2007年11月29日

歌でエイズ予防!

エイズウィーク最終日。
今日のスタジオにお越しいただいたのは、
『インターナショナルボランティアエキスパート』の、山田耕平さん!
ハチドリ高柳とは、青年海外協力隊仲間でもあります。


(協力隊から帰国後、おうわさはカネガネ、だった耕平さん。
アプローチし続けて、やっとゲストにお迎えすることが出来ました。嬉しかった!)

耕平さんは、大学を卒業後、協力隊の「村落開発普及員」として、
アフリカのマラウイに赴任されました。
そこで、アフリカにおけるエイズの現状を知り、「エイズは自分たちの問題なんだ!」と、
強く実感されたのだとか。
そこで、その認識を一人でも多くの人に持ってもらおう、と、
マラウイの言葉「チェワ語」で、歌を歌いました。
その曲「ディマクコンダ(=君を愛してる)」は、マラウイのヒットチャートで何ヶ月も1位を独走し、
ついには、マラウイのレコード大賞にもノミネートされたんですよ!
マラウイで最も有名な日本人、それが、山田耕平さんなのです。
そして今は日本で、エイズの予防啓発運動を積極的にされていて、
エイズ関連のイベントには、ほぼ必ず、耕平さんの姿を見かけます。

「マラウイなど、アフリカの国ってやっぱり貧しいわけですよ。
自分がHIVに感染していることがわかっても、薬は何百キロも離れた街まで行かなければ、
手に入らないことも多いんです。薬はどこかの国の寄付団体からタダで援助されていても、
病院に行く交通費がないから、薬をもらうことが出来ない人がとても多いんですね。
そして、『だったらHIV検査に行って、自分の感染がわかっても、何の意味があるんだ?』
と思ってしまう人が多いんです。」

アフリカの現状を見てきた耕平さんは、その内実をよくご存知です。
でも、だからと言って、検査に行かなくていい、というわけではない・・・。

「今アフリカで増えているのは、自分の感染を知らずに、
愛するパートナーにHIVをうつしてしまう、という悲劇です。
そんな悲劇を防ぐために、とにかく検査に行ってほしい、という想いをこめて歌を作りました。」

でも、そんな悲劇が増えているのは、アフリカだけではなく、日本でも同じです。
1日に、およそ4人の感染が発覚しているのですから、いつ自分のパートナーが感染しても、
おかしくないわけですよね。

「でも、日本はまだ恵まれていると思います。
検査を受けられる場所はたくさんあるし、行けばただで受けられる。
たとえ感染が発覚しても、発症を抑える薬は、お給料で買えるくらいの値段で必ず手に入る。
だからこそ、一体どうしてこんなに恵まれた日本で、感染が増えるんだ!?と言いたいんです。
それは、絶対に止めなくてはいけない。」

確かに、アフリカの現状に比べれば、私たちははるかに恵まれた環境に暮らしています。
だからこそ、先進国の責任として、このHIVをこれ以上増やしてはいけないのではないか。
そんな風に思いました。

とにかく、一人でも多くの人に検査に行ってほしい。
知らずに、愛する人を感染してしまう悲劇を、繰り返さないで欲しい。
そして、はるか遠いアフリカで毎日起きている悲劇にも、手を差し伸べられるように、
日本の国内で、知識や医療の向上を目指したい。
そんな風に心から強く願った、ハチドリ高柳だったのでした。

考えなくてはいけないこと、知らなくてはいけないこと。
まだまだたくさんありすぎて、自分の中でも、考えがまとまりません。

このエイズウィーク、あなたは、何を感じてくれましたか?
投稿者: 高柳恭子
2007年11月29日

薬害エイズ事件とは

12月1日の世界エイズデーに向けて、エイズウィークでお届けしている『Hummingbird』、
今日のゲストは「薬害エイズ事件」当事者でいらっしゃいます、参議院議員、川田龍平さんです。
19歳のときの実名公表であまりにも有名な川田さんですが、
実際にお目にかかってお話をうかがえるのは初めて。
ハチドリ高柳も、少し緊張して川田さんのご到着をお待ちしておりました。


(でも川田さんは、穏やかで落ち着いた物腰としゃべり口調。痛みを知っている方に特有の、
深い人間性のようなものを感じました。)

まずはこのブログを読んでくださっている方のために、もう1度、「薬害エイズ事件」について、
簡単にご説明しましょう。
1970年代後半から1980年代にかけて、血友病の治療用に使われた、
「非加熱の血液製剤」というものにHIVウィルスが混入しており、その血液製剤を投与された、
世界中の患者の方が、HIVに感染した、という事件です。

そして川田さんは、生後6ヶ月で血友病と診断され、そのときに治療のために投与された、
「輸入血液製剤」によってHIVに感染。
10歳のときに、お母様である川田悦子さんから、HIV感染を告知されました。
17歳のときにHIV訴訟の原告団に加わり、19歳で実名を公表。
HIV訴訟では先導的な役割を果たし、ついに国側の大幅譲歩による和解、という、
事実上の勝訴を勝ち取りました。
そして今年の夏、東京都から無所属で立候補され、当選。
現在は、参議院議員として活躍されていらっしゃいます。

ここまで、長い長い道のりを戦い続けていらした、強い精神力を持つ川田さん。
でも、10歳のときに感染を告知されたときには、
やはり相当ショックだったのではないでしょうか?

「そうですね。今は全然そんな風に思っていないですけど、当時は母親に、
『僕はエイズだったら自殺するよ』って言ってしまったんです。
当時はやはり、死の病っていう印象も強かったですし、僕はもう長く生きられないんだ、と思って、
その日が楽しければいいや、みたいな生活をしてしまったときもありましたね。
母親は、とても苦しんでしまったみたいです。」

そうですよね・・・。10歳の幼い子には、あまりにもつらい宣告ですよね。
でも、そこから気持ちを切り替えて、戦う気力を付けてくれたのは・・・?

「僕は幸いなことに、友達に言うことが出来たんです。
そしたらその友達が、『僕は気にしないよ。昨日のお前と今日のお前と、
違うところなんかないんだから。』と言ってくれた。
また、『でも、同情もしないよ』とも言ってくれたんです。その言葉が、とても大きかった。
同情されるのが、一番つらいんです。」

本当に、素晴らしいお友達がいらしたんですね!
やっぱり、HIVに感染した方が身近にいたとき、そしてその方からカミングアウトされたとき、
その方をどうやって受け入れ、支えたらいいのかが、
私たちとって大きな課題のような気がします。
でも、1日におよそ4人ずつの感染者が発覚している日本では、
すぐ隣の友人から、または会社の隣のデスクの方から、
そういう告白をされる日が来ない、とは、絶対に言えないのです。

同情はしない。でも、きちんと理解し、受け入れ、支える。
言葉にすることは簡単でも、実際に相手を絶対に傷つけないように出来るのか?
正直言って私も不安です。
でも、そのための努力は最大限にしていきたい。
そして、少しでも悩んだり苦しんだりしている感染者の方たちが、
カミングアウトしやすい社会を作るために、私に出来ることは全てしたい。
でも、そのために出来ることは何なのか?
川田さんにお目にかかったのをきっかけに、何度もぐるぐると考えてしまった、
今日のハチドリ高柳でした。
投稿者: 高柳恭子
2007年11月29日

エイズのこれから

今週の『Hummingbird』は、12月1日の「世界エイズデー」に向けて、
エイズの予防啓発活動などをされている方を毎日お迎えして、お送りしています。
2日目の今日は、『HIVと人権情報センター(JHC)』の、今井分一郎さんです。


(編集長も、「ホンットに優しい印象の方だったね」とおっしゃったように、
本当に本当に優しい雰囲気を漂わせていらした方でした。)

エイズの問題は、予防ももちろん大事ですが、すでに感染された方々や、
その周りの方へのケアも、やはりとても大切です。
日本では、HIVの感染者のカミングアウト率が非常に低いのですが、
やはり多くの感染者は、差別や偏見に悩んで孤立しているのが現状なのだそうです。

そんな苦しんでいる方たちを守り、直接支援するために、1988年に大阪で発足した、
民間ボランティア団体が、このJHC。
その運動の輪は全国に広がり、今では多種多様な経験を持つ数百人が、
会員として活動されています。
多岐にわたる活動のひとつが、感染者のカウンセリングや電話相談。
毎年、12月1日のエイズデーには、『36時間 AIDS電話相談』を受け付けるそうなのですが、
そこには、毎年1000件を超える相談が入るということです。
(『36時間 AIDS電話相談』 12/1(土)10:00am〜12/2(日)10:00pm 0120−545−036)

「やっぱりね、相談してくる人はもう、切羽詰ってしまっている人が多いんです。
感染不安はあるけれど、怖くてどうしても検査にいけなくて、相談してくる方もいる。
中には、不安なまま検査にも行けず、15年も過ごしてしまった、なんて人もいるんです。」

この今井さんの言葉には、さすがにビックリしてしまいました。
でも、それほどまでに日本の社会というのは、
そのカミングアウトを阻止するものなんでしょうか。

「やっぱり、会社に言えなくて悩んでいる人は多いですね。
言えないがために、一定の時間に飲まなきゃいけない薬を、トイレなどに隠れて飲んで、
『あいつは年中トイレでサボっている』などと言われてしまう。
これも、周りの人がちゃんと理解してあげられる社会であれば、
防げる問題なんです。」

そう。日本の社会にはまだまだ差別や偏見が蔓延していますが、
エイズは基本的に、とてもうつりにくい病気。
日常生活の一部の、握手やハグ、飲み物の回し飲みやキスなどではうつらないことを、
私たちがもっと知らなくてはいけないと思うのです。
そうやってきちんとした知識を身につけたうえで、
ちゃんとそういった方たちを思いやることの出来る社会、そんな成熟した世の中を、
作っていきたいと心から願った、ハチドリ高柳だったのでした。
投稿者: 高柳恭子
今週の『Hummingbird』は、12月1日の「世界エイズデー」に向けて、
エイズの予防啓発をされている方たちを、毎日お迎えして1週間お送りしていきますよ♪

まず、トップバッターを勤めていただいたのが、ラジオDJの山本シュウさん。
ハチドリ高柳が、TOKYO FMに入社したときからお世話になりっぱなしてる、
大事な大事な兄貴分です。
お会いしたのはとても久しぶりだったのですが、全然そんなときの流れを感じさせず、
会ったとたんに昔の仲良しに戻ってしまいました♪


(そして、相変わらず熱〜いシュウさん。編集長とも、すぐに意気投合です♪)

もともと、アメリカはNYに住んでいた経験のあるシュウさん。
ご自分の身近にも、HIVに感染する方が多くいらっしゃったことから、HIVやエイズの問題に、
興味をもたれていたのだそうです。
そして、ラジオだけでなくテレビでもお持ちの、幅広い人脈を駆使して、
エイズ予防の啓発を目的とした活動を、積極的に行っていらっしゃいます。

シュウさんが何よりも伝えたい、というのが、「We Are シンセキ!」というメッセージ。
「27代から28代さかのぼれば、日本人なんかぜーんぶ血のつながったシンセキやねん。
エイズの問題も、他人事じゃなくて親戚の問題だと思えば、真剣に考えるようになるやろ?」

確かにエイズの問題は、自分の身近で起きている、自分自身の問題として考えることが、
とても重要なのです。
だって日本では、1日におよそ4人ずつ、感染発覚しているのだそうです!
先進国で、右肩上がりに感染者が増えているのは日本だけという、とても哀しい数字です。
もうエイズの問題は、海の向こうの遠い世界で起こっている遠い話題ではなく、
私たちのすぐ近くで起こっている、とてもとても身近な問題なのです。

「こんなに感染者が増えているのに、こんなに知識がない国も、日本だけやで。
もっともっと、みんなが関心もたなあかんのや。」

そう訴えるシュウさんは、みんなに少しでも関心を持ってもらうために、
CDを発売したり、イベントを開いたりされます。

11月28日には、小田和正さんの楽曲を、絢香さんや加藤ミリヤさん、
GLAYのTERUさんやケツメイシのRYOさんなどが歌った楽曲、
『RED RIBBON SpiritualSong〜生まれ来る子供たちのために』がリリースされました。
このCDの売り上げ収益は、全て「日本エイズストップ基金」に寄付されることになっているので、
CDを購入するだけで、エイズの予防啓発活動に参加することが出来ます。

また、11月30日には、SHIBUYA-AXで、『RED RIBBON LIVE 2007』が開催されます。
こちらも、CDに参加されたアーティストの方や、
アフリカで、青年海外協力隊としてエイズ予防啓発活動をされていた、
山田耕平さん(29日にハミングに遊びに来てくださいます!)などが参加されます。

12月1日のエイズデーに向けて、私たちも少しでも多くの知識を身につけ、
差別や偏見のない社会を作っていきましょうね!
投稿者: 高柳恭子