Yuming Chord
松任谷由実
2024.3.8.O.A
♪Onair Digest♪

国際女性デーにちなんで。今日のコードは「Go on, ladies!」です。

■今週のChordは“Go on, ladies!”


m1 メトロポリスの片隅で
松任谷 由実



お送りしているのは、1985年11月にリリースしたアルバム『DA・DI・DA』から、「メトロポリスの片隅で」。

最近、日経平均株価がバブル期につけた史上最高値の記録を更新!!
1989年以来、なんと34年ぶり!!!・・・という話題でもりあがっていましたけれど、実状はどうなんでしょうかね。数字自体はそうなんでしょうけれど、どういうカーブをこれから描くのか。
半導体の業績が良いとか、いろいろ言われていますけれど、きっとバブル期の通りにはいかないとも思いますし・・・でも、そのバブル期の直前にリリースしたこのアルバムで主に登場するヒロインたちは、バブル経済を象徴するインテリジェントなビルで働く女性たちなんですよ。

この、「メトロポリスの片隅で」の彼女は、恋人と別れた翌朝も、颯爽と仕事へ出かけていきます。そうだったらいいなというか、そういう女性像ってカッコいいなと想像しながら作りました。

時代がどうこう、というのはあまり意識しなかったんですが、無意識にバイブスとして感じていたのかもしれませんね。

このアルバム『DA・DI・DA』の中には何曲か、働く女性をテーマにした曲が収録されているんです。
遠距離恋愛中の恋人たちのうたが「シンデレラ・エクスプレス」。
別れの美学・・・強がりってことかな。「たとえあなたが去って行っても」とかね。
そういう彼女たちの光の部分だけでなく影も描いた「BABYLON」という曲とか。

ちなみに、このアルバムがリリースされた1985年は、「男女雇用機会均等法」が制定された年で、これも私、あんまり分からなかったんですけれど、のちに自分のキャリアを分析されると必ず出てくるワードなんですね。
ただ、自分では、それまでの男性目線の歌謡曲やアイドルの女性像はリアリティがないな、と思っていました。もっと、わがままというか、自分で思った通りに行動すればいいんじゃないか、と。
怒りや焦りや喜びや、全部もっとストレートに出していいんじゃないかな、という女性像ばかりです。

さて!今日は、国際女性デーにちなんだ「Go on, ladies!」というコードで、今を生きる女性たちへ届けたい、私のエンパワメントソングをお送りしていますが、続いては、2011年4月リリースのアルバム『Road Show』から、「GIRL a go go」。

m1 GIRL a go go
松任谷 由実



これはコーセー化粧品のあるコスメのタイアップソングなんですけれど、女性を応援するという目線で、
「知らない世界知ってる世界 いつも未来は組み合わせしだい」
というのが、テーマと言えばテーマかな。あるものを目指すというより、自分で組み立てる・・・そして未来ができていく、という風に、世の中全体がなっていってたんじゃないでしょうか。

続いては、アルバム『TEARS AND REASONS』から「私らしく」。

m1 私らしく
松任谷 由実



この「私らしく」が入っているアルバム『TEARS AND REASONS』は、1992年、平成4年のリリースなんですけれど、バブルも終焉を迎えて、そして私はダブルミリオンセールスを記録した後なんですよね。

やっぱりプレッシャーもありましたね。だから、このタイトルにも表れているように、私らしくするしかないんじゃないかと思っていたし、出だしの、ショートエッセーで引用したように、
「今度こそ 強く ゆっくりと 自分を生きてゆこうね」
・・・“自分を生きる”というつもりでアルバムをつくったような気がします。

そんなわけで、今日は、国際女性デーにちなんで「Go on, ladies!」というコードで、私から、今を生きる女性たちへ届けたいエンパワメントソングを特集しています。
女性の権利を守り、ジェンダー平等の実現を目指して制定されたそうですが、私自身はね、あんまり人にアドバイスしたり、何かお役に立ったりはできない立場かな・・・変わった人生を歩んできてしまったので。
でも、それだけに、タイムレスにね・・・1975年であろうと、今年であろうと、共通したポリシー。“ポリシー”でもないんだけれど、もうそれしかできなかった、という感じの姿勢は伝えられるかな。

例えば、結婚したのが1976年なんですけど、名前も変えたんですよ。
これは多分、当時の芸能界からしたら、超衝撃的だったと思います。人によるかもしれないけれど、今だったらそうでもない。
何にも考えてなく・・・自分の中にすごくエッジなところとコンサバなところが両極あるんですね。今も変わらず。

風当たりも多分、すごく強かったんですけれど、そのときには何にも感じていなかった。自分が次、どういう風に生きるかということで必死で。そこがオモテ面に出たので今がある、という。
とっても大事な時期でした。

そんな宇宙人のような私から、今を生きる女性たちに「こうした方がいい」と言えるとしたら、AIとの共存目前というか、もう既に始まっているし、「今、ここを生きる」ってことしかないんじゃないでしょうかね。リアルしか、生き残っていく道はないんじゃないかな。AIにはできないことだと思います。

では、最後にもう1曲、今を生きる女性たちに届けたいエンパワメントソングを。
今日のコード、「Go on, ladies!」にちなんだ1曲で「ガールフレンズ」。

m1 ガールフレンズ
松任谷 由実



この曲について、コラムニストの酒井順子さんが、『ユーミンの罪』という本で、こんな風に書いてくれています。
この「ガールフレンズ」の歌詞の、“ふられた私”の部分には、離婚などで“別れた私”子育てや仕事などで“疲れた私”、そして親などを“看取った私”・・・年齢や状況に応じてさまざまな言葉をあてはめられる。いつでも女の友情賛歌になる・・・。
どうでしょうか?

今日は、「Go on, ladies!」国際女性デーにちなんで、私のエンパワメントソングを特集してきました。

改めて、女性をとりまく社会状況から、リリース当時の自分の楽曲について考えてみたりしたんですけれど、記憶の引き出しがひらくような、そして、次なる創作活動へのヒントにもなるような・・・?そんな気がしました。

いつも言うんですけど、曲をつくっている時ってね、「誰かのために・・・」というより、「自分のために・・・」という気持ちでとりくんでいるので、さっきも触れたように、今は「今、ここにいる私」ということにフォーカスしたいかなと思っています。
そこに集中すれば、たくさんの人の人生とシンクロするんじゃないかな、とも思っているんですよ。そう信じて、創作活動に励みますね。

そして、お知らせをひとつ。
NHKの夜ドラ「ユーミンストーリーズ」が、現在放送中です。3月11日からの第2週目のストーリーは、「冬の終り」。ヒロインを麻生久美子さんが演じていますが、ちょっと不思議な物語です。
月曜から木曜の夜10時45分からの15分間、平日の夜、毎日のお楽しみ。ぜひご覧ください。

そのほか、私の最新情報や近況は、私の公式ホームページツイッター改め「X」Facebookインスタグラムなどでお知らせしています。

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