビュー50周年を記念した全国アリーナツアー、大和証券グループpresents 50th Anniversary 松任谷由実コンサートツアー「The Journey」。
今週末、7月1日・土曜と2日・日曜は大阪城ホール、2Daysです。
5月末にも大阪城ホールのステージに立ったんですが、あれからひと月で、さらに、熟成発酵されたショーになっているはず!どうぞ、お楽しみに。

なお、今後のツアーの詳細やスケジュール、そのほか、私の最新情報や近況は、私の公式ホームページツイッターFacebookインスタグラムなどでお知らせしています。
ぜひ、チェックしてみてくださいね。



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