オンエアレポート

04
09
Tue

ゲストは・・・黒田夏子さん

今日は、永遠の文学少女、黒田夏子さんをお迎えしました。
史上最年長で芥川賞を受賞した黒田さんですが、早稲田文学新人賞が芥川賞に繋がっていく、ということを考えていなかったため、当初は候補になったことが思いがけなかったんだとか。

「若いころは賞に応募したこともあるけど、33歳のとき、一つ長編を完成させて、応募して入選したんだけれども、出版社さんの都合で流れてしまったという事が有って、自分の気の済むものを書いていきたいと見切りをつけて、何十年も賞などに応募はしていませんでした。
70歳を過ぎたらそういうものに力を入れてもいいかなと、70歳よりちょっと前くらいから考え始めていて、たまたま70歳過ぎて一つ長いものを仕上げた時に、そういう方向にエネルギーを使ってみようかなと思って応募したという感じだったんですね。」とおっしゃっていました。

芥川賞受賞作品の「abさんご」、横書きで漢字も少なく、句読点の打ち方も独特で特徴的なスタイルという印象ですが、黒田さんは横書きを始めて30年になるそう。
「なぜ珍しがられるかと言うと、文学作品は縦書きだという習わしが残っていて、教科書も全部横書きになったのに国語の教科書だけ縦書きのままだとか、そういう、文学作品にだけ残ってしまっているというのがありまして、そうすると逆にこれは文学作品ですよっていう感じになって、、、そういう文学の住所みたいなものとか習わしみたいなものをいっぺん白紙に戻してしまいたかった。昔は縦書きが普通だったけど、今は横書きが普通になったのに、文学にだけ残っているという事に抵抗がありまして、横書きでやってみようとやってみたところ、自分の資質に合っていたと思います。
最初は読みにくいという反応があるみたいなんですけど、ストーリーを読まなくていいんだとか、こういう事を覚えて記憶してその記憶を保持して読み進めなければいけないものではないんだとわかってくると、ただ言葉の流れに乗っていただくとわかりやすいんだと思います。声に出してみると意外と切りどころがわからないということもないのではないかと思います。」というお話もしていただきましたよ。

次回作もゆっくり、お待ちしています!
黒田夏子さんの芥川賞受賞作「abさんご」は文藝春秋より発売されています。
書店でチェックしてみてくださいね。